東急と東急レクリエーションが新宿歌舞伎町で開発を進めていた「東急歌舞伎町タワー」が4月14日(金)に開業する。4月6日に行われた(正確には本日夕方まで行われている)報道内覧会に行ってきた。この話題は、あらゆるメディアが報じると思うので、小メディアの強みを生かし「速さ」と「切り口」で勝負したい。
筆者がずっと気になっていたのは、日本の超高層ビルでは見たことのない、ほわっとしたガラスの外装。これが近くで見るとどうなっているのか、ということだ。モアレみたいに見える↓が、ピントが合っていないわけではない。
東急歌舞伎町タワーは、ホテルおよび映画館・劇場・ライブホールなどのエンターテインメント施設などからなる、地上48階・地下5階・塔屋1階、高さ約225mの超高層複合施設だ。まずは、概要データから。
■施設名称:東急歌舞伎町タワー
■所在:東京都新宿区歌舞伎町一丁目29 番1号
■用途:ホテル、劇場、映画館、店舗、駐車場など
■敷地面積:4,603.74 ㎡
■建築面積:3,171.05 ㎡
■延床面積:約87,400 ㎡
■階数:地上48 階、地下5階、塔屋1階
■高さ:約225 m
■設計者:久米設計・東急設計コンサルタント設計共同企業体
■外装デザイン:永山祐子建築設計
■企画・プロデュース:株式会社POD
外装デザインは、建築家の永山祐子氏が担当した。この外装は、遠くから見た方がくっきり見えるので、報道用の遠景写真を1枚。
以下は、報道陣に公開されたファクトブック内の建築デザインに関する説明。
【デザイン方針 】
・歌舞伎町の根底に流れる水のエネルギー・勢いが、噴水のように天に伸びる姿
・水の持つ純粋さ、常に変化する柔軟さ、すべての生命を育む包容力
・透明な水、白い水飛沫が多層に重なりあう優雅な姿
◆水の勢いが噴水のように天に伸びるイメージ
◆低層~上層部までフレーム形状のモチーフを連続
◆フレーム形状による「構え」を形成し、その内側へ広告や店舗等を配置し、
外へ賑わいを滲みださせることで、宿場町の街並みを表現
◆新宿TOKYU MILANO の建物高さ、
色彩イメージを歴史・記憶の要素として継承
なるほど、水が噴き出すイメージだったのか。そう言われると確かに。
近くで見上げても、模様の詳細は分からない。中に入ろう。まずは、20~38階の「エンターテインメント施設・まちと繋がるホテル HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel」へ。面積21~ 61m2の手ごろな客室が計538室ある。そのいくつかを見てみると…。
白い山並み? 水紋?
おお、ガラスはこうなっていたのか!
白い部分は、ガラスに施されたセラミックプリントの文様だ。この文様はどの部屋からも見える。外から見ると水だけれど、室内から見ると山並みのよう。あるいは水紋かも。いずれにしても外観がインテリアに反映されているのが建築家らしいアイデアだ。
このビルにはもう1つホテルがある。39~44階の「天空のラグジュアリーホテル BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」。客室数97室。こちらは、内覧した部屋からは、ガラスの文様は見えなかった。
セラミックプリントはガラスの外側
共用部では大きな〇の文様も↓。
レストランのある17階には屋外テラスがあり、外装の内側が見える。
新宿駅側のエスカレーターからは、ガラスの文様ごしに、ガラス外面の文様が見える。
写真では伝わらないと思うが、このセラミックプリントはガラスの外側から施されている。これは先日、永山祐子氏に会ったときに聞いた。ゆえに、遠くから見たときに、文様がくっきり見える。
低層部の外装は、プリントではなく、立体の水紋だ。
他にも見どころはいろいろなので、下の図を見て気になったエリアは、他のメディアを見るか、実物を見に行っていただきたい。
ところで、内覧会の前に行われた東急執行役員・TSTエンタテイメント代表の木村知郎氏による会見では、話の序盤で、永山祐子氏についての説明があって「おおっ」と思った。
こういう大規模施設のお披露目で、設計者について触れられるのは珍しい。そのことは褒めたい。ただ、建築本体を設計した久米設計・東急設計コンサルタント設計共同企業体については全く触れられなかったのが残念。私からの慰労代わりに、見せ場の1つである劇場の写真を最後にご覧いただきたい。(宮沢洋)