福島県は、「福島県営野田町団地保存活用設計業務委託」の公募型プロポーザルの募集を12月8日から始めた。参加表明書の提出期間は2026年1月9日(金)17時まで。技術提案書の提出期間は2026年2月4日(水)17時まで。詳細はこちらへ→https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/41065a/starhouse.html (開かない人はURLをブラウザにコピペしてください)

このプロポーザルはいくつかの点で、非常に珍しい内容だ。ざっくりまとめると下記だ。
1)最初期のスターハウス「54C-2型」に手を入れて、国の登録有形文化財を目指す。
2)まだ入居者がいる公営住宅の空き住戸を、「公営住宅以外」の用途に変えることも想定している。
3)設計者選定の段階で改修後のソフトの提案を求めている。
4)基本的には一級建築士であれば、だれでも提案できる。(事業コンペではないので、単独でも出せる)

なぜ、募集開始したばかりのプロポーザルについて筆者(宮沢)がそんなに詳しいかというと、筆者が審査委員の1人だからだ。
■審査委員会
松村 秀一 神戸芸術工科大学学長 (審査委員会委員長)
大月 敏雄 東京大学大学院教授 (審査委員会副委員長)
木下 庸子 工学院大学名誉教授
海老澤 模奈人 東京工芸大学教授
宮沢 洋 (株)ブンガネット代表取締役
村上 金彦 福島県土木部建築住宅課長
筆者は、福島県の建築サイト「ふくしま建築探訪」で県営野田町団地のスターハウスをイラストでリポートした。取材したのは今年の8月。初期のスターハウス(54C-2型)があると知り、自分から取材を希望したのだが、これを書いたときには、こんな再生事業が計画されていることは全く知らなかった(本当です)。
https://fukushima-kenchikutanbou.jp/detail.html?no=96

ふくしま建築探訪に載っている説明文をコピペする。(写真は宮沢)
福島県営野田町団地(スターハウス)
所在地: 福島市野田町四丁目6-1
竣工年: 1959年
階 数: 地上4階
構 造: 鉄筋コンクリート造
延べ面積: 1021.68㎡
用 途: 共同住宅
設計者: (標準設計)建設省、市浦建築事務所 (実施設計)不明
施工: 青木工業、須藤工務店

福島県営野田町団地(2棟)は、昭和28年に建築家の市浦健が建設省と共同で設計した公営住宅の標準設計54-C-2型(スターハウスの最初の型)の唯一の現存例と思われます。
平面は「正三角形(階段室)」「正方形(住戸)」「正円(柱)」の3つの基本図形で構成され、階段室の採光のためのプリズムガラスブロックや水平連続窓などが特徴です。
竣工後、大規模な改修が行われていないことから、当時の設計思想が垣間見える建築です。






