約2年にわたる耐震改修を終えた岡山県庁舎(設計:前川國男、1957年竣工)を見学する一般向けのツアーが5月から始まった。

岡山県は今後50年の使用を想定し、2020年から耐震改修工事に着手。今年3月に工事が完了したのを機に、庁舎の価値を知ってもらうツアーを企画した。所要時間はツアー前のガイダンスを含めて約2時間。各回の定員は10名程度(予約制で先着順)。参加費は無料。毎月2回実施する予定だ。第7回(8月24日)、第8回(8月26日)まで、すでに定員に達している(9月以降の申込みにまだ発表されていない)。
好スタートを切ったと言ってよいであろうこのツアー。具体的にどんな内容なのか。他の予定があったため(福武トレスや隈研吾巡り)、「1時間の短縮版で」と無理なお願いをして、早回しのように同じコースを案内してもらった。なお、筆者は「建築巡礼」の連載で2018年にこの庁舎を取材しており、基本的な部分はわかっているということで、短くしてもらった。

その前に、耐震改修の内容について。以下は「山陽新聞デジタル」2024年3月13日付けの記事より(太字部)。
岡山県は(2024年3月)13日、戦後を代表する建築家・故前川国男(1905~86年)が設計した県庁舎(57年築、岡山市北区内山下)の大規模改修が(3月)21日に完了する見通しと明らかにした。震度6強の耐震性能をはじめとした防災力の強化とともに前川建築の魅力発信に向け、総事業費157億円を投じたビッグプロジェクトが完成する。
大規模改修は今後50年の使用を想定し、2017年度から7カ年の重点事業として実施した。南海トラフ巨大地震に耐えられるよう金属製の筋交いやパネルによる補強を100カ所以上に施し、72時間にわたって電力供給を維持できる非常用発電施設を新設した。
補足すると、耐震改修の設計は、あい設計・丸川設計共同企業体だ。そして、今回の改修を経て7月19日、国の登録有形文化財となることが内定した(対象は本庁舎本館、議会棟旧館、西庁舎)。

いざ、庁舎ツアーへ!
ここからは写真中心で。見学のスタートは地下1階のここ。
























ふう、やはり1時間では短かった…。
今後のツアーの予定や申し込みは、岡山県庁の建築指導課のページから。当面、岡山に行く予定がないという人は、ツアーでもらえる「岡山県庁舎建築のしおり」がWEBでダウンロードできるので参考まで(こちら)。1階の「前川建築・県庁舎ギャラリー」は申し込み不要でいつでも見られるので、岡山に行く人はぜひのぞいてみてほしい。(宮沢洋)
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【関連情報】9月16日(月・祝) に「埼玉会館」(さいたま市、設計:前川國男)の大ホールで「前川國男 建築セミナー第11回『わたしたちと生きる建築』」が開催され、そこで片山氏が岡山県庁舎の話をするとのこと。

◆日時:令和6年9月16日(月祝) 開講13:30~16:00 (開場13:00)
◆会場:埼玉会館 大ホール
◆内容:「わたしたちと生きる建築」
・第1部「モダニズム建築への共感と想像力の回復」
渡邉研司(東海大学建築都市学部 教授)
・第2部「未来に活きる前川建築」
片山大輔(岡山県土木部都市局建築営繕課 主幹)
・第3部 トーク・わたしたちと生きる建築
橋本功(株式会社前川建築設計事務所)、渡邉研司、片山大輔
◆入場方法:定員300名、入場無料(要事前申込)
詳細はこちら(申し込みは8月1日から)→https://www.saf.or.jp/saitama/information/detail/100931/