松屋銀座7階の「デザインギャラリー1953」で昨年末に始まった企画展「丹下健三と隈研吾 二つの国立競技場」を見てきた。

買い物ついでにふらっと入れる小規模な展覧会(入場無料)だが、なかなか攻めた企画だ。石元泰博氏(1921~2012年、故・日本デザインコミッティーメンバー)と瀧本幹也氏(1974年~)のモノクロ写真を対比することで、丹下健三氏と隈研吾氏の共通点や違いを知る、という趣向。キーワードは「ランドスケープ」「線」「軒」「アーチ効果」の4つ。


石元泰博氏のことは、丹下建築などの写真できっとご存じだろう。瀧本幹也氏は、2021年の隈研吾展「新しい公共性をつくるためのネコの5原則」(東京国立近代美術館)などの建築写真のほか、映像作品や映画の撮影も手がけ、是枝裕和監督による『そして父になる』(2013年)で、第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門審査員賞を受賞。同じく是枝監督作品『海街diary』(2015年)で第39回日本アカデミー賞および最優秀撮影賞を受賞している。展覧会のキュレーターは、丹下研究で知られる建築史家の豊川斎赫氏(千葉大学准教授)だ。

なぜこの規模の展覧会にそこまで仕込みに力が入っているかというと、この展覧会は昨年、パリ日本文化会館で行われたこの展覧会↓を再構成したものだからだ。
TOTO出版から記念書籍も発売になった。

展覧会の会期は2月17日(月)まで。
■展覧会概要
第791回デザインギャラリー1953企画展「丹下健三と隈研吾 二つの国立競技場」
期間:2024年12月27日(金)-2025年2月17日(月)最終⽇午後5時閉場・⼊場無料
会場:デザインギャラリー1953(東京都中央区銀座3-6-1松屋銀座7階)
主催:⽇本デザインコミッティー
共催:(一社)国立代々木競技場世界遺産登録推進協議会
協賛:(株)大林組、清水建設(株)、大成建設(株)、前田建設工業(株)、(株)梓設計
特別協⼒:代官山ヒルサイドテラス
協力:高知県立美術館 石元泰博フォトセンター、瀧本幹也写真事務所、幕田早紀(千葉大学)
キュレーター:豊川斎赫
展覧会担当:原研哉
公式サイト:https://www.matsuya.com/ginza/news/2024/1224/design-gallery1953-791/
スタンプラリー大盛況の「さらに装飾をひもとく」展もぜひ
銀座にこの展示を見に行く人は、北に1㎞ほど歩いて、日本橋高島屋の「さらに装飾をひもとくー日本橋の建築・再発見」」ものぞいてほしい。「日本橋高島屋史料館 TOKYO」(東京都中央区日本橋2-4-1日本橋高島屋本館4階)で2月24日(月・祝)まで開催中。こちらも入場無料だ。



こちらは昨年9月の開幕時にリポートしている。
上の「丹下健三と隈研吾」展とは対照的な、にぎやかで能動的な展覧会だ。ここでは、筆者(宮沢)がスタンプラリーのイラストを描いた。昨年9月14日の開幕時には、会場入り口にこんなに用紙が積み上がっていて「大丈夫かなあ」と思っていた。

昨年12月半ばに訪れると、このくらいになっていた↓。こうなると、2月24日まで用紙がもつのか心配になってくる。

場所を知っている筆者が回っても、すべてのスタンプを押すのに小一時間かかった。それでも、館のスタッフによると、コンプリートした人は軽く1000人を超えるとのこと。びっくり。企画としては大成功のようだ。残り1カ月半、ぜひ足を運んでいただきたい。

■展覧会概要
さらに装飾をひもとくー日本橋の建築・再発見
展示期間:2024年9月14日(土)~2025年2月24日(月・休)
開館時間:10:30~19:30
入館料:無料
場所:日本橋高島屋史料館 TOKYO 4F 展示室(東京都中央区日本橋2-4-1)
休館:月・火曜日(祝日の場合は開館)、年末年始(12月30日〜1月2日)
主催:高島屋 史料館TOKYO
監修:五十嵐太郎(東北大学大学院教授)
協力:菅野裕子(横浜国立大学大学院特別研究教員)
グラフィックデザイン:原田祐馬・岸木麻理子(UMA/design farm)
展示デザイン:大熊敏佳, 佐々木一憲, 村越怜(analogue)
スタンプラリーイラスト:宮沢洋(BUNGA NET)
公式サイト:https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/tokyo/