勢い増すイケフェス「セッケイ・ロード」12社を1日で回った!今年の三賞はこの事務所 

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 「イケフェス大阪(生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪)2024」の初日(10月26日)に参加してきた。メインの目的は、私(宮沢)が命名者である「セッケイ・ロード」。6回目となる2024年は、過去最大の12社が参加。私が毎年ボランティアでイラストを描いているスタンプラリーは、12社集めると1枚の絵になる新趣向。各事務所へのご挨拶を兼ねて12社を1日で回ってみた(1時間あたり2社)。ネタバレになるが、証拠がこれだ。

この記事は、大阪から東京に戻る新幹線の中で書いています(写真:宮沢洋)

 なぜ宮沢が「セッケイ・ロード」の命名者なのかは、長くなるので下記の記事(2021年)をご覧いただきたい。

MBS人気アナの仕切りに感動、今週末開催「セッケイ・ロード」トークバラエティをお見逃しなく!

今年のガイドブックは黄色

 今年参加してくれた12社を、私が回った順に紹介する。単なる紹介記事は面白くないので、名付け親として、3つの賞を出すことにした。相撲にならい、「殊勲賞」「敢闘賞」「技能賞」だ。

昭和設計本社

 では、中津にある昭和設計から。実は、同社のセッケイ・ロード展示を見るのは初めて。セッケイ・ロードのメインエリアから少し離れているので、毎年時間切れで行けなかった。なので、今年は1番最初に回ることにした。

 今まで来れなかった後ろめたさからではないが、いきなりここが「技能賞」!

 セッケイ・ロードには各社共通のテーマ展示と独自展示があって、ここは独自展示のテーマが本当に独自だった。「昭和設計の水工部門の仕事って?」という、水処理施設に強い昭和設計ならではの展示。

こういう教材っぽいの好き!

 共通テーマ(今年は「本当は教えたくないけれど教えます‥大阪の推し空間」)にも誠実に取り組んでいた。昭和設計の社風を見るよう。

昭和設計の千種幹雄会長(左)と皆さん

三菱地所設計

 続いて今回初参加の三菱地所設計へ。同社の大阪オフィスは天満橋のOAPタワーにあるが、スタンプラリーエリアから少し外れるということで、完成したばかりの「大阪堂島浜タワー」(設計は三菱地所設計・竹中工務店JV)のエントランスホールで展示を行った。

展示の中心は木質3Dプリント

浦辺設計 ※10/26(土)のみ

 浦辺設計は、惜しまれつつ閉館する「千里阪急ホテル」の展示が中心。

浦辺鎮太郎の椅子に座れる!

日本設計 関西支社

 日本設計は、元祖・セッケイ・ロード(高麗橋通り)にある。短時間で超高層ビルを建てた気分になれるワークショップが面白い。

インスタへの投稿を促す。なるほど
プロジェクトはピロティでゆったりと紹介

東畑建築事務所 本部・本社オフィス大阪

 ここも元祖セッケイ・ロード沿い。何かと話題の大阪・関西万博の大屋根リングがしっかり展示されている! 藤本壮介氏の名前が表に出ることが多いが、基本設計は藤本氏と東畑建築事務所・梓設計JVが担当している。スタッフに聞けば丁寧に説明してくれるので、気になっている人はぜひ。

万博では大阪府・市などが出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」の設計も担当

ティースクエアデザインアソシエイツ

 ここは今回が初参加。初参加に甘いと言われそうだが、ここが「殊勲賞」。ほぼ平常時の事務所内を、床に貼った矢印で順路形式にして巡らせるという手法が斬新! 展示模型に二次元バーコードを貼って説明ページに飛ばすというのも省スペースで現実的。今後参加を考えているアトリエ系事務所の方は参考に。

棚の生々しさがいい!

「住宅が中心の設計事務所がどういうものか興味を持ってもらえれば」と主宰者の津田茂氏(左)

ジオ-グラフィック・デザイン・ラボ

 ティースクエアデザインアソシエイツから3フロア降りるとここ。

このビルの10階にティースクエアデザインアソシエイツ、7階にジオ-グラフィック・デザイン・ラボがあるので回りやすい

 模型でも絵になる箕面船場阪大駅前駅のプロジェクトについては、以前に書いたこちらの記事で。

安井建築設計事務所 本社・大阪事務所

 元祖セッケイ・ロードに戻り、安定の安井建築設計事務所へ。

 今年100周年となる同社のさまざまな取り組みは、以前に書いたこちらの記事で。

光井純&アソシエーツ 建築設計事務所 関西オフィス

 ここを訪ねるのは今年で3回目だと思うが、今年はボスの光井純さんがいた! 麻布台ヒルズとか、万博のベルギー館とかすごいプロジェクトが展示されていたのだが、撮影NGとのことなので光井さんの記念写真で。

光井さんが手に持っているのは2年前に私が似顔絵を描いた缶バッジ
オリジナルクイズ(景品あり)も実施

石本建築事務所 大阪オフィス ※10/26(土)のみ

 石本事務所は代表作の船場センタービルの目の前にある。普段の執務スペースをほぼ全て使った力の入った展示。1日のためにここまで!(同社は初日のみの公開)。「敢闘賞」をあげたかったが、さらに上がいたので「もう一歩で賞」。

久米設計 大阪支社

 久米設計は、私が前回の「みんなの建築大賞」で推していた福岡の大名小学校跡地の再開発「福岡大名ガーデンシティ」を展示していた。残念ながら撮影NGだったので、入り口まで。

日建設計 大阪オフィス

 日建設計はそもそも設計事務所としては「横綱」なのだが、このセッケイ・ロードでは毎年、平幕力士のように闘志むき出しで挑んでくる。今年も総エネルギー値では間違いなくダントツ。これは1人1000円くらい取れる展示内容。敬意を込めての「敢闘賞」!

 目玉の実プロジェクト紹介エリアは撮影NGだったので、提案展示のコーナーで。ゴムの可能性を探る自主開発プロジェクト「ぽよ」。今後どう建築につながる? 

開発の中心になっている日建設計の浅田翔大氏。日建設計の懐の深さを感じさせる
ここまででも面白いのだが、本当に驚くのは右手のガラスの奥のエリア。27日(日)、行ける人は行った方がいいですよ!!

 そして、ここでスタンプラリー12社もコンプリート。自分にも敢闘賞!

私以外に12社コンプリートした人っているのでしょうか?
参加賞のクリアファイルは4社回るともらえるので、そこまで頑張る必要はありません

 なお、セッケイ・ロードは10月27日(土)にも行われるが、浦辺設計と石本建築事務所は26日(土)のみの公開なので、ご注意を。1日あればセッケイ・ロード10社と公開建築4〜5個くらい見られると思う。イケフェスは、他の建築公開イベントよりも数が回れて面白い(密集度が高い)なあ、と改めて思った。(宮沢洋)