村野藤吾記念会は5月18日、第33回村野藤吾賞を谷口吉生氏(1937年生まれ)に授与すると発表した。受賞対象は、金沢市に2011年に完成した「鈴木大拙(だいせつ)館」。谷口吉生ファンは納得だろう。

選考委員は加茂紀和子、佐野吉彦、中川武、平田晃久、古谷誠章(村野藤吾記念会代表)の5氏。

3月24日に開催された村野藤吾記念会委員会で谷口氏の授賞は決定していたが、授賞式および受賞記念パーティーの開催の日程が決定できなかったため、発表が大幅に遅れた。例年、村野藤吾の生誕記念日の5月15日に授賞式を挙行しているが、今回の授賞式は秋の開催を目指すという。
以下、リリースから抜粋する。
鈴木大拙館
所在地:金沢市本多町3丁目4番20号
設計:谷口吉生/谷口建築設計研究所
施工:清水・豊蔵特定建設工事共同企業体
敷地面積:3900.13m2
建築面積:662.00m2(土蔵47.37m2を含む)
延床面積:630.80m2(土蔵79.32m2を含む)
階数:地上1階
構造:鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造
工期:2010年10月〜2011年7月

鈴木大拙館は、金沢が生んだ仏教哲学者・鈴木大拙(1870~1966年)の考えや、足跡を広く国内外の人びとに伝えることにより、鈴木大拙についての理解を深めるとともに、来館者自らが思索する場として利用することを目的に金沢市により開設された。小立野(こだつの)台地から続く斜面緑地を背景に、石垣や水景などによって金沢を象徴する景観を創造し、その中で鈴木大拙の世界を展開していくことが意図されている。
建築は、回廊で結んだ「玄関棟」、「展示棟」、「思索空間棟」と、「玄関の庭」、「露地の庭」、「水鏡の庭」によって構成されている。来館者はこの3つの棟と3つの庭からなる空間を回遊することることによって、鈴木大拙について知り、学び、そして考えることができる。(ここまでリリースから引用)


新緑や紅葉もいいが、雪景色(下の写真)も、とてもいい。

ちなみに、鈴木大拙館から徒歩10分ほどのところにある「谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館」(2019年開館、下の写真)の現場所長は、鈴木大拙館と同じ清水建設の現場所長が務めた。どちらも谷口デザインを具現化する施工精度の高さが素晴らしい。(宮沢洋)

