東京・ニューオータニガーデンコート3階のオカムラ・ガーデンコートショールームで、「Blurring Structure — オフセットされた世界」と題された展覧会が9月12日から始まった。

建築史家の五十嵐太郎氏がキュレーターを務める展覧会シリーズ〈OPEN FIELD〉の第3回で、これまでは建築家とテキスタイルデザイナー、建築家と彫刻家といったコラボレーションが見られたが、今回は建築家と構造エンジニアという組み合わせ。松原市民松原図書館(2019年)や花重リノベーション(2023年)などの設計を手がけたMARU。Architectureの高野洋平氏と森田祥子氏、メゾン・エルメス(建築設計:Renzo Piano Building Workshop、2001年)やみんなの森ぎふメディアコスモス(建築設計:伊東豊雄建築設計事務所、2015年)などの構造設計を担当した金田充弘氏によるコラボレーションである。

作家チームが目論んだのは、既にあるショールームの環境を「リセット」するのではなく、「オフセット」すること。現実世界の解像度を落として、ぼやけた状態を体験させることを狙ったという。ちなみにタイトルにある「Blurring」とは、かすんで見える、ぼんやりしているという意味だ。そのために選ばれた素材が、金属のメッシュだった。これを折り曲げてパーツ化し、壁状につないで空間を仕切っている。安全面を考慮し上部を吊って留めているが、メッシュの壁はそれだけで構造としては自立している。


メッシュは透けるので、見る位置や角度によって重なり合い、多様な視覚環境が空間を充たしている。天井の照明はメッシュで筒状に伸び、それぞれの大きさで床に光の円を描く。会場には、オカムラの社内デザイナーがデザインした、金属メッシュを用いた家具も置かれている。メッシュという素材を最小限の操作で構造化し、空間に展開したインスタレーションだ。体験できるのは9月27日まで。(磯達雄)

■展覧会名:Blurring Structure — オフセットされた世界
参加作家:高野洋平・森田祥子(MARU。Architecture/建築家)、金田充弘(東京藝術大学・Arup/構造エンジニア)
キュレーター:五十嵐太郎
主催:オカムラ
会期:2025年9月12日(金)〜27日(土)日曜・祝日休館
開場時間:10:00〜17:00
会場:オカムラ ガーデンコートショールーム(東京都千代田区紀尾井町4−1 ニューオータニガーデンコート 3階)
観覧料:無料
公式サイト:https://www.okamura.co.jp/corporate/special_site/event/openfield/

