第2回「東京建築祭」が盛況のうちに幕を閉じた。

実行委員兼“準公認メディア“の責務として、メイン期間の2日間(5月24日、25日) 、足にマメをつくりつつ、できる限り多くの催しを取材して回った。筆者(宮沢洋)が見た順にお伝えする。
■1日目:5/24(土)10:00-11:00
【東京大学理学部2号館】紡がれてきた知の風景ー東京大学キャンパスの建築を読み解く
初日(17日)から23日までは銀座や丸ノ内を中心に巡ったので、この日は北と南を攻める戦略。まず向かったのは東京大学(本郷)での特別講義。

公式の案内文はこちら(太字部)。
東京大学キャンパスの建築群には、90年を超える時間の積層と、使われ続けることで醸成された大学らしさがあります。本講演では、建築史家でありキャンパス計画室長を務める加藤耕一さんが、「時間性」と「物質性」という視点から、東京大学の建築が紡いできた知の風景を読み解きます。
【登壇者】
加藤耕一(東京大学)
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授、キャンパス計画室長。東京大学で博士(工学)を取得後、パリ第4大学にて客員研究員を務めるなど国内外で研鑽を積む。西洋建築史を専門としながら、建築の「時間性」と「物質性」に関する理論研究を推進し、東京大学キャンパスの建築群を中心に実践的な研究を展開。日本建築学会賞、サントリー学芸賞など受賞多数。建築史と現代社会を架橋する知見を発信。
【会場】
東京大学理学部2号館 4F講堂

東京大学 理学部2号館
竣工年│1934年
設計│内田祥三

加藤耕一教授といえば、伝統の東大建築史の頂上にいる方。非建築出身の筆者とは対極の人だと思っていたのだが、講演冒頭に語ったのは、「点の建築史」から「線の建築史」への意識転換の重要性。それって、『建築巡礼』と同じメッセージではないか! 急に身近な人に思えてうれしくなった。

講演の後は建物内の特別公開が行われた。今回の講演や公開は、老朽化した理学部2号館の設備改修・更新を目的とする「理学部2号館を救え! | 東京大学基金」の一環だという。救いたい!と思った方はこちらから寄付を。→ https://utf.u-tokyo.ac.jp/project/pjt197
■1日目:5/24(土)11:10
鳳明館 本館(特別公開)
東大から10分ほど歩いて「鳳明館 本館」へ。こんな建築があったのか…。「東京建築祭」の間口の広さを改めて感じる。

明治31年創業の「鳳明館」は、本郷下宿の姿を今に伝える、登録有形文化財の木造建築です。戦後 旅館に改築された建物には、かつての銘木を贅沢に使った意匠や、職人の手仕事が随所に見られます。今回の特別公開では、改築の歴史を物語るエントランスホール、レトロな趣の「ひょうたん風呂」、つくり手の遊び心が詰まった「朝日の間」「ゑびすの間」をご覧いただけます。

特別公開:1F(ロビー、資料室 、ひょうたん風呂、竹の間)
2F(朝日の間、ゑびすの間)
鳳明館 本館
場所│東京都文京区本郷5-10-5
竣工年│1898年
文化財指定│登録有形文化財

■1日目:5/24(土)11:45
旧岩崎邸庭園(特別公開)

旧岩崎邸庭園に佇む、日本でも珍しいシャレー風建築の撞球室(ビリヤードルーム)を特別公開。英国人建築家ジョサイア・コンドルが設計し、スイス山岳地帯の建築を思わせる木造平屋建ての空間で、壁紙に使用されている金唐革紙の技がよく分かる貴重な版木ロールを展示。また、開催期間中は、特別に洋館前の芝生に立ち入れるエリアを設け、ベランダを彩る英国ミントン社のヴィクトリアンタイルを外側から間近で見学することができます。
特別公開:撞球室
旧岩崎家住宅
竣工年│1896年
設計│ジョサイア・コンドル(洋館・撞球室)
文化財指定│重要文化財(洋館・撞球室・大広間)
普段見られないのは、この「撞球室」↓。これもコンドルの設計。


■1日目:5/24(土)12:20
東京都美術館(特別公開)

