4月25日(土)、26日(日)に開催される旧東京高速道路(KK線)を会場としたイベント「Roof Park Fes & Walk 2026」の初日に行ってきた。

かつて高速道路だった約2㎞のKK線(2025年4月5日に廃止)をのんびりと歩くことができる2日間。上部空間の5つのゾーンでは、ワークショップ、スポーツアクティビティ、ライブ、子ども向けの遊び場や路上お絵描き、キッチンカーやマルシェなどさまざまなイベントが行われている。予約制だが、当日券もあるようだ(詳細は公式サイトを)。


KK線には昨年の「東京建築祭」の取材で上ったことがあるのだが、次の取材予定があったため、全約2㎞のうちの100mくらいしか見ることができなかった。実は昨年書いたこの記事↓のKK線部分は、ほとんど事務局が撮った写真を借りて構成している。騙したみたいで、どうもすみません。
そんな負い目があったので、今回、知人に声を掛けられ、嬉々として見てきた。
地上からはよくわからない建築の上部がくっくりと
やはり100mと2㎞では全く印象が違う。とにかくすごいポテンシャルだ。
まず、建築好きと鉄道好きは、有料であっても絶対に満足する。それは高さと方向。普段、地上から見上げているものの上部がくっくりと、かつ見たことのない方向から見える。建築好きの場合、その最たるものがこれだろう。




ここから本題。KK線再生はどこを目指すべきか?
普通に歩いているだけでも面白いのだが、いろいろなイベントを見てこれまでの自分の考え方を変えた。それは「ニューヨークのハイラインみたいにはならない方がいい」ということだ。
ハイラインというのは、ニューヨークで廃線になった貨物鉄道の高架を緑道にコンバージョンしたもの。ハドソン・ヤード(北端)からチェルシーを抜け、ミートパッキング・ディストリクト(南端)までの2.33 km。2009年、2011年、2014年と段階的に整備された。筆者は脱サラしたばかりの2020年2月に見に行った。






それは確かに魅力的で、ニューヨークの観光の価値を高めていることは間違いないと感じた。たぶん、筆者も含めて、ハイラインを見た人のほとんどは「KK線もハイラインみたいなものにしてほしい!」と言うと思う。だが今日、考えを変えた。
KK線の再生にあたり、新しい価値を生み出す仕組みとして「共創プラットフォーム」というものがつくられている。共創プラットフォームを牽引するコンダクターには、パノラマティクス主宰の齋藤精一氏が就任。パートナーとしてグラフィックデザイナー・色部義昭氏、プロダクトデザイナー・倉本仁氏、コピーライター・小西利行氏、建築家・永山祐子氏らが参加している。
頼もしいメンバーだ。なので「そんなことはわかっている」と彼らには言われると思うのだが、彼らに対して「ハイラインみたいなものに」とゴリ押しする人が少しでも減るように、筆者はここで言っておきたい。
「KK線にはハイラインを超えるポテンシャルがある」。
それを思ったのは2つの光景を見たからだ。1つはこれ↓だ。

子どもたちに、色チョークで道路面に落書きさせるコーナーである。いろいろなイベントの中でこれが一番設備投資が安いと思われるが、ここが一番子どもたちが輝いて見えた。


それを見て思ったのである。そうか、これは「道路」だからできるんだ、と。
そして、そのすぐ先のこのエリア↓。

おしゃれっぽい休憩コーナーの脇に、なんとなく見覚えのある文字が並んでいるではないか。


「新|POST」
そう、定期購読している人はすぐにわかるだろう。おなじみ『新建築』を毎号送ってくれている新建築書店(POST architecture books)である。こんなおしゃれな移動販売車を持っていたのか。今回はレギュレーション上、ここで販売はできないが、立ち読みして注文は受けられるそうだ。

知らなかったのだが、この新|POST号(?)、これまでにイケフェス大阪や瀬戸内国際芸術祭にも出動しているのだという。


この移動販売車がある光景をすごく自然に感じた。そして気づいた。そうか、「道路」だから車が無理なく上がれるのだ、と。

そこで思ったわけである。KK線はハイラインみたいにはならない方がいい、と。
公表されているKK線再生のイメージ図(例えばこちらの記事)を見ると、ハイラインをしのぐ公園的なものを目指しているように見える。実際に歩いてみると、こうなるのはもったいない(機能的にもコスト的にも)。
あちらは元が鉄道軌道だったわけだから、そうせざるを得なかったのだと思うが、こちらは元の高速道路の魅力を極力生かして何ができるかを考えるべきだろう。ハイライン的なものは、すでに横浜に「東横フラワー緑道」があるし、KK線はもっと高みを目指して、「西のハイライン、東のKK線」といわれるようなものを目指してほしい。

そして、そういうものは完成予想図がきっと地味に見えると思うので、皆さん、出来上がるまで温かい目で見守りましょう。(宮沢洋)

