世界と競う先端企業が研究開発に求める空間は? 大成の答えは「落ち着きあるワクワク」

 「半導体不足、広がる影響 エアコン生産にも波及」(日本経済新聞2021年9月1日付)、「9月の欧州新車販売、26%減 半導体不足の影響拡大」(同10月15日付)──。世界的な半導体不足は、「需要の急拡大」と「供給体制のひっ迫」のダブル・ダメージによる。前者は主に、テレワークの増加もあって通信機器や電子機器の需要が増加していること、後者は主力製品が製造できる生産ラインへの移行が進んでいないことが理由とされる。

完成したばかりの宮城技術革新センター(写真:宮沢洋、特記を除き以下も)

 なぜ、唐突に半導体市場の話をしているかというと、ここでリポートする「宮城技術革新センター」は、半導体を製造する装置を開発・製造・販売する東京エレクトロングループの研究開発施設だからだ。同社のこの分野でのシェアは国内首位、世界第4位だ。一般の人との接点は少ないが、テレビCMで「TEL」というロゴを見たことがあるのではないか。

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藤森照信氏が激推しする「白井晟一」とは? 晩年の代表作・松濤美術館で「入門展」始まる

 「SANAA」展から1日遅れで、10月23日(土)より「白井晟一入門」展が始まる。会場は白井晟一(1905~83年)の晩年の代表作である渋谷区松濤美術館(1980年竣工、81年開館)だ。同館の開館40周年記念展である。報道内覧会が10月22日の午後に行われた。

(写真:宮沢洋)
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速報:SANAA展@ギャラリー・間が開幕、妹島・西沢両氏から直接聞いた“鑑賞の心得”

 東京・乃木坂のTOTOギャラリー・間(東京都港区)で、明日、10月22日(金)から妹島和世+西沢立衛/SANAAの展覧会「環境と建築」が始まる。コロナ禍で1年半待ちとなっていた待望の展覧会だ。展示物は基本的に進行中のプロジェクトに関するもので、見たことのないものばかり。本日、妹島和世・西沢立衛両氏の案内で行われた内覧会(なんて贅沢!)を速報する。

(写真:宮沢洋)
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12回目の「U-35」建築展、展覧会もいいけれど豪華メンバーの講評会が面白過ぎる!

 2010年から開催されている「Under 35 Architects exhibition 35歳以下の若手建築家による建築の展覧会」。第12回目となる今年は、10月15日(金)から25日(月)まで、JR大阪駅前のうめきたシップホールで展示が行われている。開幕2日目、10月16日(土)に行われたシンポジウム(講評会)で、出展7組の中から今年の「Gold Medal」に板坂留五さん(いたさかるい、Rui Architects主宰)が選ばれた。板坂さんは1993年生まれで、まだ20代。2018年に東京藝術大学大学院を出て3年目。出展した「半麦ハット」は、大学院時代から設計を始めて2019年秋に完成した両親の自宅兼店舗だ。

展示会場のうめきたシップホール。大阪駅の目の前という好立地。こんなところで展示されるのはうらやましい!
(写真:宮沢洋)
今年の「Gold Medal」に選ばれた板坂留五さん(左)と審査委員長の吉村靖孝氏
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越境連載「クイズ名建築のつくり方」03:豊島美術館のドームはどうやってつくった?

 一般財団法人建設業振興基金が発行している月刊誌「建設業しんこう」の連載「クイズ 名建築のつくり方」(画・文:宮沢洋)の第3回が掲載された。ウェブ版は会員でなくても無料で読める。連載第3回は、水滴のような形の「豊島(てしま)美術館」。2010年、瀬戸内海の小さな島、豊島(香川県土庄町)に完成した。大空間の常識を覆す低いドーム屋根は、どのようにつくられたのか。

Q.のっぺりとした豊島美術館のドーム、その建設方法で正しいのはどれ?
(1)コンクリートドームを細かく分割して工場でつくり、現場でつなぎ合わせた
(2)コンクリートを打設する際、敷地に土を盛って山をつくり、型枠の代わりにした
(3)全体をFRP(繊維強化プラスチック)製の薄くて軽い膜でつくった

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東大工学部1号館に積水ハウスが新ラボ、隈研吾氏が内田祥三・祥哉父子の共作を再リノベ

 隈研吾氏は、「共感」と「先読み」の人である──。10月14日、「T-BOX」の報道内覧会に参加して、改めてそう思った。東京大学大学院工学系研究科と積水ハウスが、東京大学工学部1号館4階に開設した「国際建築教育拠点(SEKISUIHOUSE KUMA LAB)」の新研究施設「T-BOX」だ。東京大学特別教授である建築家の隈研吾氏を中心に研究活動を進める。つまりは、積水ハウスの寄付による産学共同ラボである。

(写真:特記を除き宮沢洋)
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越境連載「イラスト名建築ぶらり旅」04:計算ずくのゆるり感、山縣有朋は名建築家? ──無鄰菴(むりんあん)

 「無鄰菴(むりんあん)の庭園を見ると、山縣有朋は優しい人だったということが分かります」。えっ、山縣有朋って、歴史の教科書で怖い顔をしているあの人? 「名建築ぶらり旅」なのに庭園?……と、今回も、並みの建築好きとは違う方向から切り込んできた案内役の西澤崇雄さん(日建設計ヘリテージビジネスラボ)。だからこの連載は楽しい。

(イラスト:宮沢洋)

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悲報(涙)池袋マルイの解体始まる、施工は清水建設、建て替え後はいまだ公表せず

 池袋駅の近くに昼食の弁当を買いに行ったら、8月末に閉館した「池袋マルイ」の1階東側(駅側)が白い仮囲いで覆われていた。ここ2~3日の間に設置されたようだ。近くまで行ってみると、解体着手を知らせる看板が掲げられていた。

(写真:宮沢洋、2021年10月8日撮影)
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安藤忠雄氏の建築画から現代アートへ、大林コレクションの変遷をWHAT MUSEUMで

 東京・天王洲のWHAT MUSEUMで、「安藤忠雄 描く」「都市と私のあいだ」「Self-History」という3つのテーマ展示による「大林コレクション展」が開催されている。会期は2022年2月13日まで。

大林コレクション展「安藤忠雄 描く」の会場入り口
Xavier Veilhan《Tadao Ando》 © Xavier Veilhan / ADAGP / JASPAR, 2021, photo by Keizo Kioku  

 共通タイトルに含まれる「大林」は、大林組の代表取締役会長である大林剛郎氏のこと。同氏は日本を代表するアートコレクターのひとりであり、公益財団法人大林財団の理事長であり、国際芸術祭「あいち2022」の組織委員会会長も務める。本展はそんな大林氏のコレクションを紹介するにあたり、3つのテーマに分けて展示を行い、コレクションの変遷がわかるようにしている。

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日曜コラム洋々亭36:NOIZによる東京海上リノベ提案に刺激を受け、勝手にリノベ対決(追記:建て替えはレンゾ・ピアノ)

 建築家の豊田啓介氏らが率いるNOIZが9月28日、東京海上日動ビル本館のリノベーション案を発表した(Tokio Marine Nichido Headquarters Building Renovation)。

左がNOIZによる提案(©noiz)。右は記事後半で述べる宮沢案(©宮沢洋)
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