銀座の一等地で気になっていた人も多いであろう「Ginza Sony Park プロジェクト(銀座ソニーパークプロジェクト)」の竣工内覧会が8月23日の朝に行われた。筆者は施工途中にも見学させてもらっていたのだが、ようやく写真を出してよいとのことで、まずは「ほぼ最終形」を伝える速報である。一般公開は年明けだ。
1階部分はすでに公道からも丸見えだ。下から上っていくとこんな感じの見え方となる。
建築関係者はもちろん、かつてここにあった「銀座ソニービル」(設計:芦原義信、1966年竣工)をご存じだろう。スキップフロアで8階まで空間がぐるぐるつながる名建築だった。後に『街並みの美学』を著す芦原義信氏の都市の開き方の実践例である。
新ビルは、この名建築を壊して建てたものなので、ずっと“記憶の中の傑作”と比較され続けられる宿命を負っている。だが、竹橋のパレスサイドビルディング(日建設計/1964年)がそうであったように、新ビルが旧ビルにも優るものであるならばやがてそれも名建築と呼ばれるようになる。(※パレスサイドビルディングはアントニン・レーモンドの傑作、リーダーズダイジェスト東京支社/1951年を壊した跡地に建てられた)
竣工した「Ginza Sony Park プロジェクト」の見たことのないグルグル感は、旧銀座ソニービルのスキップフロアを意識したものであることは明らか。それが旧ビルを越えたものであるかは、これから何年もかかって評価されていくのだろう。
名称:Ginza Sony Park(銀座ソニーパーク)
所在地:東京都中央区銀座5丁目3番1号
フロア構成:地上5階、地下4階 ※ 地下4階は機械室など
敷地面積:707.42㎡
延床面積:4,390.39㎡
高さ:33.86m
設計:Ginza Sony Park Project
竣工日:2024年8月15日
地下では「Ginza Sony Park プロジェクト展」が9月29日(日)まで
「そもそもGinza Sony Park プロジェクトって何なの」?という方は、プロジェクトの概要をプレスリリースからのコピペでご覧ください(太字部)。
Ginza Sony Park プロジェクト(銀座ソニーパークプロジェクト)は、東京・銀座のソニービル(東京都中央区銀座5-3-1)の建て替えプロジェクトの最終形として、数寄屋橋交差点にあえて低く構えることで街に余白を生み出す新しい「Ginza Sony Park」を2024年8月15日に竣工しました。
1966年に「街に開かれた施設」をコンセプトにつくられたソニービルの角地で、長年多くの人々に親しまれた10坪のパブリックスペース「銀座の庭」。新しい「Ginza Sony Park」は、この「銀座の庭」を継承・拡張させた「銀座の公園」として、都会の中に余白とアクティビティをもたらし、街や人に新たなリズムをつくっていきます。グランドオープンは2025年1月を予定しています。
このたびソニービルのリニューアルとして竣工した新しい「Ginza Sony Park」は、地上5階、地下4階のSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の建物で、銀座の標準的な建物の半分ほどの高さにあえて低く構えることで、集積率の高い都会の中に余白と新しい景観を生み出しています。また、ソニービルが大切にしてきた「街に開かれた施設」という設計思想と、「ジャンクション建築」「縦のプロムナード」といったユニークな建築的な要素はGinza Sony Parkにも継承されています。
かつて銀座・数寄屋橋交差点に面したソニービルの角地には、 “ソニースクエア” という10坪のパブリックスペースがあり、春には鮮やかなガーベラの花を、夏には涼しげなアクアリウムを設置するなど、季節ごとに四季折々のイベントを開催。都市を修景的につくるという思想から、余白の少ない都会の中に街との接点となる外部空間を設け、街を訪れる誰もが楽しむことができるように設計されたこのパブリックスペースは「街に開かれた施設」の象徴でした。ソニーのファウンダーのひとりでソニービルの創業者である盛田昭夫はこの10坪のパブリックスペースを「銀座の庭」と呼びました。Ginza Sony Parkは50年間続いたこの「銀座の庭」の思想を継承し、「銀座の公園」として拡張させ、人々が思い思いに過ごせる多くの余白と、体験型のプログラムや飲食などさまざまなアクティビティによって、街や人々にリズムを生み出す場となることを目指します。
