コロナ禍の今こそ「ワクワク」を語れ!シティラボ東京のオンライン連続対談がスタート

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 知人から「東京の未来を考えるオンラインイベントを取材しませんか」と声を掛けられ、どうしようかなあ…と迷った末に、見てみることにした。9月24日(木)20時~21時30分に開催されたオンラインイベント、「東京のワクワクする未来を考える 建築家 重松健×ライゾマティクス 齋藤精一 produced by シティラボ東京」である。

イベント冒頭の画面キャプチャー(以下の画像も画面キャプチャー)

 見ようかどうか迷った理由は、「東京の未来」→「コロナによる変革予測」→「待ってましたの現状批判」という(私にとっては)食傷気味なトーク内容が想像されたこと。私は前職がジャーナリストで、今もそれっぽい仕事であるわけなのだが、昔から「現状批判」が好きではない。正確に言うと、「批判」だけするのが好きではない。批判はもちろん重要だが、それは「提案」を伴って初めて意味を持つものだと思う。「コロナで社会が変わる」ことは確かだと思うが、この手のトークは往々にして、自己都合で現状批判を展開し自分の論を有利にしようと誘導している感じがしてしまうのだ。見ていると、「本当に?」「根拠は?」と突っ込みたくなってしまう。

 迷った末に見ようと思ったのは、タイトルが単に「東京の未来を考える」ではなく、「東京のワクワクする未来を考える」であったこと。もう1つは、個人的にファンであるライゾマティクス・齋藤精一代表がパネラー2人のうちの1人だったことだ。本来、900円を払って見るものなのに、そんな逡巡をしていて申し訳ございません。

ライゾマティクス・齋藤精一代表


 主催者の「シティラボ東京」は、持続可能な都市・社会づくりを行うための「Open Innovation Platform」。東京建物が後押ししている。ウェブサイトを見ると、「多様な主体の協働を通じた都市課題解決のプラットフォームとして、新たな知見やコミュニティの提供とプロジェクト創出の支援を行います」との説明だ。

 今回のトークイベントは、シティラボ東京が9月から来年2月にかけて全9回開催する予定の「東京のワクワクする未来を考える」の初回。NY在住の建築家・重松健氏とライゾマティクス・齋藤精一氏の各プレゼンの後、討論という形で進められた。

今こそ「チャンス!」

 見た結果。「見てよかった!」

 失礼ながらナビゲーターである重松健氏のことを私は知らなかったのだが、なかなかのナイスガイ。EXILEにいそう。

 おっと、そこではない。重松氏の提案はとにかくスケールが大きい。首都高速を別用途に活用するとか、都内の川を水運やクルーズ船以外でも使えるようにするとか、1960年代の建築家の都市提案を聞いているよう。

 そして、ライゾマティクス・齋藤氏の提案は、最初から最後まで本にできそうな具体性と分かりやすさ。2018年に新宿御苑で行った『GYOEN NIGHT ART WALK 新宿御苑 夜歩(よあるき)』の舞台裏などを例に引きながら、東京の可能性について語った。

「未来よりも現実的な条件ばかりが重視されている」という齋藤氏の問題意識の説明。分かりやすい…。こういうサラッとしたプレゼンがさすがだ

 全体を通して印象的だったのは、2人の口から何度も「チャンス」「今こそ」という言葉が出たこと。

 「様々なものが領域を越えてつながり始めた。今がチャンス」(齋藤氏)
 「今は行政も提案を待っている」(齋藤氏)
 「世界が同時に『今こそ変わらなきゃ』と考えている」(重松氏)
 「ワクワクする場所をつくるなら今」(齋藤氏)

 コロナ禍の現状を「社会システムの限界」と「批判」するか、「新たなシステム構築」の「チャンス」と捉えるか。その違いにより、聞き手の耳に届く言葉はまるで違うんだなあ…。仕事後の時間帯ということもあってかなり疲れていたが、元気が出た。考えてみると、NYと東京でこんなに手軽に対談を行い有料配信できるようになったのも、コロナの恩恵だ。
 
 このトーンで、第2回以降も元気が出るトークを続けてほしい。そしてぜひ、この中から具体的な何かを生み出してほしい。

 次回は饗庭伸氏×藤村龍至氏で、10月12日(月)20時開催。詳細はシティラボ東京の公式サイトで確認を。(宮沢洋)

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