田中仁氏が旗を振る「前橋国際芸術祭2026」が開幕、「白井屋ホテル」開業時(6年前)との発信量の差に感無量

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 群馬県前橋市のまちなかを舞台に行われる「第一回前橋国際芸術祭2026」が2026年9月19日から始まる。会期は2026年12月20日までの80日間。実⾏委員⻑/総合プロデューサーは、建築好きにはお馴染み(本サイトの連載「田中仁『まち・建築・ビジネス』」でもお世話になった)⽥中仁氏(株式会社ジンズホールディングス代表取締役会⻑CEO/⼀般財団法人⽥中仁財団代表理事)が務める。

何ごと?とまちの人が驚くくらいの報道陣が集まったプレスツアーの様子。会場の1つ「ハウゼビル」の前で(写真:宮沢洋、以下も)

 開幕前日の9月18日に行われたプレス内覧会に参加してきた。

実⾏委員⻑/総合プロデューサーの田中仁氏。アートだけでなく建築好き(かつ詳しい)経営者としても日本トップクラス

 以下は公式サイトより(太字部)。

2016年に前橋市が策定したまちづくりビジョン「めぶく。」をコンセプトに、民間主導の再開発が進む前橋。建築家・藤本壮介さんらによる街の記憶を引き継ぐ先鋭的デザインの建築群が世界から注目を集めています。「めぶく。」策定から10年。ここから新たにはじまる前橋国際芸術祭は、中心市街地に点在するアートスポットを結び、芽吹きから若木へ、さらに感性を育む森へと、変容し続ける前橋の都市風景に人とまちをつなぐウォーカブルなアート体験をちりばめていきます。

【名 称】第一回 前橋国際芸術祭 2026 
【テーマ】「めぶく。Where good things grow.」
【会 期】2026年9月19日(土)~12月20日(日)[80日間](閉場日:水曜日)
【会場】アーツ前橋、まえばしガレリア、白井屋ホテル、前橋市中心市街地エリア
【チケット】パスポートチケット一般3,000円(税込)/ 学生2,000円(税込)/ 一般(前橋市民)
【WEBサイト】https://maebashi-biennale.com/

 ビエンナーレ形式で、今後、2年に一度開催される。その1回目だ。筆者(宮沢)はこのイベントの関係者でもなんでもないが、この日の報道陣の多さはなんとも感慨深かった。

内覧会の前のプレス説明会
ざっと数えても、軽く200人はメディアの人がいた

 というのは、約6年前、2020年12月のこの「白井屋ホテル」の開業時とあまりにもメディアの食いつきが違うからだ。下のリポートは、BUNGANETの開業直前ルポ。コロナ禍ということもあって全く東京に情報が伝わって来なかったので、(自粛ムードの時期ではあったが)車を飛ばして見に行った。よほど取材依頼がなかったのか、すぐにアポが取れ、ホテルの方が丁寧に案内してくれた。

 実物を見て、藤本壮介氏の大胆な設計にも驚いたのだが、それ以上にオーナーである田中仁氏の腹のくくり方に驚いた。既存ホテルの増改築だが、ここまでやったらどう見ても新築した方が安い。単に儲けるためではなく、「まちのため」だという田中氏の言葉がセールストークではないことは瞬時にわかった。

 開業してからも東京ではさほど大きなニュースにはならなかった。コロナ禍とはそういう時代だったのだ。だから、ニッチなこの記事はとても多くの人に読まれた。ちなみにこの記事を田中氏が読んだことで、後に筆者は田中氏と知己を得た。「よくぞ見に行った」とあの時の自分を褒めたい。

 今回、プレス内覧会の冒頭で田中仁氏はこう挨拶した(概略)。

「前橋は、県庁所在地の中でも魅力のないまちだった。仲間たちとなんとかしようという話になった。2016年に官民で「めぶく。」という町づくりビジョンをつくった。それから町は徐々に変わった。10年がたち、次の10年をなんとかしたい。今回はそのためのイベント。なぜアートなのか。アートには世界の遠くまで届く力がある。それは、選ばれる力。これからの前橋は、選ばれるまちにならなくてはならない。このイベントに来た人には、作品と作品の間の『まち』をみてほしい」。

