非・建築出身の筆者(宮沢)が「建築って面白い」と感じることの1つに、「感動が規模とは比例しない」ということがある。大きくて感動するものもあれば、小さくてもそれ以上に心を動かされることもある。その逆もある。
その感動の“予感”が小さな写真からも読み取れる、という点も面白い。それが、どこの誰だか知らぬ人の設計だったとしても、その予感はビビビッと写真から伝わる。

■2m26 Atelier
所在地:京都府京都市/発注者・設計者・施工者:2m26(deuxmetresvingtsix/メラニー・へレスバック、セバスチャン・ルノー)/構造:木造/階数:地上2階(アトリエ)/施工期間:2021年5月~/主な雑誌掲載:新建築 住宅特集2024年10月号
今年も1月27日から「みんなの建築大賞」の投票が始まった。投票締め切りは2月5まで。ノミネート作である「この建築がすごいベスト10」のうち半分ほどは本サイトですでにリポートしている。つまり、筆者は見ていた。残り半分の中には、知っていて行けなかったものもあれば、推薦委員の選定会議(1月14日に実施)で初めて知ったものもある。後者、推薦会議の場で、たった4枚の写真を見て「これは実物を見なくちゃ」と、居ても立っても居られず京都の山奥まで行ってきたのが「2m26 Atelier」である。

山奥というのは東京モノの筆者の印象であって、京都中心部から車で1時間ほど北に向かった京北の小塩町という山間の村だ。路線バスのバス停も近く、意外に便がいい。
設計者はセバスチャン・ルノー氏と、メラニー・へレスバック氏による2m26。アトリエ兼住宅だ。2人はともにフランス出身。

「たった4枚の写真で見に行こうと思った」と書いたが、正確には、推薦委員の平塚桂さんのコメントも心に刺さった。
「改修民家と動物のための多彩な小屋はオール自主施工。茅葺き職人や地域住民に学んだ伝統的手法を咀嚼。丸太や茅など素材は主に地域で入手。伝統知に向き合った実践の究極形。それがフランス出身の夫妻によるという衝撃。」(平塚桂)
素晴らしい。「90字以内」という推薦時の字数制限の中で、情報に全く無駄がない。これで言い尽くされてるようにも思うが、筆者は補足の意味でこういうコメントを書いた。
「環境共生&セルフビルドという言葉から想像するイメージをことごとく打ち砕かれる。現代的でカジュアルなデザインと、宮大工のような施工精度。そこでの生活は、決して教条的ではなく、とにかく楽しそう。」(宮沢洋)
自画自賛だが、これはこれでうまくまとまった。あとは、写真を見ていただければ伝わるだろう。














第2回となる今回の「みんなの建築大賞」は、投票の参考として、ノミネート建築の設計者によるライブ解説の場を設ける(オンライン配信)。開催日時は2月1日(土)19:00~20:30。2m26からは、日本語の上手なメラニー・へレスバック氏が出演して、プレゼンしてくれる予定だ。施設の規模順(小さい順)にしたので、たぶん早目の登場となる。
無料で登録も不要なので、2月1日(土)19:00になったら下記をクリックしてほしい。

プレゼンを見る前の予備知識として、広島市現代美術館の「note」で2m26の2人のインタビューが読める。同館が2021年に休館中だった期間のために制作した「ツールボックス」に関するものだ。(こちらの記事)
その記事の冒頭にこんなコメントが…。「日本に行こうと思った理由は色々ありますが、一番は日本の工芸と温泉に興味があったからです(笑)」。しまった、2時間近く2人と話をしたのに、「温泉」という盛り上がりワードがあったとは…。今度、じっくり「湯けむり建築」の話もしましょう!(宮沢洋)
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