ル・コルビュジエの薫陶を受けた前川國男の晩年の設計による、東京都美術館。機能ごとに配置された空間、地下を活かした構造など、都市的な要素を内包する緻密な構成で、上野公園の森に溶け込むように設計されています。この設計思想が後の作品に引き継がれ、後期の前川國男の代表作を生み出したプロトタイプとも言える建築です。今回、前川建築の特徴であるサンクンガーデンを望む旧野外彫塑室を特別公開します。東京大空襲を生き延びた大イチョウとともに地下空間と自然が調和する空間を堪能ください。
特別公開:旧野外彫塑室
東京都美術館
竣工年│1975年(リニューアル 2012年)
設計│前川國男建築設計事務所
施工│大林組(リニューアル 大成JV)
その他│第23回BELCA賞



■1日目:5/24(土)13:00-14:00
【TAKANAWA GATEWAY CITY】最新都市を歩く特別ツアー
山手線で南へ移動。高輪ゲートウェイ駅へ。
第1回の開催前に倉方俊輔委員長と、「変化し続けることも東京らしさの1つではないか」という話をした。すでに存在し愛されている建築だけでなく、今まさに出来上がろうとしているこの巨大プロジェクトのツアーを筆者は楽しみにしていた。

この春まちびらきを迎えたTAKANAWA GATEWAY CITY。駅と街が一体となる未来の都市空間を、JR東日本の担当者とともに巡ります。駅の建築デザインや街のランドスケープを体感しながら、2026年春のグランドオープンに向けたまちづくりの最前線に迫ります。
【ガイド】
武田幸彦 東日本旅客鉄道マーケティング本部 まちづくり部門 品川ユニットマネージャー
新沼沙智子 東日本旅客鉄道マーケティング本部 まちづくり部門 品川ユニットチーフ

高輪ゲートウェイ駅
竣工年│2020年
設計│東日本旅客鉄道、JR東日本建築設計、隈研吾建築都市設計事務所
施工│大林組+鉄建建設
その他│2020年 グッドデザイン賞
TAKANAWA GATEWAY CITY
竣工年│2025年(グランドオープン2026年春)
全体デザイン構想│ウィリアム・D・チルトン、隈研吾
設計│JR東日本建築設計・JR東日本コンサルタンツ・日本設計・日建設計JV
施工│大林組、鹿島建設、フジタ



■1日目:5/24(土)14:40
慶應義塾 三田演説館(特別公開)
ここは20年ぶりに再訪した。2005年に『建築家が選んだ 名建築ガイド』(日経BP)という本をつくったときに、藤森照信氏が「東京の名建築10選」の1つに選んだ建築だ。

三田演説館は福沢諭吉の思想を今に伝える建築です。福沢諭吉は英語のスピーチを「演説」と翻訳、三田演説会を結成して演説を奨励し、それを行う日本で最初の演説会堂を構内に建てました。和風のなまこ壁の内側には、高い天井の広間。まだ西洋の建設技術が十分でなかった明治初期に、近代社会を自分たちでつくるための新しい空間を求めた構想力、それを実現した高度な大工技術に出会えます。
慶應義塾 三田演説館
竣工年│1875年
文化財指定│重要文化財



関連プログラムとして、「慶應義塾 図書館旧館」で特別展示も行われた。

慶應義塾 図書館旧館
竣工年│1912年
設計│曾禰中條建築事務所
施工│戸田組
文化財指定│1969年国指定重要文化財
その他│関東大震災、東京山手大空襲で損傷、修復。2019年免震化。
2021年2階旧大閲覧室を展示館に改装し一般公開。

■1日目:5/24(土)18:00-20:00
【港区立郷土歴史館(旧公衆衛生院)】近代建築の名作、設計担当者と巡る保存と活用の軌跡
この日2件目の「内田ゴシック」だ。「近くならいつでも行ける」と思ってしまう建築の典型で、初めて中に入った。

1938年に竣工した内田祥三設計の「旧公衆衛生院」を、港区は「生きた文化遺産」として保存・活用しています。創建時の意匠が色濃く残る「内田ゴシック」の佇まいは、外観はもちろん、エントランスや旧講堂、旧図書閲覧室などにも。国立研究機関の風格をいかに保存し、活用したのか。改修設計にあたった日本設計の古賀大さん、内藤浩司さんの解説で館内を巡ります。
【ガイド】
古賀大 共立女子大学教授、日本設計理事
内藤浩司 日本設計リノベーション設計部シニアアーキテクト