 なるほど、本当に見てほしいのは、アートよりも建築よりも「まち」だと。

マップ。500m四方ほどのエリアなので、半日あれば主要な展示は見ることができる。1日あれば、ほとんど見ることができる

 多くのメディア(特にアート系)が来ていたので、建築系の人が好きそうものを中心に写真を並べてみる。

建築好きは、まずは白井屋ホテルから。ミロコマチコ「空気に根をおろす」が華やかに出迎える
6年たって緑がモリモリ
参加アーティストではないが、大林環境技術研究所(愛称:大林緑化)の大林武彦代表がいらっしゃった。大林緑化について知りたい方はこちら→https://bunganet.tokyo/obayashiryokuka/
東隣の「ばばっかわスクエア」(設計:SUPPOSE DESIGN OFFICE)の上にいる彫刻は「ばばっかわ男」(尾花賢一)。無料で見られる屋外作品が多い
今回、拠点的な役割を果たす「アーツ前橋」。水谷俊博氏による前橋のリノベーション建築の先駆け
最初、これに気づかなかった。川俣正「Tree Hut in Maebashi 2026」
「アーツ前橋」の1階中央は建築展。「建築の前橋:夢見る都市を歩く」(下の2点も)
地下のドット・アーキテクツの展示。共同主宰者の家成俊勝氏
ワークショップでつくった。トークスペースを兼ねている
あっ、これはTOTOギャラリー間の山田紗子展で映像展示していたやつ! こちら→https://bunganet.tokyo/yamadasuzuko/
影と上部の線材が渾然一体となる
「これからできる建築」の敷地にも説明が付く。これは藤原徹平氏による「ばばっかわGarden Park」。敷地は「白井屋ホテル」の目の前。2年後の芸術祭では出来ているかも
「ばばっかわ」というのは馬場川(ばばっかわ)の流れるこの裏通りのこと。親水デッキを見事に使いこなす人たち。デザインを統括したのはランドスケープ・プラスの平賀達也代表。詳細はこちらの記事→https://bunganet.tokyo/maebashi1/
中心商店街の前橋中央通りへ
建築好きにはお馴染みの建築たちにも説明(下の写真)が付く
「千代田町中心市街地再開発計画」は藤本壮介+平田晃久。2031年完成目標
「広瀬川PROJECT」は駒田剛司・駒田由香・久保田祐基による。2028年竣工予定なので、これも次回見られるかも
「前橋さくらや」の跡地には山田紗子氏の建築が2028年竣工予定
まだまだ色々できるんだなあ…
2023年5月にオープンした「まえばしガレリア」。3年前より緑が増えていい感じになってきた。3年前はこちら→ https://bunganet.tokyo/maebashi03/
今回、目玉の1つと言えそうなのが、「ハウゼビル」4階にある蜷川実花 with EiMの作品(下の2点)
元が何のスペースだったかは大体想像がつく
個人的に一番心を動かされたのはここの展示。「旧近藤時計展」
関口光太郎氏は地元のアーティストとのこと。8月1日からずっとここで制作したという“情念”の溢れ出る作品(下も)
「寺町芸術センター」は既存建物の歴史を生かしていてグッド!(中は現地で)

 田中氏が「作品と作品の間の『まち』をみてほしい」と言っていたので、最後に筆者が気になった「作品と作品の間」を2つ、おまけとして載せておく。(宮沢洋)

今年5月にオープンしたというオシャレな駄菓子屋「ひびのば」(下も)。ばばっかわの親水デッキの一画にある
駄菓子だけでなく、インスタントラーメンにお湯を入れて食べることができる。なるほど、面白いビジネスを考えるなあ
なんだこれ、かっこいい! 前橋には5〜6回来ているけれど、まちを周遊することで初めて気づいた「カフェ&スナック ロペ」。120度くらいに開いた角地に合うよう、各面が実に丁寧にデザインされている。まえばしガレリアのすぐそば。これは何かに生かしたくなる(だんだんと心が田中氏に染まっていく…)