このリポートは、2つのことをお知らせする目的で書いている。1つは筆者(宮沢)が実行委員を務める「東京建築祭2026」のクラウドファンディング(こちら)の返礼ツアーの1つとして、「資生堂アートハウス」(静岡県掛川市)の貸し切り見学会が4月22日(本来は休館日)に行われたということ。そしてもう1つは、同館が一般に向けて公開されるのは、現在の展覧会が終了する6月27日までであるということだ。



「資生堂アートハウス」が閉館することについては、発表された直後にすでに本サイトでお伝えしている。
耐震改修から8年の「資生堂アートハウス」が閉館を発表、2026年6月末で銀座・資生堂ギャラリーに集約(2025年11月18日公開)
「資生堂アートハウス」はJR掛川駅から徒歩20分ほどの東海道新幹線沿い(南側)にある。 谷口吉生氏が高宮真介氏とともに「計画・設計工房」を設立した4年後の1978年に完成した。同じ年に父・谷口吉郎との共作である「金沢市立玉川図書館」も完成している。
完成時、谷口氏は41歳。この建築は高宮真介氏との連名で、1980年に日本建築学会賞作品賞を受賞した。それ以前には「雪ケ谷の住宅」(1975年)と「福井相互銀行成和支店」(1976年)があったくらいで、一部の人にしか知られていなかった。それがいきなりの建築学会賞受賞でスター建築家の仲間入りを果たした。
“美術館の名手”として国内外に知られる谷口氏にとって、最初の美術館である。これを見ておかないと、谷口氏の美術館の系譜を本当の意味では理解できなくなる。谷口吉生ファンを公言する筆者はもちろん見たことがあるが、脳裏に焼き付けるために「取材」という名目で行ってきた。
同館では2026年3月12日から6月27日まで、最後の展覧会となる「資生堂アートハウス所蔵作品展 小村雪岱 -江戸を夢見る-」と「工藝を我らにセレクション 2026 -美しく暮らす、四季のしつらえ-」展を開催している。









「よし行こう!」と思った人が注意してほしいのは、開館しているのが木・金・土だけだということ。今日を含めて見られるのは、以下の日だけである。
4月24日(金)、25日(土)、30日(木)
5月1日(金)、2日(土)、7日(木)、8日(金)、9日(土)、14日(木)、15日(金)、16日(土)、21日(木)、22日(金)、23日(土)、28日(木)29日(金)、30日(土)
6月4日(木)、5日(金)、6日(土)、11日(木)、12日(金)、13日(土)、18日(木)、19日(金)、20日(土)、25日(木)、26日(金)、27日(土)
今日を入れて29日。明日からだと28日。正味1カ月間を切っている。
以下、見学に行く人の注意事項。(公式サイトより)
今回の展覧会では、過去展と比較して混雑が予想されます。
車でお越しの場合は、駐車に長時間お待ちいただく可能性がございます。
掛川駅から市街地循環バス(南回り)やタクシーのご利用もご検討ください。
なお、今のところ閉館後この建築がどうなるかについて、具体的な発表はされていない。館の方に聞くと、壊すという話は出ていないようなのでそれは安心した。なので、いつか特別な機会に見られることはあるかもしれないが、谷口ファンやモダニズム建築好きは、確実に見られる今のうちに必ず行っておきたい。
建築の話ばかり書いているが、小村雪岱(こむら せったい/1887~1940年/大正から昭和初期にかけて、日本画や書籍の装幀、挿絵や舞台装置など幅広いジャンルで活躍した)の絵がすごくよかった! 挿し絵好き、版画好きの人も必見だ。

■展覧会開催要項
資生堂アートハウス所蔵作品展 小村雪岱 -江戸を夢見る-
工藝を我らにセレクション 2026 -美しく暮らす、四季のしつらえ-
会期:2026年 3月12日(木)― 6月27日(土) <入場無料>
開館日:木・金・土曜日
休館日:日・月・火・水曜日(祝日の場合も休館)
開館時間:10:00-16:30(入館は16:00まで)
会場:資生堂アートハウス
〒436-0025 静岡県掛川市下俣751-1
(TEL.0537-23-6122)
※「小村雪岱 -江戸を夢見る-」展につきましては5月上旬に、一部展示替えを行います
※ コンディション等の理由により、出品予定の作品がご覧いただけない場合がございます
公式サイト:https://corp.shiseido.com/art-house/jp/
線路の向こうの「掛川市庁舎」もお見逃しなく
それと、ここを見に行く人は、線路の北側の「掛川市庁舎」(1996年)ものぞいてみるべし。よくこんなものが実現したなと目が点になるびっくり庁舎だ。設計したのは日建設計の林昌二のチームである。



これは林の出世作だった旧掛川市庁舎(なんと20代で設計の中心に!)を建て替えたもの。若き谷口は当然、林の旧庁舎を意識しながら資生堂アートハウスを設計しただろう。林といえば、父・吉郎の弟子である清家清の教え子。意識しないわけがない。そして林は旧庁舎を建て替える際、名作と呼ばれるまでになった資生堂アートハウスを見ながら、新庁舎を設計した。そんなことを考えながら見るのもまた面白い。(宮沢洋)