スター・ハウスは、日本住宅公団(現UR都市機構)が1962年に管理開始した旧赤羽台団地(東京都北区)の共同住宅4棟(スターハウス3棟と板状住棟1棟)が、2019年に国の登録有形文化財に登録されたことなどから近年、再評価されている。12月6日には「スターハウス・サミット― 歴史的集合住宅の保存・活用の方法を考える」が日本建築学会 建築計画委員会 UR集合住宅団地・保存活⽤⼩委員会の主催で行われた。
https://akabanemuseum.ur-net.go.jp/news/316/
以下、プロポーザルの募集要領から主な部分を抜粋する。(詳細はこちらへ→https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/41065a/starhouse.html)
福島県営野田町団地保存活用設計業務委託 公募型プロポーザル募集要領
1 目的
1959年(昭和34年)に管理開始した福島県営野田町団地は、スターハウス最初の標準設計54C-2型2棟で構成される団地です。
近年、公営住宅を歴史的意義のある建築と捉え、保存活用に取り組む自治体がある一方、スターハウスは、老朽化等により解体が進んでいます。全国的にも希少な野田町団地を保存し活用することは、歴史的・文化的価値を次世代に伝えることだけでなく、団地の再生モデルとして、移住・定住(二地域居住含む)や新婚・子育て世帯支援、観光資源など、多角的な効果をもたらす新たな可能性があることから、保存活用することとしました。
保存活用に当たっては、築100年を目指し、国の登録有形文化財への登録を見据え、住まいの他に新たな機能を加えたストックの再生モデルにすること、また、この取組を情報発信し、建築に対する関心を高め、建築業の将来の担い手の確保・育成につなげることなどにより、当県の建築文化をシンカ(進化・深化・新化)させることを目的とします。
福島県営野田町団地保存活用設計業務委託の設計者選定は、これらを実現できる優れた技術力や創造力を有する者を広く募集する必要があることから、公募型プロポーザルを実施します。
2 業務の名称
福島県営野田町団地保存活用設計業務委託
3 設計者選定方式
公募型プロポーザル方式
4 主催及び事務局
(1)主 催 福島県
(2)事務局 福島県土木部建築住宅課
5 事業の概要
当施設については、以下の内容を予定しております。
(1)名 称 福島県営野田町団地
(2)主要用途 共同住宅
(3)建 設 地 福島県福島市野田町4丁目6-1
(4)計 画
①構 成 県営住宅
②主要用途 共同住宅
③延べ面積 1,021.68 ㎡(510.84 ㎡/棟)
④構 造 鉄筋コンクリート造
⑤階 数 4階建て
⑥棟 数 2棟(他に駐輪場2棟有り)
⑦工 事 費 約4億円(消費税込み)
・建築工事、電気設備工事、機械設備工事の他、外構工事を含む
⑧全体工程 令和7年度 公募型プロポーザル
(予定) 令和8年度 改修設計等
令和9~10 年度 改修工事
(5)整備条件等
①敷地面積 1,121.38 ㎡
②前面道路 南側(市道野田町11号線)
③都市計画 ・都市計画区域内(市街化区域)
・用途地域(第1種住居地域)
6 プロポーザルの提案課題
本プロポーザルの参加者は、以下の課題について提案してください。
(1)社会情勢の変化を前提に、これからの地方都市における「集まって住む」こと
(2)国の登録有形文化財への登録を見据えて、歴史的価値の維持と社会的要求への対応の両立を目指した「生きた建築」として継承することに関する提案
(3)モノ(ハード)とコト(ソフト)の相互関係を構築し、持続可能な住環境運営の「再生モデル」とすることに関する提案
(4)その他の提案
(5)実現可能な提案
※本プロポーザルにおける評価の項目は上記(1)~(5)の5項目とし、それらを総合的に評価します。
7 スケジュール
(1)募集要領等の配布期間
令和7年12月8日(月)から令和8年1月9日(金)
(2)質問書の受付期間
令和7年12月8日(月)から令和7年12月22日(月)17時まで
(3)質問書に対する回答予定日
令和7年12月26日(金)
(4)参加表明書の提出期間
令和7年12月8日(月)から令和8年1月9日(金)17時まで
(5)技術提案書の提出期間
令和7年12月8日(月)から令和8年2月4日(水)17時まで
(6)第一次審査
令和8年2月27日(金)
(7)第一次審査結果発表及び通知
令和8年3月上旬頃
(8)第二次審査及びヒアリング
令和8年3月26日(木)
(9)第二次審査結果発表及び通知
令和8年3月下旬頃
8 参加資格等
(1)資格要件
参加者の要件は、評価基準日(令和8年1月9日)において、次の①に掲げる条件を全て満たしている1者又は②に掲げる条件を全て満たしている設計共同体
とします。
① 1者単独(設計共同体でないもの)
ア 建築士法(昭和25年法律第202号)第23条第1項の規定に基づく一級建築士事務所の登録を受けていること。
イ 建築士法の規定に基づく建築士事務所の閉鎖期間中の者でないこと。
ウ 地方自治法施行令第167条の4の規定に該当しない者であること。
エ 評価基準日(令和8年1月9日)に福島県建設工事等入札参加資格制限措置要綱(平成19 年3 月30 日付け18 財第6342 号総務部長依命通達)に基づく入札参加資格制限中のものでないこと。
オ 管理技術者は1名とし、意匠・構造・積算・建築設備(電気・機械)の担当技術者(主任技術者(管理技術者の下で、担当技術者が行う各分野の業務を統括する役割を担う者をいう。)を含む。)との兼務は認めない。
カ 管理技術者の資格要件及び各分野の担当技術者のうち1名以上が有する必要のある資格要件は、以下のとおりとする。
なお、構造・積算・建築設備(電気・機械)の担当技術者については、再委託も可能とする。
・管理技術者 :一級建築士
・意匠担当技術者 :一級建築士
・構造担当技術者 :構造設計一級建築士
・積算担当技術者 :建築積算士又は公共工事の積算経験が5年以上であること
・建築設備(電気・機械)担当技術者:設備設計一級建築士、建築設備士又は公共工事の設計経験が5年以上であること
② 設計共同体(設計JV)
ア 2者以上で構成する設計共同体であること。
イ 構成員において決定された代表者(以下「代表構成員」という。)は、①-ア~エの全ての要件を満たす者であること。
ウ 管理技術者は、代表構成員から配置すること。
エ 構成員は、①-ア~エまでに掲げる条件を全て満たす者であること。
オ 設計共同体として、①-オ及び①-カの要件を満たす者であること。
カ 設計共同体協定書を締結している者であること。
キ 設計共同体協定書においては、構成員等に係る次の事項を明確にすること。
・代表構成員に関すること
・構成員が分担する業務の内容に関すること
・業務が適切に分担されていること
(一つの分担業務を複数の構成員が共同で実施しないこと)
ク 構成員は、本プロポーザルにおいて、①の参加者又は他の設計共同体の構
成員となっていないこと。
(2)技術提案書の提出
本プロポーザルの参加者が提出できる技術提案は、1者又は1設計共同体1提
案とします。
19 設計業務の契約
(1)契約の方法
福島県は、最優秀に選定された者を本業務受託候補者とし、福島県財務規則に基づく契約交渉を行います。
ただし、本要領8-(1)-①ア~エの条件を満たさない場合は、当該候補者とは契約を締結せず、次点の者を本業務受託候補者とします。
(2)業務内容
本団地の改修設計、各種調査、活用事業スキーム構築に係る業務
(3)設計期間(履行期限)
契約締結の日から10 か月程度
(4)その他
工事監理業務を委託する場合は、本業務の受託者と随意契約を行う予定です。
なお、その場合も本要領8-(1)-①ア~エの条件を満たす必要があります。
ほか、詳細はこちら。https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/41065a/starhouse.html (開かない人はURLをブラウザにコピペしてください)
いろいろな設計競技を取材してきた筆者にとっても未知のもの。スターハウスがどんな形に生まれ変わるのか楽しみでならない。(宮沢洋)

