藤本壮介氏や田中仁氏の本気トークで「東京建築祭」キックオフ! キーワードは「サムシング・ニュー」──東京建築祭2024ルポ01

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 5月20日18時~20時、第1回「東京建築祭」のキックオフイベントが参加建築の1つである三越劇場(日本橋)で行われた(つい先ほど終了)。

実行委員長の倉方俊輔氏(中央)の笑顔があまりにうれしそうなので、この写真から。左は建築家の藤本壮介氏、右は実業家の田中仁氏(写真:特記以外は宮沢洋)

 会場にはざっと見たところ200人ほど。クラウドファンディングへの協力者、ボランティアスタッフ、公開建築の関係者、スポンサー企業の方々だ。筆者(宮沢)は東京建築祭の実行委員の一人だが、この会の構成には関わっていない。この規模のイベントのキックオフだと、普通は大半が、“肩書優先の登壇者”による“気持ちのこもっていない挨拶”になるもの。だが、この会は最初から最後まで、各人の建築愛がダダ漏れ。とても気持ちの上がる、「東京建築祭」ならではのイベントだった。

 その雰囲気を写真で見て行こう。

会は事務局長の大久保佳代氏(左)と三越劇場副支配人の齊木由多加氏の掛け合いでスタート
壇上から下りて、劇場の装飾の説明をする齊木氏。三越にこんな建築愛の深い人がいたのか! と会場の皆が思ったはず
続いて、我らが倉方実行委員長による全体説明。いつものようによどみない語りだったが、正直、この日は他の登壇者の存在感が強く、主役を譲る格好に
「ミャクミャク」のマスコットを持って登壇した藤本壮介氏。おっ、今日は大阪・関西万博の話もするのかな
北海道から東京に来たとき、人工と自然が重なって感じたという話からスタート
自然と建築をどう融合させるかという話を、フランス・モンペリエの集合住宅「L’Arbre blanc(白い木)」やハンガリー・ブダペストの「音楽の家」、福岡の「太宰天満宮仮殿」などを例に説明
「お騒がせしておりますが…」という前振りで、大阪・関西万博の大屋根リングのコンセプトや現況についても
大屋根リングの現況写真(工事の進捗は8割とのこと)を見せながら、「今まで自分が見た建築の中で最も感動したものの1つ」と語った。藤本氏らしい建築愛!
続いて、建築界隈では「JINS代表」としてよりも「超建築ツウの経営者」として有名になりつつある田中仁氏が登壇
田中氏は「白井屋ホテル」(設計:藤本壮介)を皮切りに広がった前橋市のまちづくりについて説明。投影画面上の「めぶく」は、田中氏の働きかけで生まれた前橋市のビジョン
白井屋は当初、ホテルの運営会社に再生を相談するも、軒並み断られたエピソードを披露。そうだったのか
クロストークは15分ほどだったが、これも面白かった。田中氏は実績にとらわれずに建築家を起用する理由を「サムシング・ニュー(何か新しいこと)への期待」と応えた。おお、それって「東京建築祭」の出発点である「東京から、これまでにない、建築の祭りを」にもつながる
倉方委員長が「東京建築祭に期待すること」を問うと、藤本氏は「施主にスポットを当てて、次の時代につなぐこと」と答えた。確かに
同じ問いに田中氏は「子どもたちに本物を体験させたい。今後の教育にもつながるものに」と答えた。これも確かに
会場まで含めた記念写真って珍しい。まさにみんなでつくる祭!
ちなみに会場にいる皆さんが持っているトートバックはこれ。クラウドファンディングの返礼品で、イラストの原画は藤本壮介氏による(写真:東京建築祭実行委員会)

 東京建築祭のメイン期間は今週末の5月25日(土)、26日(日)。ガイドツアーは大人気ですべて埋まっているが、予約不要で見られる特別公開もある(こちら)。どんな「サムシング・ニュー」が始まるのか、自分の目で確かめていただきたい。(宮沢洋)

 

藤本さん、田中さん、ご多忙の中、ありがとうございました!