大阪がうらやましくなる「MBS建築カレンダー」と「イラスト大阪建築史」

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 10月30日(土)と31日(日)に開催された「イケフェス大阪(生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪)」。前の記事で煽っておいて何だが、実は、オンラインで配信されたプログラムの多くは、会期終了後も見られる。私(宮沢)が協力した「セッケイ・ロード」トーク企画も11月いっぱいは見られるそうなので、お時間のあるときに下記をクリックしてみてほしい。

セッケイ・ロード2021 トーク企画 事務所あるあるサイコロトーク+ちょっと真面目な話もしよう!

 今回はその話ではなく、イベントからのスピンオフ商品を2つ紹介したい。「MBSアナウンサーカレンダー2022 大阪 旅する建築」(下の写真右)と「生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪 公式ガイドブック」 (下の写真左) についてだ。

驚きの建築濃度、「MBSカレンダー」

 前者は、「セッケイ・ロード」の司会をしてくれた松井愛アナと上泉雄一アナが所属する毎日放送(MBS)が制作した2022年版カレンダー。収録の中でも話していたので、つくったことは知っていたのだが、実物を手にしてその建築濃度の濃さにびっくり。例えばこんな↓だ。

1月の大阪府庁本館(画像提供:MBS)

 MBSのアナウンサー39人が13の建物で撮影したのだという。撮影地は、「こども本の森 中之島」「大阪府庁本館」「大阪弁護士会館」「King of Kings」「新井ビル」「スリープカプセル」「伏見町」「旧宗田家住宅」「船場ビルディング」「オーガニックビル」「芝川ビル」「青山ビル」「北浜長屋」「フジカワビル」。この並びを見るだけで、「分かってる!」と言いたくなる。そして、アナウンサーたちの表情から、シブシブではなく撮影を楽しんでいることが伝わってくる。

最後のページは撮影地マップ。左上はおまけのシール
中には「これどこ?」という建物もあるが…(画像提供:MBS)
下段にちゃんと説明がある (画像提供:MBS)

 背景の写真でどこだか分からない建物も、ちゃんと下段に全景写真と説明がある。解説はイケフェス大阪実行委員会事務局長で近畿大学建築学部准教授の髙岡伸一氏。解説も建築愛にあふれている。

 税込み1650円。ちょうど「来年のカレンダーどうしよう」と思っている頃だと思うので、気になる方は下記へ。

MBSショッピング「MBSアナウンサーカレンダー2022」

 MBS本社1階らいよんデイリーストア、ジュンク堂書店関西各店舗、紀伊国屋書店梅田本店、Amazonでも購入可。

イベントがなくても見たくなるガイドブックとは?

 後者の「生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪 公式ガイドブック」は、私が「キーマンでたどる大阪建築とセッケイ・ロード」というタイトルの6ページの記事を起稿している。

 イケフェスといえば、A5サイズの公式ガイドブックを見ながら街を歩くのが、秋の風物詩だった。しかし、昨年はコロナでオンライン開催となったため、ガイドブックは発刊されなかった。2021年も準備段階で「リアルイベントは無理かも」という気配だったが、「2年連続でガイドブックなしではイケフェスの伝統がすたれる」と考えた(建築愛あふれる)イケフェス事務局は、「リアルイベントがなくても読みたくなるガイドブック」をつくることを決めた。

 そんなことで、ありがたくも私に「セッケイ・ロードにからめてイラストのページをつくってほしい」とリクエストがあった。

 で、私が提案したのが「キーマンでたどる大阪建築とセッケイ・ロード」。セッケイ・ロードに参加する12社のキーマン(歴史上の人物や現役トップ)が大阪で実現した名建築を、竣工年順にイラストで解説したものだ。こんな↓感じ。大阪限定の建築史ってあまり見ないので、けっこう面白いのでは。

6ページの記事のうちの真ん中の見開き(イラスト+文:宮沢洋)

 私のイラストがどれだけ貢献したかは分からないが、このガイドブックはとても好評で、すでに「在庫僅少」らしい。amazonを見てみたら、まだ買えるようなので、リンクを張っておく。税込み880円だ。「リアルイベントがなくても読みたくなるガイドブック」とは、どんなものなのか見る価値大だろう。

amazon「OPEN HOUSE OSAKA 2021 生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪2021 公式ガイドブック」

正直、大阪うらやましい!

 ところで、この2つのいずれに対しても、東京人である私は「大阪うらやましい!」という想いを禁じ得ない。

 私が描いた「キーマンでたどる大阪建築」について言えば、これがもし「キーマンでたどる東京建築」であったら、「東京≒全国」になってしまい、愛を注いだ感じの読み物にはなりにくい。

 「MBSアナウンサーカレンダー2022 大阪 旅する建築」の方も、これがもし、「フジテレビアナウンサーカレンダー2022 お台場 旅する建築」だったら、普通にトレンド巡りになってしまう。

 「大阪に負けず、イケフェス東京もやろう!」と言うのは簡単だが、東京の建築はなかなかに愛の伝え方が難しい。でも、「それでもやろう」という人には協力を惜しみませんので、お声がけを!(宮沢洋)

この表紙を見ていると、「大阪・建築家カレンダー」もつくったらどうかと思う(画像提供:MBS)