建築の愛し方08:もうすぐ投稿3000件!実は未投稿が2000件以上!─うらくん(後編)

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建築を楽しむ方法は無限にある。本シリーズ「建築の愛し方」では、「そんな方法があったのか!」「まさかそこまで!」と私(宮沢)が強く惹かれた建築LOVERたちを取り上げていく。今回は、建築探訪サイト「うらくんのページ」の運営者、「うらくん」さんのインタビュー後編。多忙のなか、サイトを続ける想いを聞いた。

(以下も「うらくんのページ」からのキャプチャー)

──「うらくんのページ」は、分類の方法が実用的であることに加え、それぞれの記事のコメントが、短いながらも非常に的確です。テキストを書く際に心掛けていることはありますか?

 一般の人に分かるように書くようにしています。なるべく難しい言葉を使わずに、その建築の魅力が伝わるようにしたい。

(イラスト:宮沢洋)

──素晴らしい! なぜそう思われるのですか?

 私が建築に興味を持ったのは大学以降ですが、建築の体験としては、子どもの頃にいくつか記憶に残ることがありました。1つは、家の近くに安藤忠雄さんが設計した住宅があったこと。それが有名建築家の設計とは知りませんでしたが、「変わった家だなあ」と気になっていました。

 もう1つは、村野藤吾さんの「プランタン」(喫茶店)。父親が大阪に行くときに、よく連れて行ってくれたんです。子ども心に、いいなと思う空間でした。

 もし、当時、建築というものを身近に教えてくれる人がいたら、もっと早く建築が好きになったかもしれない。このサイトがそういうきっかけになればと思っています。

──それぞれの記事の最後の方に書かれている「これはいい」「これはがっかり」という感想も、実物を見に行くときの参考になります。これは遠いけれど見に行こう、これはまあ見なくてもいいか、という具合に(笑)。ああいう本音の感想は、なかなかメディアでは書けません。

 そうかもしれませんね。個人のサイトだから好きなことが書ける。あまりがっかりなものは、そもそも載せていませんが。

見ても書いていないものがまだまだ…

──9月13日現在で2926件。もうすぐ3000件です。見ても載せていないものもあるということは、実際に見ている数はもっと多いと。

 意図的に載せないものがありますが、時間がなくて書いていないものが多いんですよ。仕事が忙しくなってしまい…。全部載せたら、倍くらいあるかもしれません。

──えっ、じゃあ、見たものを全部書いたら5000件超えると。

 そうですね。

──では、投稿の順番は、見た順番ではないのですか。

 ええ、話題性とか、エリアのバランスを考えながら投稿しています。まだ書いていなかったものが「壊される」という情報をいただいて、慌てて書くようなこともあります。

──「取り壊された建築」の「追記」も、充実していますね。

 最近は、本当に皆さんからの「壊された情報」が増えました。サイトを見ていただいて、「見に行ったけれどなかった」ということになると申し訳ないので、壊された情報は、忙しいなかでもなるべく早く追記するようにしています。

──素晴らしい。なんて誠実なサイトでしょう。

好きな建築家は村野藤吾

──好きな建築家とか、好きな時代の建築はありますか。

 好きな建築家は村野藤吾です。さきほど、父親とプランタンに行った話をしましたが、村野藤吾のデザインは建築に詳しくない人にも面白さが伝わりやすいので好きです。

 時代でいうと、バブルの頃の建築がけっこう好きです。サイトを始めたのがバブル崩壊の直後くらいだったので。

──私も村野藤吾が好きで、バブル建築も好きです。だから、このサイトが好きなんですかね(笑)。せっかくの機会なので、サイトのファンの方にメッセージがあれば。

 建築に関する情報をお寄せいただくのもありがたいのですが、サイト自体がこうしたらもっと良くなるといった感想もいただけるとうれしいです。ずっと同じスタイルでやり続けているので…。

──でも、データの蓄積が多いので、ガラッと変えるのは難しいですよね。

 そうなんですけど、やれる範囲で変えるべきところは変えていきたいと思っています。

──なるほど。このサイトはもはや、建築界にとって必要不可欠なインフラだと思うので、ブラッシュアップしつつ、長く続けてください。今日はお話しできてうれしかったです。ありがとうございました!

 こちらこそ。コロナのために、しばらく遠出ができずモチベーションが下がっていたので、今日はいい刺激になりました。期待に応えられるように、これからも頑張ります!

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