写真77枚で見る第3回「東京建築祭」のメイン2日間、最注目の建設現場から明治のレンガ造建築まで

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 3回目の開催となる「東京建築祭2026」が盛況のうちに幕を閉じた。

 「あの人は何でも見られてずるい」という声に少し胸を痛めつつも、“東京建築祭準公認メディア”の責務として、メインの週末2日間(5月23日・24日)のイベントをできるだけ多くリポートする。(太字は東京建築祭公式サイトからの引用)

左は「Torch Tower」の建設現場ツアー、右は「旧近衛師団司令部庁舎」の特別公開の様子。東京建築祭の幅の広さがおわかりいただけるのではないかと…(写真:宮沢洋、以下も)

■5/23(土)10:00~11:30
【Torch Tower】設計者・施工者と迫る、日本一の超々高層開発プロジェクト

 メイン期間は、誰でも見られる特別公開や特別展示を中心に回る方針とした。だが、このTorch Towerツアーだけはこれまでの2回も参加しているので、今年の進捗を見たい。というわけで23日(土)の午前は、東京駅北東側の常盤橋からスタート。

現場の仮囲いに描かれていたイメージ図。完成すると高さ約385mで日本一高い
左からガイドの竹原直規氏(清水建設 常盤橋プロジェクト建設所所長)、住谷覚氏(三菱地所設計シニアアーキテクト)、永田大輔氏(三菱地所設計TOKYO TORCH設計室チーフアーキテクト)

東京の玄関口にそびえる新しいシンボル、Torch Towerの工事現場へ。エリア全体から建築デザイン、環境デザインまで、日本一の超々高層複合建築「Torch Tower」に三菱地所設計の住谷覚さん、永田大輔さん、清水建設の竹原直規さんらと迫ります。2028年エリア完成へ向けて、東京建築祭で生まれゆくまちを追っていきます。

Torch Tower
竣工年│2028年予定
設計│三菱地所設計
施工│清水建設

仮囲いの中へ
ダイヤグリッド架構、かっこいい! 400m近い高さになると、地震と同じかそれ以上に風の影響を強く受けるため、外周をこうした構造にすることになったのだそう
副所長の平野秀明氏(清水建設常盤橋プロジェクト建設所)の解説も熱かった!

 このプロジェクトの詳細は、折を見てBUNGA NETでお伝えしたい。ツアー終了後、徒歩10分ほどの「常盤小学校」へ。

■5/23(土)12:00
【常盤小学校】(特別公開)

 昨年の「泰明小学校」(銀座)に続く、「復興小学校」(関東大震災からの復興施設)の公開は大変ありがたく、勉強になる。

常盤小学校は、1929年に建てられた復興小学校です。アーチ状の出入口や半円形の窓、庇に施された幾何学的装飾など、表現主義の影響も伝えます。今回は創建当時の面影をとどめる旧館内部を特別公開し、校舎地下に現存する防空壕も間近に見学可能です(内部立ち入り不可)。あわせて国際教育の拠点として設けられた新館5階の和室や、日本橋歴史アーカイブスも公開します。地域の記憶が刻まれた教育の現場を体感する機会です。

常盤小学校
竣工年│1929年
設計│東京市
文化財指定│近代化産業遺産 東京都選定歴史建造物

遊び心満載のデザイン

■5/23(土)13:00
【安井建築設計事務所 東京事務所】特別公開

 神田方面に歩いて、安井建築設計事務所 東京事務所へ。安井建築設計事務所は、「イケフェス大阪」でもおなじみ“設計事務所公開”の先駆者。

安井建築設計事務所は1924年に建築家・安井武雄が創設し、サントリーホールや、東京国立博物館などの文化施設をはじめ、病院、商業施設など、幅広い分野の建築設計を手掛けています。築約60年のオフィスビルをリノベーションし、1階は「まちとつながりながら、私たちも自らやりたいことを実践する場所」、2・3階は「自ら働き方を組み立てる場所」を設けました。まちと混ざり合う新しいオフィス空間を体感してください。今回は特別企画として、トークセッションやミニコンサートを期間中に開催します。

