週刊折り紙建築クイズ09:分離派建築会のメンバーだった建築家が設計したこの病院は?

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ヒント:残念ながら現存していません。大きく緩やかにカーブする外壁は「ストリームライン」と呼ばれるものでした。

(制作・撮影:五十嵐暁浩、以下も)

答え
建築名称:
熊本逓信病院(西棟)
所在地:熊本県熊本市中央区新屋敷(現存せず)
竣工年:1958年(昭和33年)
設計者:山田守(山田守建築事務所)
規模など:鉄筋コンクリート造、地下1階・地上4階建て

熊本逓信病院(現存せず)(写真提供:DOCOMOMO Japan 大宮司勝弘)
熊本逓信病院(現存せず)(写真提供:DOCOMOMO Japan 大宮司勝弘)

建築ポイント:山田守により設計され、ドコモモ100選に選定されるなど評価の高かった建築です。しかし、半世紀以上を経て現代の病院機能を維持することができず、残念ながら2017年に解体されました。山田守の設計する建築の特徴である「丸面角」「螺旋スロープ」「ストリームライン」「回転体」などの要素がフルラインナップされていました。

折り紙建築の制作ポイント:キャノピーの独立柱は「回転体」として山田守の設計の特徴を表す重要な造形です。「ストリームライン」の表現方法は、同じ設計者の「東海大学湘南キャンパス1号館」(1963年竣工)をつくったときに思いつきました。(五十嵐暁浩)

※編集部注:この作品は五十嵐氏が考案した「3つ折りタイプ」という手法でできている。紙は1枚だが、台紙を折る箇所が1箇所ではなく、複数箇所になる。3つ折りタイプの「東海大学湘南キャンパス1号館」の制作イメージ(動画)を参考まで↓。

実際に制作した東海大学湘南キャンパス1号館

「週刊折り紙建築クイズ」では、国内の近現代建築の名作を竣工年順に紹介していきます。掲載は毎週水曜の予定。折り紙建築の制作、写真撮影、解説文のいずれも五十嵐暁浩さんです。お楽しみに!

五十嵐暁浩。1962年新潟県生まれ。一級建築士。木原隆明氏に師事し、折り紙建築の創作活動を行っている。著書に『3Dグリーティングカード (レディブティックシリーズno.4670)』(2018年、ブティック社)。五十嵐氏のインタビュー記事はこちら(イラスト:宮沢洋)

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