「ユニバーサルスペース」とは、モダニズム建築の大巨匠、ミース・ファン・デル・ローエが提唱した「床・天井・壁・最小限の柱で構成される空間」のことだ。「柱が少ない」=「何にでも使える」がモダニズムの基本原理と言ってよいだろう。その考え方は、ポストモダニズムの時代に移っても基本は変わらなかったが、ここに来て、新たな柱の意味を考えさせる空間が現れた。
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なんだかすごく大きな前振りになってしまったが、9月21日、JR柏駅(千葉県柏市)西口直結の柏髙島屋ステーションモール内に「BeARIKA(ビーアリカ)」が開業した。空間設計を三井嶺氏(三井嶺建築設計事務所)が担当した。
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「BeARIKA」は、柏髙島屋ステーションモール新館10階・11階に新設された複合型コミュニティスペース。髙島屋と連結子会社で ある東神開発株式会社が、2023年秋より行っている柏髙島屋ステーションモールでの大規模リニューアルの実施に伴い、2024 年9月21日に開業した。「新しい可能性のありか。そして、そんなのありか!」という発見が生まれ続ける「柏の街の居場所」を目指す。
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お目見えした「BeARIKA」でまず目をひくのは、大きな開口部の明るい空間に林のように立つ円柱。構造は負担しておらず、物を付け替えやすくするために新たに建てたものだ。円柱の表面を、棚の中などにあるステンレス製棚柱(通称「ガチャ柱」)がぐるっと覆っている。ここに差し込む既製品の取り付け金具を利用して、取り外し可能なテーブルや引っ掛け棒などをつくった。
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柱は一見、ランダムに立つように見えるが、60度グリッドで立っている。これは既存の天井配管や空調を避けるための工夫であり、「フランク・ロイド・ライトに見られる空間の面白さ」を取り入れたものであるとも三井氏は語る。
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三井氏はこの柱を「ゆる柱」と呼ぶ。設計チームの隠語としてそう読んでいるのかと思ったら、プレスリリースにも「ゆる柱」と書いてあった(太字部)。
「BeARIKA」の特徴である「ゆる柱」は、ネーミングからも分かるように存在感がどことなくユルく、誰もが手軽に使い方を工夫できる、 取っ掛かりのあるデザインが特徴です。柱にはフックやアームを引っ 掛けることができ、便利にアレンジすることも可能です。「ゆる柱」に よって、「BeARIKA」がさらに街の人々の居心地の良い空間を作り出してくれます。
事業者チームも、この柱をベースに企画をつくり込んでいったことが伝わる。
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新館10階には、「ポップアップ」や「ホール」、「スタジオ」など様々な形態のレンタルスペースが設けられた。カフェが併設された「オープンスペース」もある。
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新館11階には、絵画など作品発表の場として活用できる「ギャラリー」、スモールオフィスや活動拠点として月額で利用できる「ブース」がある。そして、三井氏の内装設計ではないが、TSUTAYAのコワーキングスペース「SHARE LOUNGE(シェアラウンジ)」が千葉県に初出店している。
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仕切られた部屋の壁を固定する柱は、よく見ると十字断面。三井氏も決してミースが嫌いなわけではないようだ
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実は筆者(宮沢)は柏駅西口近くにある県立高校の出身で、柏高島屋が通学路だった。こんな空間があったら、ゆるっと入り浸ったかもしれない。(宮沢洋)
■施設築概要
名称:BeARIKA(ビーアリカ)
所在地: 千葉県柏市末広町1-1 柏髙島屋ステーションモール 新館10階・11階
事業主: 東神開発株式会社
企画・運営サポート:株式会社リビタ
フランチャイズ契約:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 ※SHARE LOUNGE部分
空間設計: 株式会社三井嶺建築設計事務所
運営業務委託: 日本駐車場開発株式会社
面積:
[新館10階]オープンスペース: 全体[132㎡(40坪)] ※ドトールコーヒーショップ[22㎡(7坪・座席除く)] レンタルスペース: キッチン[82㎡(24坪)]・スタジオ[106㎡(25坪)] ・ホール[156㎡(47坪)]・ポップアップ[130㎡(40坪)]
[新館11階] SHARE LOUNGE ※時間制カフェラウンジ[395㎡(119坪・107席)] レンタルスペース: ブース[3~17㎡(合計10部屋)]・ギャラリー[155㎡(47坪)]
営業時間: 10:00~20:00 ※SHARE LOUNGEは[平日]8:30~21:00 [土・日・祝]10:0~20:0
公式サイトURL: https://www.takashimaya.co.jp/kashiwa/stemo/bearika/