安井建築設計事務所 東京事務所「美土代クリエイティブ特区」
竣工年│1966年、リノベーション:2024年
設計│リノベーション:安井建築設計事務所
施工│リノベーション:大林組(1F外装、階段周り)、コクヨ(内装)
受賞│屋内緑化コンクール2024 屋内緑化推進協議会会長賞、RCHITECTURAL DESIGN AWARD 2024 最優秀賞、第38回日経ニューオフィス賞ニューオフィス推進賞、2025年度グッドデザイン賞、第20回日本ファシリティマネジメント大賞 最優秀賞(鵜澤賞)

設計事務所とは思えない、開かれっぷり
見に行った時間に、たまたまミニコンサートをやっていた。あれ、左のチェロの方は…

<ミニコンサート>
安井建築設計事務所の音楽部による「ミニコンサート ―サントリーホールの1号機ピアノの音色とともに―」を1階で開催します。どなたでもお気軽にお立ち寄りください。
5/23(土)12:45ー13:15

佐野吉彦社長ではありませんか! うーん、開かれ度がさらに進化している!

■5/23(土)13:30
【JINS東京本社】(特別公開)

 安井建築設計事務所から徒歩5分。今年はJINS東京本社もオフィスを公開。

建築家 髙濱史子さんの設計で「壊しながらつくる」を体現したJINS東京本社。1階エントランス、2階は社員が自由な発想で使用する多目的スペース「原っぱ」、新作展示を行う3階ギャラリーに加え、5階執務室も公開。5階には、植物の力で空気を浄化する先進的なアート作品「ファブリカデラリア」を設置しています。変化を続けるオフィス空間の実験過程を体感してください。

JINS東京本社(安田シーケンスタワー)
竣工年│1999年、改装:2023年
設計│建物:安田総合計画、髙濱史子建築設計事務所(現:髙濱史子小松智彦建築設計)

植物の力で空気を浄化する「ファブリカデラリア」。心も浄化されそう
なんと、こんな仕組みだったのか!

■5/23(土)14:00
【岡田ビル】(特別公開)

 JINS東京本社から徒歩5分ほど。JINSと並ぶ神田のリノベ建築・ツートップ、「岡田ビル」へ。

大胆な「減築」を、1969年築の不適合建築に施した「岡田ビル」。床面積を減築させることで適法化と同時に採光や通風をもたらし、まちの骨格を更新する建築として生まれ変わりました。その社会性とデザイン性の高さから、2023年 グッドデザイン・ベスト100をはじめとして、多数の建築賞を受賞しました。今回は屋上まで続く階段と屋上を特別公開します。神田錦町のまちづくりに取り組む安田不動産と再生建築研究所がタッグを組んだ、独創的で豊かな建築空間を体験してください。

岡田ビル
竣工年│1969年
設計│改修時:再生建築研究所
施工│改修時:エフビーエス
その他│2023年グッドデザイン・ベスト100
    第50回東京建築賞 リノベーション賞、一般部門一類 優秀賞
    作品選集 2025

■5/23(土)14:45
【港区立伝統文化交流館】(特別公開)

 京浜東北線で神田から田町へ。改修されてから見たことのなかった「旧協働会館」へ。これはリノベ建築の先駆者、青木茂氏による改修。

1936年に建設された芝浦の旧協働会館を保存・改修して誕生した港区立伝統文化交流館。青木茂建築工房による再生を経た木造建築の特徴や、地域の歴史を伝える意匠を紹介します。通常は入ることのできない館内裏階段や楽屋も含めてご覧いただけます。近代の生活文化を伝える建築としての価値と、地域に開かれた施設としての現在の役割を、空間を巡りながら体感できる機会です。

港区立伝統文化交流館
竣工年│1936年、改修:2019年
設計│青木茂建築工房(意匠)、金箱構造設計事務所(構造)
その他│2020年グッドデザイン賞、2022年度耐震改修優秀建築賞、日本建築防災協会理事長賞

これが普段は見られない裏階段
2階の交流の間。朝のテレビ番組で取り上げられた影響で見学希望者が殺到したようだが、ここは普段から見られるので、見たい人はいつでも

■5/23(土)15:30
【普連土学園中学校・高等学校 中学校舎】(特別公開)