旧公衆衛生院(港区立郷土歴史館等複合施設)
竣工年│昭和13(1938)年/改修:平成30(2018)年
設計│内田祥三/改修:基本設計・実施設計監修;日本設計、実施設計;大成建設、香山壽夫建築研究所、JR東日本建築設計
施工│大倉土木株式会社(現・大成建設)/改修:大成建設、東光電気工事、ダイダン、三晃空調
文化財指定│港区指定文化財
その他│2020年 日本建築学会賞(業績)、第29回BELCA賞 ベストリフォーム部門、2018年 国土交通大臣賞 耐震改修優秀建築賞、2018年 照明普及賞、第6回 日本展示学会賞

■1日目:5/24(土)18:00-20:00
【日比谷OKUROJI】日本建築祭まつり — 私たちの「建築祭」を語り合う
これはオンラインで配信もされたイベント。

「建築祭」は現在、日本全国で拡がりを見せています。それらの主催者が一堂に会して、それぞれの街の建築祭を語り、建築をアピールする機会、それが「日本建築祭まつり」です。祭りの雰囲気の中から、訪れたくなる各地域の違いも見えてくるはず。建築祭がより深まり、一層ひろがるための道筋も見えてきそうです。
【モデレーター】
東京建築祭
実行委員会実行委員長 倉方俊輔
【プレゼンテーター】
生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(イケフェス大阪) 実行委員会事務局長 髙岡伸一さん(↓)

オープンナガヤ大阪 実行委員会実行委員長 中野茂夫さん
ひろしまたてものがたりフェスタ 実行委員会副委員長 高田真ん
あいちたてもの博覧会 実行委員会実行委員長 村瀬良太さん、実行委員会事務局長 石田富男さん
京都モダン建築祭 実行委員会実行委員長 笠原一人さん
神戸モダン建築祭 実行委員会実行委員長 松原永季さん
はんだ建築まつり 実行委員会実行委員 夏目欣昇さん、実行委員会実行委員・事務局 井澤幸さん
なめりかわ建物フェス 実行委員会実行委員長 法澤龍宝さん
ひろしま国際建築祭 総合ディレクター 白井良邦さん、チーフキュレーター 前田尚武さん、広報 守田美奈子さん

京都モダン建築祭実行委員長の笠原一人氏(本業は建築史家で、京都工芸繊維大学准教授)の言葉にグッときた。「京都モダン建築祭はこれから1000年続けます。そうすれば祇園祭に並ぶものになる」。なんて素晴らしいフレーズ。さすが言葉の魔術師、笠原氏。東京建築祭も“1000年続く祭り”、いただきます!
ちなみに笠原氏はBUNGA NETの恩人。このサイトのトップページには、「建築ネットマガジン『BUNGA NET』では、文と画(ブンガ)のコラボレーションで、建築・都市・デザインの気になる話題を発信していきます」と書かれている。この「建築ネットマガジン」という言い方は、笠原氏がSNSで当サイトをそう表現しているのを筆者が見て、「それいい!」と思って、使わせてもらっている。
■2日目:5/25(日)10:00
日建設計東京オフィス(本店)(特別展示)
2日目の午前中は、設計事務所のオフィス公開を見て回ることにした。まずは、飯田橋と水道橋の間にある日建設計の東京オフィスから。

日建設計は、1900年の創業以来、建築家やエンジニア、プランナーなど多様な専門性を結集し、設計に取り組んできました。2021年の大規模リノベーションで持続可能な未来を見据えたオフィス空間へ生まれ変わった日建設計東京ビル。その1F・2Fで、日建設計が手がけた建築の設計図やスケッチ、模型が特別展示されます。普段は目にできない資料からは、建築をつくってきた人々の思いも感じ取れるでしょう。都市の展開を担ってきた軌跡を、設計現場の足元でご確認ください。
場所:東京都千代田区飯田橋2-18-3
特別展示:1F・2Fに設計図面などを展示
日建設計東京ビル
竣工年│2003年
設計│日建設計
施工│藤木工務店・奥村組・鉄建建設
その他│JIA環境建築賞、日経ニューオフィス賞など


■2日目:5/25(日)11:00
MARU。architecture(特別公開)

