「粟津潔邸」で体感する原広司氏と粟津潔氏の共振、「AWAZU HOUSE INTO THE FUTURE!」が開幕

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 川崎市の「AWAZU HOUSE ART CENTER/粟津潔邸」で「AWAZU HOUSE INTO THE FUTURE ! 粟津潔邸 (1972) アワヅハウス、過去、現在、そして未来へ!」が5月23日(金)から始まった。

ずらっと並ぶ粟津潔邸の図面。原広司氏の事務所、アトリエ・ファイ建築研究所の協力を得て実現(写真:宮沢洋、以下も)

 会期は6月29日(日)までの金・土・日曜だ。

 「AWAZU HOUSE ART CENTER」をご存じだろうか。もとは1972年に原広司氏の設計で完成した粟津潔氏(1929~2009年)の住まいだ。戦後日本のグラフィック・デザインをけん引した粟津潔氏は、2009年に亡くなるまで無数の作品をこの家で生み出した。と同時に、ここに文学者や音楽家、美術家など多くの人が集い、交差した。建築界との接点も濃厚で、1960年に発足した「メタボリズム」の当初メンバーであり、菊竹清訓や黒川紀章らと実際の建築でもたびたび協働した。

 原氏にとっては、その後10年にわたって世界中の集落を調査しながらつくっていくこととなる〈反射性住居〉の原型といわれる。構成のよく似た原氏の自邸(東京都町田市)が完成するのは2年後の1974年だ。

 粟津潔氏が亡くなってから13年がたった2022年、子息でアート・プロデューサーの粟津KEN氏がこの家を完成当時の姿に戻し、2023年秋からはアートスペースとして不定期に公開している。

 これまではアート系のイベントが多かったが、今回はテーマが“粟津潔×原広司×粟津邸”。これはBUNGA NETの読者ならば行かない手はないだろう。展示された図面を見て、実際の空間を体感し、さらに粟津潔氏と原氏の“共振”に思いをはせる。あっと言う間に2~3時間がたちそうだ。

 筆者(宮沢)は、粟津潔氏がなぜ菊竹清訓や黒川紀章でなく、原氏に設計を依頼したのかがずっと疑問だった。今回の展示を見ながら粟津KEN氏の話を聞き、少しだけわかった気がした。それは改めて「ライフルホームズプレス」の連載「愛の名住宅図鑑」で書くと思うのでお楽しみに。(宮沢洋)

原氏の著作『建築に何が可能か』の装丁も粟津潔氏による。原氏の「有孔体理論」にかけて外箱に穴があけられている

イベント概要
「AWAZU HOUSE INTO THE FUTURE!」
粟津潔邸 (1972)
アワヅハウス、過去、現在、そして未来へ!

若き原広司による超傑作な空間、そこで何が起こったのか、そして、これから何を起こしてゆくのか。どんなに立派な建物でも、どんな権威的な建築家のデザインだろうと、そこで何がおこっているのか、魂がそこにあるのか、それが問題だ。
建築界では「粟津潔邸」として知られるこのレジェンドな家、現代芸術の実践現場として生まれ変わる。Awazu House Art Center 、今、スタート!

会期:
2025年5月23日 (金)~6月29日(日)
金・土・日のみオープン
11:00 ~18:00 (最終入場 17:30)

*月〜木は閉館していますのでご注意ください。
会場:
AWAZU HOUSE ART CENTER/粟津潔邸
川崎市多摩区南生田1-5-24
小田急線「読売ランド前」駅より徒歩約 15 分
小田急線「生田」駅よりタクシーで約7分

入場料:
大人:2000円/大学生:1500円
障害者手帳をお持ちの方:1500円
高校生以下:無料
*当日現金精算のみ/予約不要
公式サイト https://awazuhouse.setenv.net/