都市機能を内包する稀有な立地にあるGinza Sony Parkは、地上の三方が道路に面し、地下は地下鉄コンコースと地域最大級の地下駐車場に直結しています。ソニービルから続く、これらの都市機能と建物を有機的に結びつける「ジャンクション建築」の考えもGinza Sony Parkは継承しています。地上では数寄屋橋交差点からの動線を開放的な吹き抜け空間で受け入れ、地下動線も内と外を区切る扉や壁をなるべく設けずにシームレスにつなぐことで、銀座の街を訪れる人々が気軽に行き交うことのできる空間を実現しています。さらに地下鉄コンコース接続部にはかつてのソニービルの躯体の一部を残し、進化と同時に積層された建物の歴史を見ることができます。
また、ソニービルは、「花びら構造」と呼ばれる決して広くはない敷地面積に建つ建物を如何に有効に使うかという視点で考え出されたスキップフロアによって、地上階のフロアを連続した空間でつなぐ「縦のプロムナード」を実現していました。Ginza Sony Parkではこのコンセプトを進化させ、大胆に地上の外部空間を取り込みながら地下3階から地上5階(屋上)まで建物全体をつなげる一本の新たな「縦のプロムナード」をつくり出しています。
さらに、Ginza Sony Parkは銀座の街の中では珍しい打ち放しコンクリート建築で、普通ベニヤ型枠を採用したコンクリート打設により、とても大らかでプリミティブな表情を見せ、重心の低い建物のフォルムとあわせて、公園の持つプラットフォーム的な要素を体現しています。そのコンクリートの躯体を覆うステンレスのグリッド状のフレームは、壁面を使った様々なアクティビティを展開する機能的なファサードとして、また設備増設時の配管などを通す共同溝としての役割を担っています。それに加え、このフレームは公園と街とのゆるやかなバウンダリーとなり、その隙間から地上の大きな吹き抜け空間の中に入り込む光が、まるで木漏れ日のような変化をもたらします。
「街に開かれた施設」というソニービルの設計思想と創業者の想いを継承・拡張させ、余白とアクティビティで街や人々に新しいリズムをもたらす場「Ginza Sony Park」。ソニービルがこの銀座・数寄屋橋の地から、世界に向けて多くの情報を発信し文化をつくってきたように、私たちも「Ginza Sony Park」から新たな挑戦を始めていきます。
なお、竣工から2025年1月(予定)のグランドオープンまでの間にも、新しいGinza Sony Parkで建築内覧ツアーなどを計画しています。詳細は随時お知らせします。
ということで、オープン前に中を見る機会はまだ何度かあるようだ。まずは下記をチェックしてほしい。
■ 先行公開「Ginza Sony Park」建築内覧ツアー
Ginza Sony Parkグランドオープン前に、竣工直後の建築を期間限定で公開。Peatixでの事前申し込み(定員制、先着順)が必要になります。詳しくはSony Parkの公式WebやSNSをご確認ください。
日程:2024年8月30日(金)~9月1日(日)
時間:10:30~11:30、14:00~15:00、16:30~17:30(予定)
場所:Ginza Sony Park(東京都中央区銀座5丁目3番1号)
WEB:https://ginzasonypark20240815.peatix.com
そして本日8月23日から「Ginza Sony Park プロジェクト展」↑も始まった。9月末までに銀座に行く人は、銀座線地下1階のコンコース脇、西銀座駐車場地下1階の入り口あたりをのぞいてみてほしい。(宮沢洋)
■「Ginza Sony Park プロジェクト展」
1966年開館のソニービルから2025年1月にグランドオープン予定のGinza Sony Parkへの継承と拡張のプロセス、そして1050日間の新築工事の記録を映像や写真で展示します。
日程:2024年8月23日(金)~9月29日(日)
時間:11:00~19:00(予定)
場所:Sony Park Mini(東京都中央区銀座5丁目3番1号地先 西銀座駐車場地下1階)
WEB:https://www.sonypark.com/mini-program/list/056/