葛西臨海水族園の新館PFIはNEC・大建設計・鹿島らが落札、一見地味な外観は現施設へのリスペクト?

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東京都財務局は8月26日、いわゆる葛西臨海水族園「新館」のPFI事業の落札者をNECキャピタルソリューション、大建設計、鹿島などのグループに決定したことを公表した。以下、発表資料より(太字部、資料も都の発表より)。

葛西臨海水族園(仮称)整備等事業(以下「本事業」という。)について、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(平成11年法律第117号)第8条の規定により、本事業に係る「総合評価一般競争入札」を実施し、落札者を決定したので、同法第11条に基づきその結果をお知らせします。

1 落札者
INOCHIグループ
代表企業 NECキャピタルソリューション株式会社
構成員 株式会社大建設計 鹿島建設株式会社 株式会社安藤・間 株式会社乃村工藝社 新菱冷熱工業株式会社 株式会社日テレアックスオン 株式会社ハリマビステム
協力企業 日プラ株式会社 山王総合株式会社 株式会社ゼットン

2 落札金額
431億4438万6762円(税込) (予定総額432億1705万円(税込)
3 事業期間
事業契約締結の日の翌日から令和30年3月31日まで
4 事業内容
(1)現在の葛西臨海水族園の敷地内における、新たな水族園の整備
(2)新たな水族園に係る、維持管理業務及びレストラン運営業務の実施
(中略)
7 落札者決定までの経緯
令和3年9月16日 実施方針及び要求水準書(案)の公表
令和3年12月9日 特定事業の選定
令和4年1月12日 民間事業者の募集(入札公告)
令和4年8月25日 落札者の決定
(中略)
10 今後のスケジュール(予定)
令和4年9月中旬 基本協定の締結
令和4年12月 第四回都議会定例会にて議決後、事業契約の締結
令和10年(2028年)3月 新たな葛西臨海水族園開園

発表資料はこちら

(写真:宮沢洋、以下も)

新館は、PFIのBTO(建設・譲渡・運営)方式で整備する。既存施設の老朽化などに伴い、公園内に建て替える。新館の規模は延べ2万2500㎡程度、総水量は約4600tを想定している。

新館がつくられるのは北側(配置図右手前)の広場部分

五洋建設・日建設計らのグループを破る

入札には2グループが参加。技術審査委員長は倉渕隆・東京理科大学工学部建築学科教授が務めた。

落選となったもう1グループは五洋建設を中心とする「TOKYO Aqua-Lifeグループ」。都が同時に公表した「入札経過調書」によると、「TOKYO Aqua-Lifeグループ」の構成メンバー(下記)には日建設計が含まれていた。

五洋建設(株)、西武建設(株)、(株)トータルメディア開発研究所、日本管財(株)、(株)東洋実業、(株)日建設計

同グループの入札額は422億0101万7955円で、NECグループよりも低かったが、提案書の加点で逆転され、総合評価点はNECグループ632.0、五洋建設グループ568.0だった。提案書の「施設整備に関する事項」で差がついた。

「壊さない」と明言してほしい !

ここからは、宮沢の短い感想。

まず、これだけ注目されているプロジェクトなのだから、五洋建設・日建設計ほかグループの提案書も見たかった(今のところ公表されていない)。点数だけ公表されてもよく分からない。

NECグループには、水族館を得意とする大建設計が入っているので、きっと手堅い施設ができるのだろう。私は『イラストで読む建築 日本の水族館五十三次』を上梓したばかりなので、大建設計の水族館がどれもそつなくできていることよくを知っている。

公表されたイメージ図(上)を見ると、一見外観が地味ではあるが、これは谷口吉生氏設計による現・葛西臨海水族園をシンボルとして生かす、という意図だと前向きに理解したい。

都の「既存施設利活用の基本的考え方」(令和3年9月)が結局、現施設をどうするつもりなのか、よく分からない。新館の事業契約の段階で、「壊さない」と明言してほしい。(宮沢洋)