スカルパ巡礼の続きである。何としても見たかったこの建築へ。何としても来た甲斐があった…。

④ブリオン家墓地(1978年、トレヴィーゾ)
ヴェネチアから車で1時半ほど北に走ったトレヴィーゾ県のサン・ヴィート・ディ・アルティヴォーレという所にあるブリオン家墓地(Tomba Brion)である。AV機器メーカー、ブリオン・ヴェガ社の創業者であるジュゼッペ・ブリオンと妻のオノリーナ・トマシンのための墓や礼拝堂を含む葬儀施設として建設された。


スカルパにとって数少ない新築のプロジェクトだ。新築ではあるが、周囲には既存の市民墓地があったので、ひとつながりの環境に対する増改築と見ることもできる。
有名な「∞」の丸窓は、村の並木道から市民墓地を通り抜けた突き当たりにある。




そこから右手(南側)に細い通路を進むと、池の中に浮かぶように礼拝や瞑想のための小さなパビリオンが立つ。



パビリオンは上から壁が下がり、座ると風景がばっと広がる。日本建築の影響だろうか。









夫妻の墓はL字の敷地の中央(北東側)にある。






L字の敷地の北西側にある礼拝堂へ。











スカルパもここに眠る↓。

敷地の外の畑に回ってみた。


もう何の言葉も出ない…。
⑤カノーヴァ彫塑館増築(1957年、ポッサーニョ)
ブリオン家墓地から車で30分ほど北へ。北イタリアのポッサーニョにある「カノーヴァ彫塑館」の増築である。

アントニオ・カノーヴァ(1757~1822年)は、イタリアを代表する新古典主義の彫刻家で、建物はその生家を生かしたもの。

ここでは、スカルパらしい強いディテールは自制され、光の入れ方がポイントになっている。
もともとあった展示室↓はセンター通路で両側に彫刻作品が展示され、トップライトの均質な光が注いでいる。

対してスカルパは、増築部に明らかに強弱のある光を取り入れる。


いったん入り口を小さく絞って、遠くに光を見せる。階段は、スカルパにしては抑えめ。

光が強いため、入って最初の彫刻は逆光で暗く見える。

完全に部屋に入ると、そこは光の箱。



以上で筆者が今回訪ねた5件のリポートは終わりだ。前編50枚・後編50枚で計100枚の写真を掲載した。いかがだっただろうか。

スカルパの代表作にはこのほか、、ヴェローナの「カステルヴェッキオ博物館」(1964年)や「ヴェローナ銀行」(1978年)があるが、今回は時間がなくて行けなかった。ブリオン家墓地に行くか、カステルヴェッキオに行くか悩みに悩んだ末に、今回は前者を取った。ブリオン家墓地は自分が今まで体験したことのない空気感の建築だったので、その選択が誤っていたとは思わない。が、カステルヴェッキオもやはりすごいのであろうことは間違いない。
どなたか、カステルヴェッキオやヴェローナ銀行のディテール写真をWEBにアップしている方がいたらリンクを張らせてください!(宮沢洋)
前編から読む↓。