蔦に覆われたかつての印刷工房を設計事務所へリノベーションしたMARU。architecture東京事務所を特別公開します。柔らかく光を取り込む大きな障子のような框戸の中へ足を踏み入れると、コの字型にデスクが配されたスタジアム形式の空間へ。稼働中のすべてのプロジェクトを一望するギャラリーや、上階の打ち合わせスペースに設えられた小さな吹抜けなど、内と外、上と下の境界をゆるくつなぎ、会話が生まれる仕掛けが散りばめられています。まちとつながる建築が生み出される現場で、MARU。architectureの設計思想を体感してください。
場所:東京都台東区上野桜木1-4-5
特別公開:オフィススペース(1F・2F)


MARU。architectureのオフィスは普段取材に行ってもこんな感じのオープンな事務所なのだが、今回は執務スペースを全部見られるという潔さ。
筆者が建築を取材し始めたばかりのころ(1990年)、設計事務所のオフィスの“社会との接点のなさ”が衝撃だった。取材に行っても、表札がない事務所が結構あったのである。その頃にこんな事務所があったら、用がなくても遊びに行っただろう。
そんな姿勢の彼らだから、こんなスカッと爽快な建築が生まれるのだ↓。


■2日目:5/25(日)12:00
安井建築設計事務所 東京事務所(特別公開)
オープンな設計事務所といえば、ここも忘れてはならない。

安井建築設計事務所は1924年に建築家・安井武雄が創設し、サントリーホールや、東京国立博物館などの文化施設をはじめ、病院、商業施設など、幅広い分野の建築設計を手掛けています。築約60年のオフィスビルをリノベーションし、1Fは「まちとつながりながら、私たちも自らやりたいことを実践する場所」、2・3Fは「自ら働き方を組み立てる場所」を設けました。まちと混ざり合う新しいオフィス空間を体感してください。移転計画に関わった設計者による事務所ツアー、『一枚の紙で建築をつくろう!「折り紙建築」ワークショップ』を開催します。
場所:東京都千代田区神田美土代町1
特別公開:1F・2F パブリックスペース

安井建築設計事務所 東京事務所
竣工年│1966年 / リノベーション:2024年
設計│リノベーション:安井建築設計事務所
施工│リノベーション:大林組(1F外装、階段周り)、コクヨ(内装)

■2日目:5/25(日)13:30
NOVARE Archives(清水建設歴史資料館)(特別公開)
いったん東へ向かい、潮見駅前のここへ。去年から見てみたくて、ようやく見ることができた。これは清水建設の自社施設公開である。


「旧渋沢邸」の移築はテレビなどでも話題になっていたが、筆者が見たかったのは資料館の方だ。
清水建設のイノベーションと人財育成の拠点「温故創新の森 NOVARE」。伝統と最先端技術が融合するこの施設は、異業種との交流による先端技術の研究、ものづくり研修施設のほか、資料館など、様々な機能を持った複合施設です。2023年の竣工以来、関係者を対象に見学・利用されていますが、今回、そのうちのNOVARE Archives(清水建設歴史資料館)を特別公開します。近世の大工棟梁とその精神、そして近現代の挑戦の歴史まで。豊富な資料と圧巻の建築模型の数々。旧渋沢邸を一望する眺望も見どころです。
場所:東京都江東区潮見2-8-20
特別公開:NOVARE Archives(清水建設歴史資料館) ※旧渋沢邸は対象外

温故創新の森 NOVARE
竣工年│2023年
設計│清水建設
施工│清水建設
文化財指定│江東区指定有形文化財(「旧渋沢家住宅」)
その他│2024日経ニューオフィス「経済産業大臣賞」ほか


この模型の各部分を解説するだけで1冊の本ができるなあ…(つくりたい…)。ちなみに下記の記事はいまだによく読まれているので、ご参考まで。
代々木競技場が重要文化財内定、「世界初の二重の吊り構造」を世界一わかりやすく解説します!(2021年5月21日公開)
■2日目:5/25(日)15:00
泰明小学校(特別公開)
銀座方面に戻る。前日、何人かからお薦めだと聞いた「泰明小学校」へ。

現存する数少ない復興小学校のひとつ、泰明小学校。つたが絡まる校舎と3Fのアーチ型の窓が趣ある校舎は、銀座の街並みに溶け込みながらも、独自の意匠で際立っています。連続アーチの優雅な外壁に設られた正門(フランス門)は、南フランスの貴族の館にあった門を輸入し銀座の街から寄贈されたもの。今回は、通常非公開の校庭、体育館、講堂を特別公開します。半円形の外壁が特徴的な体育館・講堂棟内部をじっくりとご覧いただけます。
場所:東京都中央区銀座5-1-13
特別公開:校庭、3F講堂、1F体育館
泰明小学校
竣工年│1929年
設計│東京市
施工│錢髙組
文化財指定│経済産業省認定近代化産業遺産
その他│東京都選定歴史的建造物

小学校を一般公開していただけるなんて、本当にありがとうございます!
■2日目:5/25(日)15:30
新東京ビルヂング(特別展示)
残り2時間を切ってラストスパート!

