清春芸術村の「伊東豊雄展」と「こどもの遊び場」を見た! 藤森・安藤の間に桜が包むマウンドとくぼみ

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 遅ればせながら、山梨県北杜市の「清春芸術村」で開催中の「伊東豊雄展『桜の下でー自然と建築ー』」を見てきた。清春白樺美術館第2展示室で、2026年8月1日から10月11日(日)まで開催されている。清春芸術村の敷地内に、伊東豊雄氏が設計した「こどもの遊び場」がつくられることになり、その設計プロセスと近作に通底する「内なる自然」の考え方について展示するものだ。

伊東豊雄展「桜の下でー自然と建築ー」で会場風景(写真:宮沢洋、以下も)
清春白樺美術館は故・谷口吉生氏の設計で1983年に完成した。谷口建築の中で最もポストモダン色の強い建築
入り口を入った右手(写真右奥)の第2展示室で展示している。左手にある第1展示室は、白樺派に関連する絵画や資料を常設展示している
会場入り口

 以下、公式サイトより(太字部)。

本展は、「子ども建築塾」(NPO 法人「これからの建築を考える」主宰/理事長・伊東豊雄)などを通じ、こどもたちの建築や街への意識を高め、思考や個性を伸ばす活動を続けてきた伊東氏が、こどもが触れる実際の建築としてここ清春芸術村のために設計した作品「こどもの遊び場」完成を記念し開催されます。

伊東氏が考える“こどものための建築”と、建築を構想するうえで常に考えている「内なる自然(Inner Landscape) 」とは、一体どういうものなのか。会場では、新作「こどもの遊び場」の初期ドローイングをはじめ、代表作である〈せんだいメディアテーク〉(2001)や〈台中国家歌劇院〉(2016)の模型から、伊東氏の設計思想を読み解きます。

本展のポスター。メインビジュアルは「満開の桜の下にまん幕を巡らせた宴の場」。これは伊東氏が2008年に描いていていた本展の原点となるスケッチ

■「こどもの遊び場」について

完成する屋外建築作品「こどもの遊び場」は、“安藤忠雄 / 光の美術館”と“藤森照信 / 茶室 徹”を結ぶエリアに誕生します。鑑賞するだけでなく、「居場所」として、「遊具」として、子どもたちが自由に登り、降り、集い、遊ぶことのできる緩やかな起伏を持つ空間として構想されています。樹齢100年を超える桜群に囲まれた芝生広場の風景と調和し、世代を超えて親しまれる清春芸術村の新たな象徴となることを目指します。

■ 伊東豊雄氏ステイトメント

清春芸術村の芝生広場に子供の遊び場を考えた時、最初にイメージしたのは土の塔やマウンド、ほら穴などをつくり子供達がかけ回ることのできる公園のような場にしてはどうかと思いました。

しかしスペースの問題などを考慮し、今回はとりあえず土を盛り上げたマウンドと掘り起こしたくぼみをつくろうということになりました。

その時想い出したのは、かつて人々は満開の桜の下にまん幕を巡らせて宴の場をつくり、花見を楽しんだ風景でした。この風景は私の建築を考える原点でもあります。

前半では「こどもの遊び場」のデザインプロセスを展示(写真提供:清春芸術村)

敷地には多くの桜の木があるので、このマウンドやくぼみを桜の木の近くにつくってここで花見を楽しめるようにしようと考えました。花のない季節でも子供は起伏のある場所が大好きです。マウンドに上ったりくぼみに降りて歌ったり、話し合ったりゲームをしたり、お弁当を食べるなど楽しい居場所とすることができると思います。

私は都会で建築をつくる時にも建築の内に自然を感じさせる場所をつくりたいと常に考えています。建築の内に居ても子供が走り回ったり、大人もリラックスして憩える居場所をつくりたいからです。それは抽象化された自然であり、人々の心の中にある風景を抽象化したもうひとつの自然です。

それを私は〈内なる自然、(Inner Landscape)〉と呼んでいます。

今回は 2 つの対照的な模型を展示し、自然に対する私の想いを表現しました。 伊東豊雄

展示の後半方向を見る

 清春芸術村には著名建築家の小品が集まり、建築好きには“日本のヴィトラミュージアム”としておなじみだろう。美意識の高い大人な向き施設というイメージがあったが、子ども連れにも気軽に楽しんでもらえるようにと、2024年に2つの「こどものための建築」が出来た。それらは当サイトでもリポートしている。

 伊東氏の「こどもの遊び場」はそれに続くものだ。

 このリポートが「遅ればせながら」になったのには理由があって、公式サイトにこう書いてあったからだ(太字部)

※一般公開・ご利用開始は、2026年9月初旬を予定しています。
※2026年8月1日~9月初旬までは工事風景など外観のみ現地で見学いただけます。

 これを読んで、9月中旬ならば完成した姿が見られるだろうと思って行っのだが、行ってみると「完成まであと少し」という状態で、残念ながら写真をお見せできない。工事自体は終わっている。だが、芝生養生のため仮囲いの柵があり、主役である子どもたちはまだ遊べない。「写真を出すのはもう少し待ってほしい」とのことなので、見た証拠として“周辺”だけお見せする。

藤森照信氏 の「茶室 徹」の右側に、伊東氏による「こどもの遊び場」のマウンドとくぼみが出来た。その右方向には安藤忠雄氏「光の美術館」。背後の樹木は桜
「こどもの遊び場」の銘板。マウンドとくぼみの間に立つ

 万全の状態になったら当サイトにも写真を載せる予定なので、お楽しみに。(宮沢洋)

展示の後半ではこのプロジェクトに関する伊東氏のインタビュー動画が見られる。伊東氏が「自然になじませるか、幾何学か」という選択の理由をわかりやすく語っていて面白かった(ここでは「幾何学」を選んだ)。なるほど「内なる自然」とはそういうことか、と腑に落ちる感じがした。筆者(宮沢)はつい最近、伊東氏の「ぐりんぐりん」(2005年)を見たばかりだったので、なおさらそう感じたのかもしれない

■展覧会概要
展覧会名:伊東豊雄展「桜の下で―自然と建築―」
会期:2026年8月1日(土)〜10月11日(日)
*8月中は休館日を設けず、毎日開館いたします
時間:10:00〜17:00(最終入館 16:30)
会場:清春芸術村 清春白樺美術館 第二展示室(山梨県北杜市長坂町中丸2072室)
公式サイト:https://www.kiyoharu-art.com/?p=3399