週刊折り紙建築クイズ44:プリミティブな形の三角柱が丘の上に横たわり、かつ大きくはね出しているこの建築は?

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ヒント:この設計者には、見たことがないような架構の木造作品が多くありますが、なんとこの建築も木造です。

(制作・撮影:五十嵐暁浩、以下も)

答え
建築名称 :ふれあい塾
所在地:福岡県田川郡福智町福智町神崎1094-1
竣工年:1994年(平成6年)
設計者:葉祥栄
規模など:木造、地下1階・地上2階、延べ面積615.32㎡

(写真:磯達雄)

建築のポイント:筑豊地方の緩やかな丘に建つ子どもたちのための研修施設です。葉祥栄により設計されました。自然の中で寝食を共にし、自然の中で野外生活ができるこの施設は、子どもたちにとって原風景になりうるものだと思います。正三角形が構造的に安定した形だとはいえ、木造で12mものキャンティレバーで計画されていたり、本来は強固であるべき三角形の頂点に陽の光を入れる為のスリットがあったりと、設計者の限りない情熱と挑戦のあとがうかがえます。

折り紙建築の制作ポイント:正直に言うと、この作品は「葉祥栄」の建築を作りたかったという理由で選定しました。三角形の中には「沈み込み防止」や「方向矯正補助」など、お見せできないのが残念なくらいのノウハウが詰まっています。最初は1棟で満足していたのですが、実物の写真と見比べていると「実際は何棟あるのかなぁ?」と紙の声が聞こえてきました。(五十嵐暁浩)

「週刊折り紙建築クイズ」では、国内の近現代建築の名作を竣工年順に紹介していきます。掲載は毎週水曜の予定。折り紙建築の制作、写真撮影、解説文のいずれも五十嵐暁浩さんです。お楽しみに!

五十嵐暁浩。1962年新潟県生まれ。一級建築士。木原隆明氏に師事し、折り紙建築の創作活動を行っている。著書に『3Dグリーティングカード (レディブティックシリーズno.4670)』(2018年、ブティック社)。五十嵐氏のインタビュー記事はこちら(イラスト:宮沢洋)

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