1960年代に丸の内で誕生した新たなビル群。その先鞭をつけた新東京ビルヂングは、アントニン・レーモンド事務所から三菱地所に移り、丸ノ内総合改造計画を担った杉山雅則をはじめ鷲頭昌、岩間旭等の設計によるものです。ガラスの横連窓が目を引く外観デザイン、1Fのエントランスホールは50m街区だった時代の東中通りや東西通りの名残を感じられる十字のコンコースが特徴です。おおらかな空間の中で輝くのは、矢橋六郎作のモザイク画「彩雲流れ」や幾何学的な照明器具。東京建築祭に合わせて、竣工時の写真や図面が特別展示されます。高度成長期ならではの機能性と装飾性との融合に光を当てます。
新東京ビルヂング
竣工年 │ 第1期 1963年 第2期 1965年
設計 │ 三菱地所
施工 │ 大成建設


この建築は現在、BUNGA NETで連載中の「杉山雅則」の三菱地所時代の代表作。いずれ連載の中で詳細にリポートする予定。こうご期待。
■2日目:5/25(日)16:00
明治生命館(特別公開)
これだけ有名建築を見続けた後でも、この建築の重厚感は飛び抜けている。

古典主義建築の最高傑作と名高いのが「明治生命館」。1997年には昭和期の建築として初めて、国の重要文化財に指定されました。皇居に面した外観はコリント式の列柱が品格を備えています。創建当時の姿を残す吹抜けの店頭営業室では天窓からの光を受けた吹き抜けの大空間が圧倒的。今回東京建築祭に合わせて、普段は非公開の7F講堂を特別に公開します。7F・8F吹抜けの大講堂は創建時の姿に復元され、映画館のような扉の向こうに広がる壁面のレリーフや窓枠の意匠など、その壮麗さを堪能ください。
特別公開:7F講堂
明治生命館
竣工年│1934年
設計│岡田信一郎
施工│竹中工務店
文化財指定│重要文化財


■2日目:5/25(日)16:30
三井本館(特別公開)
残り30分で、ここに駆け込み。昨年はすごい行列で驚いたが、今回は予約システムの効果で、だいぶ落ち着いた様子(それとも来る時間が遅すぎたのか)。


「三井本館」は現存する最古の、アメリカンタイプのオフィスビルです。1Fにある銀行の印象が強いですが、三井合名をはじめ、旧三井物産、三井鉱山など直系各社の本社機能を集中させるために建てられた複合ビルです。そのことが良く分かる合名玄関、エレベーターと5Fオフィスフロアを特別に公開。黒と白でデザインされた美しい床石、格間天井の精巧な装飾、今も現役で稼働する重厚なエレベーターといった創建時からの姿が受け継がれています。密やかで、歴史が感じられる空間です。
特別公開:合名玄関、エレベーター、5Fオフィスフロア
三井本館
竣工年│1929年
設計│トローブリッジ・アンド・リヴィングストン事務所
施工│ジェームズ・スチュワート社
文化財指定│重要文化財

公式の行事はここまで。2日間の総歩数は4万5000歩。いやあ、歩いた歩いた。雨も降らずによかったよかった。
■2日目:5/25(日)18:30
クロージングイベント@日比谷OKUROJI
最後は関係者の懇親会。ボランティアの方、建築の所有者の皆さん、ありがとうございました!


参加された皆さんも、この記事で初めて東京建築祭を知った皆さんも、来年の今頃お会いしましょう。1000年続けますよっ!(宮沢洋)
業務連絡:東京建築祭事務局より↓。
5/30まで、シンプル応援、伊東豊雄さんデザインのトートバッグ、横浜市開港記念会館特別見学会は、まだ申し込みいただけます! →https://motion-gallery.net/projects/tokyokenchikusai2025