 この日、筆者が一番見たかったのがここ。この日だけ公開された三田の普連土学園。大江宏(1913~89年)らしい、和風のようなギリシャ風のような不思議デザイン。

1階の中庭と多目的室を特別公開します。1968年に大江宏が設計し、学園の教育理念を反映して計画された建築です。起伏のある敷地条件を踏まえた配置計画により、2017年には東京都選定歴史的建造物に選ばれました。中庭の採光計画や内外を連続させる開口部の配置、素材の使い分けに注目してください。開口部に並ぶ5本の独立円柱と宝形屋根の構成を足元から観察し、教育施設としての規模や計画の特徴を実感してください。

特別公開:1階中庭、多目的室他

普連土学園中学校・高等学校 中学校舎
竣工年│1968年
設計│大江宏
施工│下村組
その他│東京都選定歴史的建造物、docomomo japan 100選選定

 建物内を見た後、別の校舎の上から外観を見ることができたのがうれしかった。ベストビュー!

パノラマ撮影。左の校舎も大江宏による

■5/23(土)16:30
【全日本海員組合本部会館】(特別公開)

 この日の締めは六本木。この日だけ公開された全日本海員組合本部会館へ。

1964年に建築家・大髙正人が設計した全日本海員組合本部会館。柱のない自由度の高いオフィス空間や、都市に開かれたピロティ、サンクンガーデンなど、先進的な構造と空間構成が特徴です。一時、建替えも検討されましたが、2024年に原設計の思想を活かした改修により再生されました。地下大会議室や外部空間に残る大髙のデザインをたどりながら、建築がどのように継承・更新されてきたのかをぜひ現地で体感してください。

特別公開:屋上

全日本海員組合本部会館
竣工年│1964年、改修:2024年
設計│大髙建築設計事務所、改修:野沢正光建築工房
施工│鴻池組、改修:竹中工務店

特別に屋上を公開。地下のホールや展示室などはいつでも見られる

 この日の総歩数は2万6500歩だった。

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■5/24(日)9:00
【連携企画】和田倉噴水公園店で楽しむパネル展示|スターバックスの建築

 24日(日)の朝は、皇居脇のこのスタバで、1日の戦略を練るところからスタート。

皇居外苑の緑と水辺に面したこの店舗は、東京のまちを歩き出す前に、ひと息つくのにもふさわしい場所です。5/19(火)〜5/24(日)には、店内に東京建築祭のまち歩きマップを設置するほか、和田倉噴水公園店でのサスティナブルな取組を紹介するパネル、東京都内の個性豊かなスターバックスの建築を紹介するパネルボードを展示します。いつもの店舗や公園の風景も、建築の視点で眺めると、少し違って見えてくるかもしれません。(中略)

会場では、今後スターバックスで実施してほしい建築関連企画について、自由にご意見を書き込めるボードも設置予定です。寄せられた声は、来年以降の企画づくりの参考にさせていただきます。

 この店で筆者と同じように、東京建築祭の地図を広げている人がたくさんいた。

 ここにはかつて「和田倉噴水公園レストラン」と呼ばれる、ランチビュッフェが有名なレストランがあったが、2021年からスターバックスの和田倉噴水公園店となっている。そもそもは環境省が1995年に建てた建物。以下は環境省の資料より。

皇居外苑和田倉休憩所
竣工:1995年
建物用途  レストラン
構造・階数 RC造・木造(集成材)
地下1階 地上2階
建築面積763.0m2
建物延面積1,276.1m2

筆者は丹下健三の設計と認識していたのだが(WEB上にもそういう記述が多いのだが)、改めて調べてみると、そうであるという確証が見つからなった。正しい情報をご存じの方は教えてほしい

■5/24(日)9:30
【明治生命館】三菱二号館の巨大フォトモ(特別展示)

 皇居脇を南に10分ほど歩いて明治生命館へ。

古典主義様式の最高傑作と名高いのが「明治生命館」。1997年には昭和期の建築として初めて、国の重要文化財に指定されました。皇居に面した外観はコリント式の列柱が品格を備えています。創建当時の姿を残す1階は、昨年11月にリニューアルし、創建時の手書き設計図などの歴史展示や、建物模型を公開。東京建築祭期間中のみ、明治生命館が建設される前にこの場所に建っていた三菱二号館の巨大フォトモを展示します。

