槇文彦氏のスケッチは必見! 「スパイラル40th×槇総合計画事務所60th」10月13日まで

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 槇文彦氏の代表作の1つである東京・表参道のスパイラルで、開業40周年を記念する「スパイラル40th × 槇総合計画事務所60th『槇文彦とスパイラル ーアートの生きる場所ー』」が10月1日から始まった。会期は10月13日(月・祝)まで。非常に短いので、急いで行ったほうがいい。入場は無料だ。

展示風景
スパイラルの入り口に掲示されたポスター。右手の階段を上ると展示スペース

 以下、公式サイトより(太字部)。

1985年10月、株式会社ワコールが「文化の事業化」を目指して東京・青山にオープンしたスパイラルは、今年で40周年を迎えます。建築家・槇文彦が設計したビルは「R.S.レイノルズ賞」受賞のほか、昨年6月にDOCOMOMO Japan「日本におけるモダン・ムーブメントの建築290選」に選出されるなど、1980年代を代表する建築物のひとつとして国際的に知られ、今も竣工当時と変わらぬ姿で多彩なアートを発信し続けています。

スパイラルの外観。槇氏の建築の中では珍しい、ポストモダン風のコラージュ・ファサード。それでも、誰が見ても槇文彦!

この度、40周年を記念し、創業60周年を迎える槇総合計画事務所との協働により、「槇文彦とスパイラル」展を開催します。

会場では、スパイラル構想段階のオリジナルドローイングをはじめ、コラージュや模型、図面など初公開となる資料と共に、「都市とパブリックスペース」「都市の孤独」「現代建築とクラフトマンシップ」など槇氏の建築に対する視座を展示します。あわせてワコール創業者・塚本幸一との対話から育まれた、スパイラルの誕生にまつわるエピソードも紹介し、ソフトとしてのスパイラルのアートをめぐる活動が、建築と一体となって発展してきた様相を概観します。

会期中はスロープ部分に展示がないので、「何もない吹き抜け」を堪能できるのも貴重
展示スペースを見下ろす
東京で一番ぜい沢な休憩スペースだと筆者が思う、青山通り側の階段状ホワイエ。ここにもスパイラルの歴史資料が展示されていた(写真右側)

オープン以来、 「生活とアートの融合」をテーマとして、人々の暮らしにアートを届けることを目指してきたスパイラル。ここから生まれ、育ち、そして広がっていくアートの可能性を展望するこの機会を、ぜひご覧ください。

スパイラルって、青山通りに面していない部分はこういう形なのか…

 展示はいろいろ面白かったが、筆者は特にこのスケッチ↓に目が釘付けになった。手帳とおぼしき小さな紙に描かれた最初期のスケッチだ。

 左下に「現代のカテドラル」と書かれている。最初から「コラージュありき」ではなく、ど真ん中の“古典”から設計がスタートしていたのだ。さすが槇氏。
 

だんだんと最終形に変化していく

 そう知ると、カテドラルにも見えてくる。

見上げ

 スパイラルについては、2024年11月にワコールホールディングスがこのビルの売却を検討していると報じられた。その後の報道はなく、ちょっと心配ではあるので、じっくり見られるこの機会にぜひ見ておくことをお薦めしたい。

 なお、10月4日(土)には、昨年この建築を「日本のモダン・ムーブメントの建築」に選定したDOCOMOMO Japanによる選定プレート贈呈式と記念トークイベントが開催される。詳細はこちら。(宮沢洋)

■開催概要
スパイラル40th × 槇総合計画事務所60th

「槇文彦とスパイラル ーアートの生きる場所ー」
会期:2025年10月1日(水) – 10月13日(月・祝) 11:00 – 19:00
会期中はトークや見学ツアーなどを予定しています。イベントの詳細は下記にてご確認ください。
会場:スパイラルガーデン(スパイラル 1F) 東京都港区南青山5-6-23
定休日:会期中無休

入場料:無料
主催:株式会社ワコールアートセンター
共催:株式会社槇総合計画事務所 、DOCOMOMO Japan
企画制作:スパイラル

協力:工学院大学 建築学部 大内田研究室
https://www.spiral.co.jp/topics/maki_spiral