あの名建築で舌鼓を打つ幸せ、今年感動したカフェ・レストラン5選

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 クリスマスである。こんな日は、誰が読んでも幸せになるような記事をお届けしたい。一方で、自分のこの1年を振り返る時期なので、撮りためた写真を見返して整理したい。この2つの要求を掛け合わせて、こんなネタを考えてみた。

「知っていると一目置かれるあの名建築のカフェ・レストラン」

 こんなサイトを運営していながらなんだが、「誰が読んでも幸せになる記事」は純粋な建築ネタでは難しい。確実なのは「おいしい料理店」や「おしゃれなカフェ」だろう。

 筆者(宮沢)は来春、東京の建築ガイドを上梓する予定で、今年(2025年)は都内の名建築をあちこち巡った。久しぶりに訪ねたものもあるし、初めて行ったものもある。その中に、「ここにこんな店があったのか」「うわさには聞いていたが確かに納得」と、“食”の面で心を揺さぶられたものが多かったので、その中の5件を共有したい。店がある建築物の竣工年順にいく。

1)東京駅丸の内駅舎「TORAYA TOKYO」

 通称「赤レンガ駅舎」は1914年(大正3年)竣工。設計は辰野金吾。

2つあるドームの手前側が南ドーム(写真:宮沢洋、以下も)

 「TORAYA TOKYO」は内藤廣氏の設計で2012年に完成。南ドームの2階にあって、いったん東京ステーションホテルの入り口に入らないと行けないので、相当東京駅に詳しい人でないと知らないのではないか(とはいえ店は混んでいるので、詳しい人は多いんだなあと感心する)。既存のレンガ壁がガバッと見えているのがここならでは。

 「とらや」なので、味は何を食べても(飲んでも)絶対に安心。

 店に行く途中でドームを見下ろすことができるのもよい。

公式サイト→https://www.toraya-group.co.jp/shops/shop-14

2)目黒区総合庁舎「目黒区役所レストラン」

 中目黒に千代田生命保険相互会社の本社ビルとして1966年(昭和41年)に竣工。村野藤吾の代表作の1つ。

 1階に食堂があるのは『名建築で昼食を』などを見て知っていたのだが、人気の「カツカレー」を今年初めて食べた。

 税込み690円。安っ! 早っ! でも、普通においしい。長い行列ができるのがわかる。

 食堂のインテリアは普通だが、廊下を介して、アルミ鋳物の外装が見える。

公式サイト→https://www.city.meguro.tokyo.jp/jinji/shisetsu/sonota/restaurant.html

3)安与ビル「柿傳(かきでん)」

 安与ビルはJR新宿駅の東口を出るとすぐのところに立つ。1968年竣工。設計は明石信道。明石は早稲田大学教授で、安与ビルのすぐ近くにある新宿区役所も設計した。

 柿傳の6階、8階、9階は、谷口吉郎の設計。

 柿傳は京懐石の有名店。以前に懐石料理は食べたことがあったのだが、喫茶メニューがあることを知り、注文してみた。

抹茶 吉野スイセン 1,000円(税サ込1,210円)

 吉野スイセンって何だろうと思ったら、葛切りだった。このあとに抹茶が出る。けっこうお腹にたまるので、これで1210円はお得。しかも、ザ・谷口吉郎ともいえる空間(「迎賓館和風別館」を思わせる)を満喫できる。

公式サイト→https://www.kakiden.com/

4)「つるや」

 西武新宿線・都立家政駅のすぐそばに1969年(昭和44年)に開業した喫茶店。設計は池原義郎。現オーナーの祖父の弟が池原義郎とのこと。プライベートな仕事だったからか、建築系のメディアを探しても記事が見つからない。でも、中に入れば、まぎれもなく池原ワールド。

 食べログなどでも人気のオムライスをいただいた。建築同様、上品なお味!

食べログ→https://tabelog.com/tokyo/A1321/A132104/13076070/

5)座・高円寺「カフェ アンリ・ファーブル」

 高円寺駅のすぐ近くに伊東豊雄氏の設計で2009年に完成。

 2階に「カフェ アンリ・ファーブル」がある。外から見えないのでちょっと勇気がいるが、劇場に用事がなくてもふらっと入って大丈夫(実際、この店のために来ていると思われるお客さんが多数)。深海のような内部空間を存分に味わうことができる。

 「劇場「座・高円寺」の2階にあるカフェ。毎日(11:30-19:00)営業中。パティシエのつくるスイーツをどうぞ!」(公式サイトより)

公式サイト→https://ghw5800.gorp.jp/

 いかがだっただろうか。「もっと建築の写真が見たい」と思われたかもしれない。それはもう少し待って、2026年春(おそらく4月)に書籍でご覧いただきたい。ただし、まだ執筆・編集作業中の本なので、上に挙げた5件を必ず掲載すると確約はできない。もし、載っていなものがあったらご容赦を。版元は決まっていて、総合資格からこの「画文で巡る! 丹下健三・磯崎新 建築図鑑」↓の第二弾として発刊する予定。お楽しみに。(宮沢洋)