特別展示:明治生命館1階にて、明治生命館が建設される前に建っていた三菱二号館の巨大フォトモを展示

明治生命館
竣工年│1934年
設計│岡田信一郎
施工│竹中工務店
文化財指定│重要文化

いつ見てもすごい。この吹き抜けはいつでも入れる。2025年11月にここにカフェができて、より入りやすくなった
図面も展示
おお、これが三菱二号館(設計:曾根達蔵)のフォトモ。アナログ感がいい

■5/24(日)10:00
【新東京ビルヂング】杉山雅則に関連する建築資料(特別展示)

 明治生命館から2分ほど歩くと、新東京ビルヂング。筆者が勝手に“至高のオフィスビル”と呼んでいる、高度成長期の名作だ。

1960年代に丸の内で誕生した新たなビル群。その先鞭をつけたのが新東京ビルヂングです。外観は横一列に連なるシャープなガラス窓。内部には周辺の碁盤の目状の街路を引き込むような共用通路が広がります。おおらかな空間の中で輝くのは、矢橋六郎作のモザイク画「彩雲流れ」や幾何学的な照明器具。東京建築祭に合わせ、2階丸の内フォトギャラリーにて杉山雅則の資料を特別展示します。高度成長期ならではの機能性と装飾性の融合に、ご注目ください。

特別展示:2階丸の内フォトギャラリーで杉山雅則に関連する建築資料を展示

新東京ビルヂング
竣工年 │ 第1期 1963年 第2期 1965年
設計 │ 三菱地所
施工 │ 大成建設

2階で展示された杉山雅則については、当サイトの連載「再発見、杉山雅則が残した建築の美学」をぜひご覧ください

■5/24(日)10:45
【パレスサイド・ビルディング】地下1階の展示と屋上公開(特別展示)

 地下鉄で東京から竹橋に移動。“至高のオフィスビル”である新東京ビルに対し、筆者が勝手に“究極のオフィスビル”と呼ぶパレスサイドビルだ。

1966年竣工のパレスサイド・ビルディング(設計:日建設計・林昌二)。今年は地下1階の毎日ホール横に加え、廊下向かいの小部屋にも展示を拡大します。彫刻家・多田美波が手がけた空調吹き出し口をはじめ、レンガや組紐など実物に触れられるコーナー、関連書籍の閲覧、建設当時の図面・写真を通して、建物の魅力を立体的に紹介。さらに、60年前に来訪したジョアン・ミロが筆で書いた「祝 毎日」の書も公開します。

特別展示:地下1階の毎日ホール横と展示室に、当時の図面、写真やレンガ、組紐の実物を展示

パレスサイド・ビルディング
竣工年│1966年
設計│日建設計
施工│竹中工務店・大林組
その他│第9回BCS賞、第1回BELCA賞、DOCOMOMO「日本の近代建築20選

休日ながら屋上も公開。日本一気持ちいいオフィスビルの屋上はここでは?
屋上で倉方俊輔実行委員長と遭遇。ご苦労様です!

■5/24(日)11:00
【旧近衛師団司令部庁舎】階段・2階休憩室など(特別公開)

 5分ほど歩いて旧近衛師団司令部庁舎へ。このビルは1910年(明治43年)完成で、東京駅丸の内駅舎(1914年、設計:辰野金吾)よりも古い。

赤煉瓦の重厚な外壁と八角形の塔屋が印象的な旧近衛師団司令部庁舎。1910年に陸軍技師・田村鎮の設計により創建され、明治期の煉瓦造官公庁建築の貴重な遺構として重要文化財に指定されました。その後、谷口吉郎の設計で美術館仕様に改装し、東京国立近代美術館工芸館として開館していましたが、2020年の工芸館移転以来、一般には非公開となっています。今回、正面ホールから2階に伸びる両袖階段と、2階休憩室を特別公開。威厳漂うゴシック様式の意匠をじっくりとご覧ください。

特別公開:2階エントランスホール、階段、2階休憩室

旧近衛師団司令部庁舎
竣工年│1910年
設計│田村鎮(陸軍技師)
文化財指定│重要文化

見所の二股階段
2階休憩室の照明はまさしく谷口吉郎!

