壮観!ウェグナーの椅子なんと160点、田根剛氏が恩師のために会場構成した「織田コレクション ハンス・ウェグナー展」が開幕

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展示室の1つ(写真:宮沢洋、以下も)

 渋谷ヒカリエ9階の「ヒカリエホール」で12⽉2⽇(火)から「織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ」が始まる。12⽉1⽇に行われた内覧会に行ってきた。織田憲嗣氏と会場構成の田根剛氏がトークショーに登壇した。この2人は北海道東海大学(現・東海大学札幌キャンパス)時代の師弟である。

内覧会の前に行われたトークショーにて。左が織田憲嗣氏。椅子研究家・東海大学名誉教授。1946年高知県生まれ。高島屋宣伝部に勤務する傍ら、椅子の収集活動を開始。以降半世紀以上にわたり近代家具、特に20世紀の北欧家具を研究・収集し、日用品として実際に使用することを基本理念としながら活動を続けている。1994年にコレクションとともに北海道へ移住。1997年、デンマーク家具賞受賞。2015年に「ウェグナーに関する研究成果を世界に対して発表し続け、ウェグナーの今日的な評価の向上に大きく寄与した」ことにより、審査員全員一致にて第一回ハンス・ウェグナー賞を受賞

 これまでにも何度か書いているが、筆者は正直、椅子というものにそれほど食指が動かない。たぶん、比較できるほど数を見ていないからだと思う。たまに展覧会に出展された名作椅子を見ると、「この良さがわからない奴はセンスがない」と言われているような脅迫観念を抱いてしまう。その点、この展覧会はフラットな気持ちで見ることができる。何しろ数が多い。織田コレクションの中から、ウェグナーの椅子約160点とその他の家具を展示しているのだ。

 展示されているものの中には自分でも買えそうな量産品もある。誰かの評価とは関係なく「自分がどんなものに惹かれるのか」がなんとなくわかってくる。

 とはいえ、その程度の知識で自分がそそられた椅子だけをチョイスするのはウェグナーにも織田氏に失礼なので、BUNGANETらしく、会場構成を中心に写真を見ていただく。

会場入り口

テーマごとに天井の高さを生かした展示

 「数が多いのでフラットな気持ちで見ることができる」と書いたが、短調で大味ということは全くない。大空間を適度に区切り、テーマごとに天井の高さを生かした展示を行っている。近年見た展覧会の中でも印象に残る展示構成だ。

最初のプロローグ的な部屋は、ややごちゃごちゃしていて、「あれ、こんな感じなの?」と少し心配になる。だが、これは次の部屋へのギャップをつくるためかもしれない
2つ目の部屋ドーン。椅子が分解されて台に置かれている。標本室のよう
おお、Yチェアってこれだけのパーツでできているのか
3つ目の部屋ドーン!
闇の中に、ピンスポットで展示物だけを浮かび上がらせる手法は法隆寺宝物館(設計:谷口吉生)の展示を思わせる
円形の台の足下にライン照明を仕込んでいるのかと思ったのだが、よくみると、上からの照明のこぼれた部分がリングに見えるようだ。ナイスアイデア! でも、これは照明の調整が大変だ…。この部屋でほとんど満足していたのだが、まだ先があった
4つ目の部屋ドーン! この部屋は複数のまとまりで見せる。これが135点のダイナミズムか…

円形の台に、ウェグナーの名言が書いてあって、ついつい読んでしまう
そう、座ってこそ椅子! 
ウェグナーの言葉を受けているかのように、最後の休憩コーナー?の椅子は実際に座ることができる
スリーレッグシェルチェア、初めて座ったけど、座りやすくてびっくり!
映像展示も。ウェグナーっていい人そうだなあ。ハンス J. ウェグナー (1914~2007) は革新的かつ多作な人で、「マスター・オブ・ザ・チェア」とも呼ばれる。生涯で約500点もの椅子をつくり出し、「Yチェア」をはじめ傑作とされものも多い
会場構成を担当した田根剛氏

 田根氏によると、「依頼があったのは1年ちょっと前。会場施工と展示で6日間。ついさっき作業が終わったところ」とのこと。「それにしては展示の完成度が高い」と褒めると、「準備の期間は短かったけれど、織田先生の頼みでは全力でやらざるを得ません」と笑っていた。

 筆者のように椅子にそれほど詳しくない人も、「会場構成だけでも楽しめる」(もちろん詳しい人は何倍も楽しめる)展覧会である。会期は2026年1月18日(日)まで。(宮沢洋)

■展覧会概要
織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ 
開催期間:2025/12/2(火)~2026/1/18(日)  休館日:12/9(火)、1/1(木・祝)
開場時間:10:00–19:00(最終入場は18:30まで)
※12月31日(水)のみ18:00まで(最終入場は17:30まで)
会場:
ヒカリエホール(渋谷ヒカリエ9F)東京都渋谷区渋谷2-21-1

主催:Bunkamura
協賛・協力等
[特別協力]
北海道東川町、織田コレクション協力会、旭川家具工業協同組合
[学術協力]
織田憲嗣(東海大学名誉教授)
[会場構成]
田根剛(ATTA)

[協力]
Hans J. Wegner design studio ApS、PP Møbler、Carl Hansen & Søn、カトーレック美術輸送支店
[後援]
デンマーク王国大使館、J-WAVE
入場料(消費税込): 早割券/鑑賞券
一般 2,100円/2,300円

大学・高校生 1,300円/1,500円
中学・小学生 500円/700円
公式サイト: https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/25_wegner/