日曜コラム洋々亭14:待望の「エコハウスのウソ2」発刊、大ヒットを後押ししたイラストラフを公開!

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 編集に協力した書籍、「エコハウスのウソ2」(前真之著)が今週末から書店に並ぶ(発行日は8月31日)。アマゾンでは8月27日から販売が始まっており、ランキングを見ると「建築」部門で3位、「住宅建築・家づくり」など3分野で1位となっている。書籍の総合ランキングでも280位で、これは専門書としては相当にすごい(いずれも8月27日時点)。

「コハウスのウソ2」。価格 2,530円(税込)/ISBN 978-4-296-10691-2/発行日 2020年8月31日/著者 前 真之/発行元 日経BP/ページ数 368ページ/判型 A5

 「反響を呼んだ前作から5年、待望の第2弾。最新の環境データからエコハウス実践術まで、変わる常識と変わらない真実を解き明かす」(アマゾンより)

 ちょっと自慢になるが、「反響を呼んだ前作」は、私が企画・編集した。著者は東京大学で住宅の環境性能を研究する前真之准教授。取材で知り合った前さんの話があまりにも面白いので、日経アーキテクチュアで連載してもらったところ高評価。「これは一般の人が読んでも面白い」と思い、加筆してもらって書籍化したのが「エコハウスのウソ」だ。

「エコハウスのウソ 増補改訂版」(2015年12月発行)

 初版は2012年6月発行。さらに大幅加筆した「増補改訂版」が2015年12月発行。初版も売れたが、この増補改訂版はすごい反響で、私がこれまでつくった書籍の中で最も売れた。

 増補改訂版から約5年。今回は、改定ではなく、より家づくりの現実に踏み込んだ“実践編”といってよい内容だ(前作との設問のだぶりはない)。

 今回も書籍化の道筋自体は、私が編集長時代に描いたものなので、その責任もあり、編集担当のTさんをフォローした。前さん、Tさん、関係者の皆さん、おつかれさまでした。この本も間違いなく売れるでしょう。

ヒットの理由の1つはふんわりイラスト

前作の帯のイラスト(ナカニシミエ画)

 これは著者の前さんも言っていることだが、前作がヒットした大きな要因の1つはナカニシミエさんのふんわりとしたイラストだ。文字とグラフばかりだと固くなる誌面が、彼女のイラストにより一気に柔らかくなる。

 これは私を褒めてもほしいところで(褒められて伸びるタイプなのですみません)、書籍化にあたり「柔らかいイラストが必要」と提案したのは私だ。自分でも描こうと思えば描けたのだが、「説明的にならない絵」がいいと考え、ふんわり画風のナカニシさんにお願いした。この絵が「BtoC」の架け橋なのだ。イラストの「ラフ」(ナカニシさんにイラストを描いてもらうための説明図)は、私が描いた。

新作の帯のイラスト(ナカニシミエ画)

 今回の私の「編集協力」の1つが、原稿を読んで、「ラフ」を描くこと。一連の書籍の作業が終わり、資料を整理しようと思ったところ、机の上のラフの山が、自分で見てもおかしかったので、見せたくなった(本当にすみません…)。著作権上、ナカニシさんのイラストをここにばんばん載せるわけにはいかないので、私のラフを通して、書籍の内容と最終のイラストを想像していただきたい。

渾身のラフ、ご覧ください!

2100年に気温が上昇していることを伝える天気予報の図。このラフ(宮沢洋画)の最終形(ナカニシミエ画)はこちらの記事で見られる
野菜の汚染には敏感だけれども、空気の汚染は気にしない親子の図
ガラスが同面積のポツ窓と大開口、どっちがエコ?の図。答えは本書で
窓で差が付く「新3びきの子ぶた」の図
エアコンは真の「省エネ界のスター」か?の図

本来の力を持て余しているハイパワー・エアコンの図
ゼロエネ住宅に対する世間のイメージの図
真のゼロエネ住宅にたどり着いた吉田兼好の図
上の吉田兼好のイラストの最終形(ナカニシミエ画)は書籍の帯にも使われている

 という感じで、宮崎駿が絵コンテを公開するのとはだいぶレベル差があるが、下書きなしで描いた線の勢い(普段の自分の絵にはない)がなかなか味わい深いと思い、捨てる前に公開させていただいた。

 書籍の詳細・および注文はこちらへ。いい本です!(宮沢洋)