■5/24(日)11:45
【共立講堂】(特別公開)

 10分ほど東に歩くと、一ツ橋の共立講堂。ベテラン世代には「フォークの聖地」として記憶に刻まれる。この日は正午から公開だが、ちょっとだけ早く中を見学。

外装は当初とかなり変わっている

東京タワーの設計者・内藤多仲博士が構造設計を手がけた共立講堂。日比谷公会堂に並ぶ大型の音楽堂として、数々のコンサートが開かれました。現在は学校の講堂として活用されている講堂内部を特別に公開します。迫力と格式を感じる客席空間、シンプルな意匠に青と赤のコントラストが映えるロビー、アーチがあしらわれた側部回廊など、どこかチャーミングな設計は前田健二郎によるもの。昭和初期のモダンなデザインを先導した建築家による数少ない現存作品です。

特別公開:1階エントランスホール・客席、2階ホール・客席

共立講堂
竣工年│1938年
設計│構造設計:内藤多仲、意匠設計:前田健二郎
施工│戸田組
その他│千代田区 景観まちづくり重要物

ロビーの丸柱がかっこいい!

■5/24(日)13:00
【日建設計東京オフィス(本店)】(特別展示)

 15分ほど北に歩いて、飯田橋2丁目の日建設計へ。

日建設計東京ビルの1階と2階を公開します。2003年に完成した当ビルは、2023年環境配慮型素材を使った空間として一部リニューアルを行いました。昨年同様、弊社が設計を担当した有名建築の手描き・CAD図面の展示に加え、デジタルツールを活用した新たな展示手法の体験も予定しています。

特別展示:日建設計東京ビルの1・2階にて、手描き・CAD図面の展示と、デジタル展示体験を実

日建設計東京ビル
竣工年│2003年
設計│日建設計
施工│藤木工務店、奥村組、鉄建建設共同企業体
その他│日経ニューオフィス賞受賞

点群データをCTスキャンのように自分で動かしながら見る仕組みが面白かった

■5/24(日)13:45
【東京藝術大学 赤レンガ1号館】特別公開

 JRで上野に移動。今回、存在自体を初めて知った東京藝術大学 赤レンガ1号館へ。今回初参加。先ほどの旧近衛師団司令部庁舎よりも30年古く、1880年(明治13年)竣工。よく残ってるなあ…。

1880年、教育博物館の書籍閲覧所書庫として建てられた、東京最古ともいわれる煉瓦建築で、設計者は明治初めに横浜で西洋の建築技術を学んだ工部省の林忠恕。この小さな2階建ての建物は関東大震災を経た現在も現役で使用されています。今回公開する1号館2階内部では、壁に残る震災の痕跡やアーチ窓、屋根架構をつぶさに見ることができます。隣接する赤レンガ2号館(1886年・小島憲之設計)の外観もあわせて見学できます。

東京藝術大学 赤レンガ1号館(旧教育博物館書籍閲覧所書庫)
竣工年│1880年
設計│林忠恕(工部省)
その他│東京都選定歴史的建造

■5/24(日)14:15
【桜縁荘】(特別公開)

 5分ほど歩いて桜縁荘へ。これも今回初参加。個人住宅を見学させていただけることに感謝。

大正時代に建てられた伝統構法の民家・桜縁荘(旧唐木田家住宅)を、改修工事直後に特別公開します。築約100年の住宅で、更地の危機を乗り越え、2024年に国の登録有形文化財となりました。今回の改修工事は、谷中を拠点に建築設計や店舗運営などを手がけるHAGISOと、宮大工の技術を持つ谷根千工房が担当。既存の意匠や構造を残しつつ、耐震補強を施し、新たな機能が追加されています。改修後の空間を通して、歴史ある建物がどのように次世代に継承されていくのかを実感できる機会です。

桜縁荘(旧唐木田家住宅)
竣工年│1920年 改修:2026年
設計│改修:HAGISO
施工│改修:谷根千工房
文化財指定│登録有形文化財

五月の風が気持ちよかった!

