勝手に選ぶ2025年建築展ベスト10、ベテラン勢が健在ぶりをアピールした“空前の建築展ラッシュ”の1年

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 2025年は“空前の建築展ラッシュ”の年だった。筆者(宮沢)の心に残った展示のベスト10を挙げてみたい。(まだ見られるものには★印をつけた)

◆1位
2025年3月20日~7月21日「安藤忠雄展|青春」@VS.(グラングリーン大阪)

「安藤忠雄展|青春」での「水の教会」の再現展示(写真:特記以外は宮沢洋)
同じく大空間を使った映像展示

 安藤忠雄氏にとって展覧会(あるいは展示構成)とは、単に知識を得る目的ではなく「空間を体験する場」なのだということが改めてわかる展示だった。来場人数は発表されていないが、終盤は連日大行列だったそう。

◆2位
2025年7月19日~11月3日「山本理顕展 コミュニティーと建築」@横須賀美術館

 こんなに展示のロジックがすべてに徹底されている展覧会を見たことがない。マクロとミクロが共存する、山本理顕氏の建築そのものともいえる展覧会だった。

◆3位
2025年3月8日~5月25日「日本の万国博覧会 1970-2005」第1部「EXPO’70 技術・デザイン・芸術の融合」@文化庁国立近現代建築資料館
2025年6月14日~8月31日「日本の万国博覧会 1970-2005」第2部「EXPO’75以降 ひと・自然・環境へ」@文化庁国立近現代建築資料館

これは第2部の会場風景

 大阪・関西万博と会期がばっちり合っていたのが素晴らしい。今からでも、1部2部を合わせた内容でどこかの美術館に巡回したら、きっと何万人も人が来ると思う。無料でもらえる図録↓はお宝。

◆4位
2025年10⽉4⽇~11月30日 ひろしま国際建築祭2025「移動型キオスクー小さな建築プロジェクト」@、広島県福⼭市および尾道市
01「つぼや」堀部安嗣 x ウッドワン
02「風景が通り抜けるキオスク」中山英之 x モルテン
03「雲がおりる」石上純也 x 常石造船 x ツネイシカムテックス

堀部安嗣氏による「つぼや」
設置された直後の石上純也氏「雲がおりる」(写真:磯達雄)

 さまざまな催しが行われた「ひろしま国際建築祭2025」の中でも、特に印象に残ったのが「移動型キオスク」のプロジェクト。著名建築家が小さな建築を実際につくる、というのはこれまでなかった趣向。これが継続すれば、ロンドンのサーペンタインギャラリー・パビリオンのように世界に発信できるものになるかも。

◆5位
2025年7月2日~11月9日「藤本壮介の建築:原初・未来・森」@森美術館

 最初の部屋の“模型の数”がとにかくすごかった。後半にもう1つ山がほしかった気も。

◆6位
2025年7月1日~9月30日「建築家・内藤廣~なんでも手帳と思考のスケッチ in 紀尾井清堂」@紀尾井清堂

 メモ帳の複製をつくって見せる、という「そう来たか」の展示。これが無料って、それは混むわけだ…。

◆7位
★2025年12月2日~2026年1月18日「織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ」@ヒカリエホール(渋谷ヒカリエ9階)

 安藤忠雄氏と同様、「展示とは空間体験なのだ」という展示。これはまだ見られるので、渋谷へ急げ!

◆8位
2025年10月6日~11月17日 東京造形大学創立60周年記念企画「生きるキャンパス展〜ZOKEI 学びの環境とその広がり〜」@東京造形大学附属美術館

 つくり手の建築愛が溢れまくりの展示だった。

◆9位
★2025年11月1日~2026年1月25日「磯崎新:群島としての建築」@水戸芸術館

 網羅性がすごい。展覧会名は難しそうだが、初心者にもわかる展示。まだ見られるので、水戸へ急げ!

◆10位
★2025年7月6日~2026年1月18日「谷口吉生の建築―静けさと豊かさの創造―」

 谷口吉生氏が生前に企画した最後の展示。それだけでも価値あり。まだ見られるので金沢に急げ!

 ところで、2025年は筆者(宮沢)が協力した展覧会が2つあったので、それもご参考まで。

2025年4月12日~7月6日「猪熊弦一郎博覧会 EXPO INOKUMA」@丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)

会場でもらえるハンドアウトのイラストを宮沢が描いた

2025年10月4日~11月30日 ひろしま国際建築祭2025「後山山荘(旧・藹然荘)の 100 年とその次へ|福山が生んだ建築家・藤井厚二」@ふくやま美術館

展示パネルのイラストを宮沢が描いた

 2025年はこのほかに大阪・関西万博があったわけで、建築界にとって改めてすごい1年だった。今のところ2026年の建築展情報はちらほら程度。今年、建築展を計画している方はぜひお声がけください!(宮沢洋)