コロナ夏の必見展02:発掘系「アンサンブル・スタジオ展」に続き、ギャラ間は超メジャー「SANAA展」を正式発表!

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 以前、「ギャラ間は建築関係者にとって『光』である」と書いた(今年1月のこの記事→ギャラリー・間が約1年ぶりに再開、中川エリカ展に見る「おおらかな細かさ」)。ギャラ間とは東京・乃木坂の「TOTOギャラリー・間(ま)」のこと。入場無料でこういう質の高いミュージアムを長年、運営しているTOTOは本当に偉いと思う。

現在開催中の「アンサンブル・スタジオ展 」(写真:宮沢洋)

 さらに偉いなと思うのは、出展作家をメジャーな建築家だけに限定せず、“先読み系”“発掘系”の若手建築家、外国人建築家を織り交ぜていること。現在開催中の展覧会は「アンサンブル・スタジオ展 Architecture of The Earth」。

 アンサンブル・スタジオはスペインを拠点とする建築ユニットだ。シブい。恥ずかしながら、この展覧会の企画を聞くまで、この人たちのことを知らなった。

博物館の鉱物展示室のよう

 公式サイトではこう説明されている。

 アンサンブル・スタジオは、アントン・ガルシア゠アブリルとデボラ・メサが主宰する職能横断型チームとして、スペインのマドリードで2000年に設立されました。彼らは単に建物のデザインを行うだけでなく、実験を通して自らの手で考え、建設方法まで考案することにより、他に類を見ない革新的な建築を生み出してきました。

 彼らの活動は近年、よりダイナミズムを増し、広大なスケールのプロジェクトも手がけるようになりました。2016年にはアメリカのモンタナ州にあるティペット・ライズ・アート・センターにおいて、屋外彫刻のような一連の作品「ランドスケープの構造体」を発表。約48㎢の広大な敷地に点在する、先史時代の遺跡を思わせるような構築物は、大地を型枠に利用しながらも、現代の技術をベースに、モックアップによる検証、コンピューターを使ったモデリングなど、複雑な構造計算と建設プロセスを経て完成しました。

 展示を見ると、いろいろ考えさせられる。まず、自分のやっている仕事がちっぽけなことに思える。そして、自分が知らないだけで、彼らがすでに建築界に大きな影響を与えていることに気付く。あ、これってあの建築家のあれに似てる! あ、これも! ……という具合だ。

 目の前にある仕事の参考にはならないと思うが、きっと、全く違う次元の気付きがある。ギャラ間が「建築界の光である」と言った1つの側面は、こういうシブい企画だ。

 事前予約が面倒なのか、けっこう空いている。たぶん、当日でも予約できる。乃木坂・六本木方面に用のある方は、その日でも公式サイトを覗いてみてほしい。会期は9月12日(日)まで。相棒の磯達雄が公式の「予習コラム」を書いているので、ぜひ覗いてみてほしい(こちら)。

次回展の「妹島和世+西沢立衛/SANAA展」が正式発表!

 そして7月29日、昨年から延期となっていた「妹島和世+西沢立衛/SANAA展」の開催が正式発表された。

妹島和世+西沢立衛/SANAA展「環境と建築」
会期:2021年10月22日(金)~2022年3月20日(日)

 良かった、やるんだ。パチパチパチ。これは、ギャラ間が建築界の「光」であるもう1つの側面。“メジャーの最先端”を負う企画だ。2人の個展はギャラ間では2003年以来2回目となる。広報用図版のページ(こちら)を見ると、知らない海外のプロジェクトばかりだ。
・ Sydney Modern Project(オーストラリア、SANAA)
・New National Gallery, Liget Budapest(ハンガリー、SANAA)
・Taichung Green Museumbrary(台湾、SANAA)
・Suzhou Shishan Square Art Theater and Museum(中国、SANAA)
・Rizhao Museum + Amphitheater(中国、西沢立衛建築設計事務所)
・Puyuan Design and Event Center(中国、妹島和世建築設計事務所)

 このコロナ禍でも、全く日本に閉じていない。さすが。

 SANAAだけでなく、妹島氏、西沢氏それぞれの事務所のプロジェクトも併せて展示することで、その後の両氏の活動の軌跡を紹介します。 常に進化をつづける妹島和世+西沢立衛/SANAAの現在進行形が見られる、貴重な機会となることでしょう。(公式サイトより)

これもたぶん展示されると思う。大阪芸術大学アートサイエンス学科棟。2017年、設計:妹島和世

 民間のミュージアムでこれが無料って本当にすごい。受付に募金箱を置いた方がいいのではないかとすら思う。これからも頑張れ、ギャラ間!(宮沢洋)

■展覧会情報1
アンサンブル・スタジオ展 Architecture of The Earth
展覧会名(英):Ensamble Studio: Architecture of The Earth
会期:2021年6月24日(木)~9月12日(日)
開館時間11:00~18:00
休館日:月曜・7月22日(木)、23日(金)・夏期休暇[8月9日(月)~16日(月)
入場料無料 事前予約制
会場TOTOギャラリー・間
東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口徒歩1分
主催:TOTOギャラリー・間企画TOTOギャラリー・間運営委員会
特別顧問=安藤忠雄、委員=千葉 学/塚本由晴/セン・クアン/田根 剛特別後援スペイン大使館後援一般社団法人 東京建築士会/一般社団法人 東京都建築士事務所協会/公益社団法人 日本建築家協会関東甲信越支部/一般社団法人 日本建築学会関東支部
公式サイト:https://jp.toto.com/gallerma

■展覧会情報2
妹島和世+西沢立衛/SANAA展「環境と建築」
展覧会名(英):KAZUYO SEJIMA + RYUE NISHIZAWA /
SANAA: Architecture & Environment
会期:2021年10月22日(金)~2022年3月20日(日)
開館時間:11:00~18:00
休館日:月曜・祝日・年末年始休暇[2021年12月27日(月)~2022年1月6日(木)]
入場料:無料、予約制(予約受付開始予定:2021年10月上旬~)
公式サイト:https://jp.toto.com/gallerma