速報!群馬県沼田市で「NUMATA KUME DAY」開催、会場の一角でプチ宮沢画文展

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 群馬県沼田市で4月17日(日)午後、旧久米邸洋館キックオフイベント「NUMATA KUME DAY」が開催された。そのイベント会場の一画に、画文家・宮沢洋(私)の作品パネルが展示された。自分について紹介するパネルって、初めて見た。かなり気恥ずかしい。でも、ちょっとうれしい。

(写真:宮沢洋、以下も)

 「NUMATA KUME DAY」とは何か。以下、沼田市のウェブサイトから引用する。

 令和2年(昨年)、沼田市名誉市民である久米民之助氏が建てた洋館を沼田市内へ移築することになりました。久米民之助氏は衆議院議員を務めた方です。また、大正5年頃から荒れ果てた沼田城跡を公園として整備し、当時の沼田町に寄贈した「沼田公園の生みの親」ともいえる方ですこのように沼田と非常に関わりの深い久米氏が建てた洋館は、令和3年度(今年度)から移築復原工事が開始される予定です。この事業の実施に先立ち、現状について並びに旧久米邸洋館の歴史的経緯及び意義を報告いたします。

(1)調査結果報告展:4月17日(土曜日)から4月25日(日曜日)まで。テラス沼田1階多目的スペース・まちの広場にて。
・旧久米邸洋館調査結果の公開展示
・移転資料の実物展示
・洋館群イラストによるブランディングイメージの紹介。

イベントのポスター

 ここでいったん説明を挟むと、久米民之助(1861~1931年)は土木エンジニアから財を築いた実業家で、現・久米設計を創設した久米権九郎(1895~1965年)の父親。権九郎も一時期暮らした東京都渋谷区上原の洋館(代々木御殿とも呼ばれる)が、これから約2年かけて沼田市に移築されることになり、そのスタートを盛り上げるイベントだ。

 宮沢は縁あって、この建物のイラストと、移築先の“洋館ストリート”(←宮沢が勝手に命名)のイラストを依頼された。市の説明にある「洋館群イラストによるブランディング」というのが私のミッションだ。画文家・宮沢としては初の公共の仕事。ありがたい。そのうえ、こんなに大そうな展示を……。

いつもなら、すぐに捨ててしまう下絵

 私が原画を描いた久米邸スタンプの「先行捺印会」なるものも行われた。

 スタンプ捺印は4月18日(日)までだが、展示は来週日曜(4月25日)まで、1週間見ることができる。もちろん、移築のために行った調査の資料なども展示されているので、見に行って無駄ではない。

イベント会場は宮崎浩氏設計の「テラス沼田」

 イベントの初日の今日(4月17日)は、市役所が入るテラス沼田でトークイベントが開催された。再び市のウェブサイトに戻る。

(2)報告会・講演会・パネルディスカッション 
・令和3年4月17日(土曜日)午後1時30分から午後4時まで
・テラス沼田5階 議場waltzホール
報告会:旧久米邸移築に伴う調査結果の報告
・講演会:旧久米邸洋館に所縁のある徳川宜子(ことこ)氏から当時のお話や洋館に係る講演
・パネルディスカッション
 テーマ:「文化財とまちづくり」
 パネリスト:徳川宜子氏(紀州徳川家当主、建築家)
       宮沢洋氏(前日経アーキテクチュア編集長、画文家)
       宮崎浩氏(建築家、株式会社プランツアソシエイツ代表、テラス沼田設計者)
 コーディネーター:長井淳一氏(文化財建造物の設計等に関わる)

 徳川宜子氏、宮崎浩氏、長井淳一氏と3人の建築家の中にまじって、(やや場違いな感じではあるが)宮沢もパネルディスカッションに参加した。建築史家の内田青蔵氏も会場にいらしていて、久米邸洋館の建築的価値について飛び入りで見事なコメントをされた。さすが。

(写真:沼田市)

 ちなみに、宮崎浩氏は会場となったテラス沼田(2019年完成)の設計者。もとは商業施設だった建物を大胆に減築したものだ。

折り紙建築で手の平の洋館

 そして、もう1つのイベントは折り紙ワークショップ。

(3)ワークショップ「折り紙建築でつくる旧久米邸洋館」
令和3年4月17日(土曜日) 第1部午後2時から
令和3年4月18日(日曜日) 第1部午前10時から、第2部午後2時から計3回実施 申し込みが必要です(各回とも20人)
・テラス沼田1階 多目的スペース
・講師:茶谷亜矢氏(建築家、有限会社オリガミックアーキテクチャー代表)

 茶谷亜矢氏は折り紙建築の創始者として有名な茶谷正洋氏(1934~2008年)のお嬢さんで建築家。2時間で、移築される久米邸洋館などの折り紙建築をつくるワークショップだ。

 私はトークイベントと重なって全部は見られなかったのだが、途中、抜け出してちょっとだけ様子見に。すると、講師の茶谷亜矢氏が大正ロマンのいで立ち。エンターテイナー!

 出来上がるとこんなものになる。

 折り紙建築ワークショップは4月18日(日)も午前と午後の2回行われる(詳細はこちら)。

 コロナ禍で参加者数に制限がある中ではあったが、なかなかに楽しいイベントだった。

 さて、本来はここで久米邸洋館とはどんな建築なのか、移築が決まるまでにどんなドラマがあったのか、移築先の“沼田洋館ストリート”とはどんな場所なのか──を書くべきところなのだが、実は某雑誌の「たてもの保存再生」特集でこれについて執筆を任されており、ここではまだ書けない。正式告知されたらどこで読めるのかを報告するので何卒ご容赦を。それまで待てない人は、テラス沼田で開催中の調査結果報告展へ。(宮沢洋)

移築される部材の展示も