最先端の映像展示が売りの「NAKED meets ガウディ展」開幕、建築関係者が学ぶべき体験型の見せ方はどれ?

Pocket

 1月10日から寺田倉庫G1ビル(東京都品川区東品川2-6-4)で『ガウディ没後100 年公式事業 NAKED meets ガウディ展』始まった。1月9日に行われた内覧会に行ってきた。世界への巡回を想定した展覧会のスタート展。会期は3月15日(日)までの約2カ月間。国内では4月17日(金)〜6月15日(月)にグラングリーン大阪内の「VS.」(昨年、安藤忠雄展が行われた会場)に巡回することが決まっている。

ガウディ財団のカルロス・カナルス・ルーラ会長(写真:宮沢洋、以下も)
ネイキッド(NAKED)の村松亮太郎代表(右)とガウディ財団のカルロス会長

 タイトルにある「NAKED」というのは、プロジェクションマッピングや体験型の映像制作を得意とするクリエイティブカンパニーである。

冒頭に展示されていたNAKEDの説明

 筆者は2023年夏に、1週間バルセロナに滞在し、バルセロナ周辺にあるガウディの建築を全部見た。当サイトにも書いたが、いくつか見ているうちに「ガウディ」と呼び捨てにするのが後ろめたくなり、心の中で「ガウディ先生」と呼ぶようになった。

リアル・ガウディの1つ、「サグラダ・ファミリア」。2023年7月撮影。中央奥に見える建設中の塔「イエスの塔」が2026年に完成する。
グエル公園から見たサグラダ・ファミリア。2023年7月撮影。2026年がアントニ・ガウディ(1852–1926)の没後100年に当たることから、それに合わせて「イエスの塔」の工事を急いだ。今回の展覧会もそれに合わせたもの

 この記事でも本当は「ガウディ先生」と書きたいところだが、変な人と思われそうなのでガウディと呼ぶ。(ガウディへの熱い思いは下記の記事を)

 帰国後、いくつかのメディアにガウディの記事を書くことになり、いろいろ調べた。だからガウディについては、けっこう詳しい。今回の内覧会も、「たぶん知らないことはないだろうな」と思いつつ行った。実際、過去の話に限定すれば、知らないことはなかった(今後のことでは一部初耳もあった)。

展示の序盤。映像が随所に取り入れられている

 それでも学ぶことはいろいろあった。見せ方だ。

 映像系で「なるほどなー」と思った展示には、こんなものがある。

有名な逆さづり実験(フニクラ模型)を映像と結びつけた展示
チェーンの両端がマグネットで、位置を自由に変えることができる。その形をAIで読み取って、壁に映し出される建築の形に反映させる、ということなのだが、どう反映されているのかはよくわからなかった
グエル公園のドラゴンをタブレットで塗り替えることができる展示
筆者が塗ってみたもの
リアル・ドラゴン。2023年7月撮影

 映像展示については、それぞれ「なるほどなー」とは思うものの、それ以上ではなかった。筆者が根っからリアル体験派だからかもしれない。

 そんななかで、「おおっ」とテンションが急に上がったのは、この展示だ。

これはもしや?
おお、ねじると一葉双曲面!
ということはこれは…
ねじると双曲放物面(HP)
波状のコノイドも自分で動かせる
ガウディはこの形を、サグラダ・ファミリアの脇にある付属仮設学校の壁や屋根に実際に使った。2023年7月撮影

 椅子に座れる展示にも、テンションが上がった。

カサ・バトリョのベンチ。思いのほか座りやすい

 「触れる」シリーズにもグッと来た。

 大仕掛けの映像展示をつくらなくても、触ったり、座ったりすることで、人はこんなにも能動的な気持ちになれるのか、というのが本展での一番の発見だった。

 東京近郊のガウディ好きは、おそらく2023年の東京国立近代美術館での「ガウディとサグラダ・ファミリア展」を見ているだろう。

右端はサグラダ・ファミリア聖堂彫刻家の外尾悦郎氏。その左は同聖堂主任建築家のジョルディ・ファウリ氏。その左は、日本のガウディ研究の第一人者でこの展覧会の学術監修を務めた鳥居徳敏神奈川大学名誉教授

 あの展覧会は初めて知ることが満載のすごい展示だった。はっきり言って内容的にはあっちの方がすごかった。が、一方で、展示内容が専門的すぎて「建築外の人にわかるのか」と思う部分も多々あった。そういう部分をすごく柔らかくしたのが今回の展覧会だといえる。おそらく本展の関係者も2023年に東京国立近代美術館の展示を見ているだろうから、反省点をブレークスルーのステップにしたと想像される。本展は子どもを一緒に連れて行ってもそれなりに楽しめるのではないかと思う。

 ただ、当たり前のことではあるが、展示を見てわかるガウディのすごさなんて、実物でわかることの1万分の1くらいだ。あなたもバルセロナで1週間ガウディを見て回れば、きっと「ガウディ先生」と呼ばずにはいられなくなる。ああ、次はどのタイミングで行こうかなあ…。(宮沢洋)

本展で一番びっくりしたのは、年表の最後の部分。えっ、全体完成が2030年代? そんなにすぐできちゃうの? この情報は初めて見た。でも、ガウディ財団お墨付きの展覧会だから正式目標なんだろうなあ
「そんなにすぐできちゃうの?」と思うのは、“4つ正面”の1つ、「栄光のファサード」がまだ手つかずだから。2023年7月撮影
本展の最後の方に展示されている模型。「栄光のファサード」がこんなにはっきりと表現されている模型は珍しい。上の写真と見比べるとわかるが、現状の道路境界では「栄光のファサード」はつくるスペースがない(道路を挟んで土産屋や飲食店がびっしり立っている)。この形につくるには隣接する住宅の取り壊しが必要となるため、地元住民が猛抗議している、とバルセロナでは報じられていた。なので、ここから先は長いと筆者は思う

■開催概要
ガウディ没後100年公式事業 NAKED meets ガウディ展
開催場所:寺田倉庫 G1ビル 2階(受付ロビー)5階(展示エリア)
東京都品川区東品川2-6-4
会期:2026年1月10日(土)~3月15日(日)

※会期中無休(雨天決行、荒天時は中止の可能性あり)
開催時間:平日10:00~18:00(17:00最終入場) 土日・祝日10:00~20:00(19:00最終入場)
入館料:【平日】大人¥2,700(税込) 【土日祝】大人¥2,900(税込)
公式サイトはこちら→https://meets.naked.works/gaudi/