■5/24(日)15:00
【鹿島KIビル】(特別公開)

 千代田線で根津から赤坂へ。バブル期に竣工した鹿島のKIビル。新米記者の頃、よくここに取材に来たなあ。

鹿島建設の理念を体現する鹿島KIビル。都心にありながら緑豊かなアトリウムを抱え、光と緑が内と外をゆるやかにつなぎます。館内では、社有林の取り組みやGREEN EXPO2027「KAJIMA TREE」、木造建築の紹介のほか、模型・写真展示、最新技術ロボット、宇宙建築、彫刻作品などをご覧いただけます。さらに、建築の音に向き合ってきた鹿島の技術から生まれた立体音響「OPSODIS®」も体験できます。空間・自然・技術・アートが重なる、鹿島ならではの一日をお楽しみください。

特別公開:2階アトリウム他

KIビル
竣工年│1989年
設計│鹿島建設
施工│鹿島建設
その他│第31回BCS賞受賞

リゾートホテルのようなアトリウム

 アトリウムのすごさはわかっていたのだが、鹿島の皆さんの展示の力の入れようにびっくり。

■5/24(日)15:45
【旧乃木邸】(特別公開)

 赤坂から乃木坂まで歩く。年に3回程度しか内部が公開されない旧乃木邸が公開された。ただし、内部撮影はNG。

港区指定有形文化財(建築物)旧乃木邸は、1902年に建てられた陸軍大将・乃木希典の私邸です。華やかな迎賓の場を競った時代に、本邸は日常生活を前提とした住空間として設計されました。簡素で合理的な構成を基調としながら、近代化に対応した設備や意匠が取り入れられています。和風と洋風の要素をあわせ持つ建物は、明治期の住宅の特徴をよく示しています。

旧乃木邸
竣工年│1902年
設計│北沢虎造(乃木希典)
文化財指定│港区有形文化財 建造

■5/24(日)16:30
【スパイラル】8階・9階(特別公開)

 東京建築祭2026最後の見学はここ。表参道のスパイラル。数えきれないくらい来ているけれど、8階と9階は初めて見た!

1985年のオープン以来、変わらぬ姿で街にひらかれてきたスパイラル。槇文彦が手掛けたこの建築は、1階のアトリウムを起点に、2階へゆるやかに導くスロープと、エスプラナードが立体的な通り道をつくり出します。上り下りする途中で視界がひらけ、光の表情が変わり、展示や人の気配が自然と目に入ってきます。移動そのものが、楽しみになります。今回は、ふだん入れない8階・9階を特別公開。名作として知られるスパイラルの意味を、改めて考えます。

スパイラル
竣工年│1985年
設計│槇文彦+槇総合計画事務所
施工│竹中工務店
その他│R.S.レイノルズ

これは別の日に撮った、すっきりした状態のスロープ

 これにて任務は終了。この日の総歩数は、前日より1500歩増えて2万8000歩だった。

■5/24(日)19:00
【クロージングイベント】(関係者のみ)

 打ち上げは、昨年同様、日比谷OKUROJIにて。おつかれさまっ!

 参加された皆さんも、この記事で初めて東京建築祭を知った皆さんも、来年の今頃お会いしましょう!(宮沢洋)

■お知らせ1:東京建築祭2026のクラウドファンディングはおかげさまでストレッチゴールの800万円を達成しました! クラファンは6/1までやっていますので、内藤廣さんデザインのトートバッグや筆者(宮沢)が建築家の似顔絵を提供した手ぬぐいは、まだ申し込みいただけます。こちらへ→https://motion-gallery.net/projects/tokyokenchikusai2026

残り10日でストレッチゴール(第2目標)の800万円を突破! パチパチパチ!
左が内藤廣さんデザインのトートバッグ、右が建築家40人の似顔絵(宮沢画)を並べた手ぬぐい

■お知らせ2:東京建築祭2026は閉幕しましたが、「建築巡り」の楽しみは年中無休です。拙著『画文で巡る! 最強TOKYO建築図鑑』(2026年4月27日発刊)では、東京都内で基本的に「いつでも見ることができる建築」を50件、厳選して紹介しています。本記事で取り上げた「新東京ビルヂング」「パレスサイドビル」「全日本海員組合本部会館」も掲載しています。ぜひご覧ください! Amazonはこちら

「新東京ビルヂング」の記事の一部
「パレスサイドビル」の記事の一部
「全日本海員組合本部会館」の記事の一部