池袋マルイ「最後の日」写真ルポ、老朽化のため建て替えとの報

 2021年8月29日(日)、池袋マルイが44年の歴史に幕を下ろした。

(写真:宮沢洋)

 建物の正式名称は「池袋西口共同ビル」。竣工年は1977年。鉄骨鉄筋コンクリート造、地下3階・地上8階。延べ面積:3万459m2(竣工時)。建設主は勧業不動産、陽光、日新。設計者は石本建築事務所。施工者は大林・間・大成共同企業体。そうした情報を調べるまでの苦労は下記の記事をご覧いただきたい。

池袋建築巡礼08:今夏で閉館の「池袋マルイ」、毎日見ても飽きない「白メシ建築」の謎を追う

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池袋建築巡礼11:直径45mの見えない球体? バブル期USBへの熱き挑戦を「フラグメント・ビル」に読む

 「USB」という略語をご存じだろうか。いや、パソコンの横に差し込むあれ(Universal Serial Bus)ではない。私(宮沢)が建築雑誌「日経アーキテクチュア」に配属された1990年ごろ、編集部では、「USB」=「アーバンスモールビル」を意味していた。都市部に立つ小規模なオフィスビルや商業ビルである。今回は、池袋西口にあるこの建築↓を通して、バブル期の若手建築家たちが、いかにUSBにエネルギーを注いでいたかについて書きたい。

(写真:宮沢洋)
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中銀カプセルタワービル解体へ、メディアが取り上げない「3つのこと」

 このところ、「中銀カプセルタワービル」(設計:黒川紀章、1972年竣工)が相次いでメディアに取り上げられている。去る土曜日(8月21日)には、22時からテレビ東京で放送された「新・美の巨人たち」で取り上げられた。最近の状況についてはこの記事が詳しい(「中銀カプセルタワービル」2022年に取り壊しへ。カプセルユニット保存へ向けて挑戦はじまる/suumoジャーナル)。

7月に撮影した中銀カプセルタワービル。南側の角からの見上げ(写真:宮沢洋)
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神戸にデジタル演出の新感覚水族館、外観はアナログ感あふれる“地層”洗い出し

 日本人は世界でも指折りの“水族館好き”の国民である。水族館の定義が様々で所説あるようだが、「人口1人当たり比では日本が世界一」とする報告もある。筆者も水族館、大好きである。神戸に「新感覚の水族館」が完成間近と耳にし、嬉々として現場を見に行った。

完成間近の全景(写真:特記以外は宮沢洋)
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越境連載「クイズ名建築のつくり方」02:代々木競技場で「使っていない」技術はどれ?

一般財団法人建設業振興基金が発行している月刊誌「建設業しんこう」の連載「クイズ 名建築のつくり方」(画・文:宮沢洋)の第2回が掲載された。ウェブ版は会員でなくても無料で読める。連載第2回は、「国立代々木競技場 第一体育館」の後編。この建築の根幹ともいえる大屋根の施工方法は、着工段階では完全に解決できていなかった。設計者と施工者が一丸となり、理想の曲面を実現する新技術を開発していった。

Q.国立代々木競技場 第一体育館の大屋根で「使っていない」技術はどれ?
(1)世界初の本格的免震構造
(2)建築では前例のない鋳鋼の構造部材
(3)吊り材に鉄骨を用いた吊り構造

答えと解説はこちらへ。

日曜コラム洋々亭33:「美の巨人・葛西臨海水族園」は見応え大、20年で建築ネタがこんなに増えた!

 昨晩(2021年8月14日)22時からテレビ東京で放送された「新・美の巨人たち」をご覧になっただろうか。取り上げられたのは建て替え・活用議論の渦中にある「東京都葛西臨海水族園」(設計:谷口吉生、1989年)だ。

これは番組からではなく宮沢の撮影(以下も)
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乾久美子事務所がサイトをリニューアル、乾画伯の漫画がうま過ぎ!

 先ほど、建築家の乾久美子さんから「Webサイトリニューアルのお知らせ」というメールが届いた。設計事務所からそんなメールは珍しい。どれどれ、と覗いて見ると、もうこれは書かずにはいられない素晴らしさ。

リニューアル された乾久美子建築設計事務所のサイトからキャプチャー(以下同)
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コロナ夏の必見展06:あの建築家にも影響、「サーリネン(父)展」@パナ汐留美術館で知る北欧建築の奥深さ

 東京・汐留のパナソニック汐留美術館で、「サーリネンとフィンランドの美しい建築」展が開催されている。「サーリネン」というのは、丹下健三のライバル的存在として知られるエーロ・サーリネン(1910~1961年)ではなく、父親のエリエル・サーリネン(1873~1950年)の方である。なんとまた、ニッチなテーマ……と思ったのだが、これが実に面白い展覧会であった。

(写真:長井美暁、以下も)
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コロナ夏の必見展05:「隈さんは誤解されている」と企画者の保坂健二朗氏、1年待ちの「隈研吾展」9月26日まで

この記事を見逃した人のために、「コロナ夏の必見展05」として再公開する。初出は2021年6月17日。

 本来であれば、1年前の2020年7月~10月に開催される予定だった東京国立近代美術館の「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」が、明日、6月18日(金)から始まる。会期は9月26日まで。本日午前中に内覧会が開催された。

会場の東京国立近代美術館。建物は谷口吉郎の設計で1952年竣工。1階の大会場で建築家の個展が開催されるのは、約70年の歴史のなかで初めて(写真:宮沢洋、以下特記以外はすべて)
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