まるで村野藤吾⁉ 特別公開「新東京ビルヂング」の超絶ディテールに目が点──東京建築祭2024ルポ03

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 東京建築祭のメイン期間は今週末の2日間(5月25日(土)と26日(日))だが、先行して5月23日(木)~ 5月25日(土)に行われている「特別公開」(予約なしで入れる建物公開)の1つが有楽町の「新東京ビルヂング」だ。

中に入ると、なんじゃこれは、という超絶ディテール満載
でも、外観は優等生的?

 名前を聞いて、「ああ、あれね」と思った人は相当のビル好き、建築好きだろう。筆者は地図↓を見てようやくわかった。「ああ、東京国際フォーラムと東京會舘の間にある地味なビルか…」。

この地図は北が下
西側の丸ノ内仲通りから見るとこんな感じ。横連窓でしゃれてるな、とは思っていたが…

 そう、恥ずかしながら筆者は今まで中に入ったことがなかったのである。「特別公開」と謳うくらいだから何か見どころがあるのだろう、くらいな気持ちで見に行ったら、中は見どころだらけだった。

東側(東京国際フォーラム側)から入ると、ドーンと石張りの空間が出迎える。ひるまず中へと進もう

新東京ビルヂング
東京都千代田区丸の内3-3-1
竣工年:第1期 1963年、第2期 1965年
設計:三菱地所
施工:大成建設

 「設計:三菱地所」とあるが、今は設計部門が別会社になっており、現在の「三菱地所設計」である。

 まずは、東京建築祭の公式サイトの説明を引用させてもらう(太字部)。

 1960年代に丸の内で誕生した新たなビル群。その先鞭をつけたのが「新東京ビルヂング」です。外観は横一列のシャープなガラス窓。内部には周辺の碁盤の目状の街路を引き込むような共用通路があります。

展示されていたパネル。1期はL字形につくられ、その後、三菱21号館を解体して増築した
モザイク画(矢橋六郎作)が鮮烈過ぎて、エレベーターに気づかないかも…

 おおらかな空間の中で輝くのは、矢橋六郎作のモザイク画「彩雲流れ」や幾何学的な照明器具。東京建築祭に合わせて、完成時の写真や図面が特別展示されます。

中央付近の吹き抜け。なんてゴージャスな照明

 このビルがたたえている高度成長期ならではの機能性と装飾性との融合に、ぜひご注目ください。

吹き抜け部を2階から見下ろす
2階の吹き抜け周辺は無料のギャラリーになっていて、休憩もできる

 と、公式サイトで説明されているエントランスホール周辺も確かにすごいのだが、階段好きは階段を見るとクラッとめまいがしてしまう。まるで村野藤吾の階段を見るよう。

1階東側の階段。まるで劇場…
地下1階へ。優雅な踏面
2階へ上る階段は石張り

 筆者がさらに胸キュンだったのは、見せ場ではない北側の階段。この手すり、見たことない! 灰皿みたいでかっこいい!!

金属職人の超絶技巧!

 このビルはオフィスビルだが、低層部に店舗があるので一般の人でも、ここに写真を載せた空間はいつでも見ることができる。だが、こういう場所で写真を撮るのはなんとなくはばかられるもの。この特別公開の期間(5/23~ 5/25)は、後ろめたさを感じずにフェティッシュなアングルの写真を撮ることができる(もちろん一般の方の迷惑にならないように!)。

普段、こんな写真を撮っていると変人だと思われる…
写真を撮る人があちこちにいて、中には外国の方も。会話をせずとも心が通じ合う気が…

 以下は事務局からの連絡事項。

連絡事項
※混雑した場合、入場制限や整理券の配布などを行うことがあります。
※使用可能なお手洗い:あり
※車いす進入:可 / 階段:無
※撮影可。ただし、他の来館者やスタッフ、商品の映り込み不可。
※SNS投稿は、常識の範囲の内容に限り可。
※SNS投稿時は「東京建築祭にて撮影」の旨を明記してください。

「新東京ビルヂング」は上の表のC2。C3の「国際ビルヂング」、C4の「明治生命館」とも「特別公開」の期間は5月23日(木)~ 5月25日(土)

 「新東京ビルヂング」の特別公開は日曜日(5月26日)にはやっていないので、ご注意を。特別公開(上の表の18件のうち三越劇場はすでに終了)をどうめぐるか。作戦を立てたい方は、マップのPDFをダウンロードすると便利(こちら)。上のスケジュール表もそれに載っている。今週末は天気もまずまずのようなので、建築巡りを存分にお楽しみください!(宮沢洋)