ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2025とタイミングを合わせて開催される「TIME SPACE EXISTENCE 2025」という関連展がある(公式サイトはこちら)。関連展と言いつつ、出展者の人数ではおそらくこちらの方が多い(今回は52カ国以上から207人の出展者が参加)。


会場はパラッツォ・モラ、パラッツォ・ベンボ、マリナレッサ・ガーデンズの3つに分かれる。先の2つは建物内で、3つ目は公園内。どれも無料で見られるので見学者も多い。なぜこの規模の展示が半年間も無料で実施できるのか、びっくりである。

「TIME SPACE EXISTENCE 」の主催者は2002年に設立されたECC(European Cultural Center)イタリアという文化団体。ヴェネチア・ビエンナーレが国や企業の威信をかけた展示であるのに対し、こちらは個人の提言が中心だ。日本の建築家もかなり参加しており、筆者の目に止まったものだけにはなるが、その様子をリポートしたい。
まずはパラッツォ・モラへ。

ここは出展ナンバー01が日本の森下修氏の展示だ。門を入ると、建物に入る前の庭にある。

テーマは「Eternal Flow」。森下氏の設計で進行しているJSTの研究所兼プロダクトセンターの外装システムを応用したインスタレーションだ。



室内の展示は1階(日本で言う2階)からで、数個目の部屋に本サイトで何度も取り上げた建築の展示があった。

第1回みんなの建築大賞を受賞したVUILD・秋吉浩気氏の「学ぶ、学び舎」だ。この一画は、VUILDの展示である。


パラッツォ・ベンボに移動。観光地のど真ん中だ。


この展示↑、中東の建築家の作品かとぼんやり映像を見ていたら、日本の迫慶一郎氏(SAKO建築設計工社)のプロジェクトだった。

京都の牧野研造氏(Kenzo Makino & Associates)は100のプロジェクトを整然と展示↓。

マリナレッサ・ガーデンズに移動。ここは、ヴェネチア・ビエンナーレの2つの会場からとても近い。

ここには、新森ジャミソンの展示があった。新森ジャミソンは、筆者が大阪・関西万博で感動した「休憩所3」(こちらの記事参照)の設計チームの一員だ。


展示の説明はこちら。

アルミ棒と防水布を組み合わせた鳥の水飲み場、ということのようだ。
山之内淡氏による「Anywhere Door」という作品もあった。これは、リアルなドラえもんのあれ!

国際的な”つながり”をテーマにしたインスタレーションで、日本では前橋の白井屋ホテルや木更津のKURKKU FIELDS、鎌倉の円覚寺にも設置されるそう。なるほど。
「TIME SPACE EXISTENCE 2025」には、これからを担う若手ばかりでなく、著名建築家も出展している。例えば、これはマリナレッサ・ガーデンズのMVRDVによる展示。


構造体の内部で発生する熱差によって空気圧が発生し、この熱によってパネルが開閉する仕組みらしいのだが、5分や10分見ているだけでは動きは認識できなかった。

「TIME SPACE EXISTENCE」は隔年開催で今回が第7回となる。つまり14年続いている。無料というのが本当に素晴らしくて、マリナレッサ・ガーデンズはもともと公園なので、普通に近所の人たちが展示物の中でくつろいでいるのが衝撃だった。

これは、タイのEnter Projects Asiaによる「Interwoven」という作品。テーマは「タイの職人技とイタリアの壮麗さの融合」ということで、彼らのことが気になってWEBで調べたら、普段のプロジェクトも自然素材を使った三次元的な造形がすごく面白かった(事務所のサイトはこちら)。そうやって誰かが調べて、次の仕事につながるということもあるのだろう。
日本も“建築文化の民主化”が進んできたと筆者はよく言っているのだが、こういう風景を見てしまうと「まだまだだな」とも思う。「ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2025」「TIME SPACE EXISTENCE2025」とも、会期は11月23日まで。大阪・関西万博だけでなく、ヴェネチアにもぜひ。(宮沢洋)
「TIME SPACE EXISTENCE」の公式サイト→https://timespaceexistence.com/the-exhibition/
「ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2025」の公式サイト→https://www.labiennale.org/en
01から読む↓。
