山本理顕氏が「建築界のノーベル賞」とも呼ばれるプリツカー賞を受賞したニュースが世の中を駆け巡っている。「建築の面白さを一般に伝える」というテーマで活動している自分(宮沢)としては、山本氏の受賞もうれしいが、こんなに建築の話題を一般メディアが取り上げることに涙が出そうになる。(昨晩のTBS「ニュース23」では23時半ごろから5分間くらい山本氏の話題だった)
何度見ても(あるいは読んでも)うれしいニュースなのだが、山本氏の業績が「コミュニティ」とか「交流」とか「家族」とか、プログラム面ばかりで語られるのがちょっと気になった。山本氏の著作にもそういうタイトルが多いので間違ってはいない。でも、山本氏の建築をけっこう見てきた筆者(宮沢)としては、「もっとデザインのことを語れよ」と言いたくなるのである。
とはいえ、正面から山本氏のデザインを論じるには1年くらいの準備期間が必要なので、ここでは筆者が特に強く感じるデザイン的特質について触れたい。あまり実物を見たことがないだろう建築を2つ選んだ。いずれも実物を見ると、目が点になる。
1つはこれ↑。「公立はこだて未来大学」(2001年)。函館市のはずれの方にあるので、観光で函館に行ってもなかなか行きづらい。
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