東京建築祭の実行委員の1人として、兄弟イベントとも言える「神戸モダン建築祭」を見てきた。昨年から始まった取り組みで、筆者は初参加。会期は11月22日(金)から24日(日)までなので、最終日に間に合うようサクッとお伝えする。
神戸モダン建築祭は、京都モダン建築祭と同じパスポート制。パスポートはオンライン決済だと3000円、セブンイレブン店頭購入だと3500円だ。このパスポートで23の建築を見学できる。他にも事前申し込みのツアーがあるが、筆者は準備不足のためパスポートのみで回った。
メインエリアは三宮駅から10分ほと北に歩いた北野・山手エリア。このエリアに23のうち、7つの公開建築がある。結論から言うと、このエリアを半日回るだけでパスポートの元は取れる。
まずは、安藤忠雄氏の出世作である「ローズガーデン」へ。住吉の長屋の翌年、1977年竣工。北野に点在する安藤建築の第1作。筆者が神戸モダン建築祭に行ってみようと思ったのは、これが公開建築の1つだと知ったからだ。ここには何度か来たことがあるが、用もなく室内に入りづらいし、中庭をジロジロ見学するのも気がとがめる。建築祭であれば、好きなだけ愛でることができる。基本、写真撮影もOK。
神戸モダン建築祭の公式サイト(https://kobe.kenchikusai.jp/2024/11/21/001356/)で「オーディオガイド」を聞きながら見学してみた。ローズガーデンの解説者は本サイトの「ポストモダニズムの歴史」でおなじみの倉方俊輔氏だ。倉方氏いわく「小さな建築でも大きな世界を詰め込むことができる。それを住宅だけでなく、商業施設で示した記念碑」。名解説、しびれる!
「リランズゲート」へ
次は、南に数分歩いて「リランズゲート」へ。安藤忠雄氏の設計で、1986年に竣工。これは筆者の写真では伝わりづらいと思うが、初期安藤迷宮建築の傑作の1つだ。ぜひ複雑な空間を体験してほしい。
オーディオガイドで笠原一人氏は「北野町に8件ある安藤建築のうち最も大規模かつ完成度が高い」と言う。8つ全部を見てはいないものの、知っているものの中では同感。(5件くらいだと思っていた…)
ところで、このオーディオガイド、東京建築祭の実行委員長(倉方氏)と京都モダン建築祭の実行委員長(笠原氏)が2人で全部やってる。とてつもない建築愛。ご苦労さまです!
「こども本の森 神戸」へ
リランズゲートからさらに南に向かい、JRの三宮駅を越えて「こども本の森 神戸」へ。ここは初めて来た。2021年竣工。安藤氏の寄付でつくられた建築だ。
「ところどころに謎の空間がある」というオーディオガイドの笠原氏のコメントに笑った。それを聞いて、反骨のモダニストなのに機能がよくわからない「謎の空間」をあえて差し込むのが安藤氏の本質なのかも、と思った。
安藤ファンなら、この3つ見ただけでもパスポートの価値がある。
公式サイトはこちら。https://kobe.kenchikusai.jp/2024/11/21/001356/
もちろん、他にもいろいろ見たのだが(これとか↓)、最終日(11月24日)の朝に公開が間に合わなくなってしまうのでこの辺で。(宮沢洋)
後編はこちら↓。