【速報】「52間」は形の遊びにあらず、建築では14年ぶりグッドデザイン賞大賞が山崎健太郎氏設計「52間の縁側」に

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 2023年度グッドデザイン賞の大賞に老人デイサービスセンター「52間の縁側」(オールフォアワン+山崎健太郎デザインワークショッ)が選ばれた。最終候補の5者を対象に10月25日午後に行われた公開プレゼンテーションを経て、17時ごろに決まった。

グッドデザイン賞の大賞を受賞した「52間の縁側」にて、設計者の山崎健太郎氏。この写真は2022年12月に撮影(写真:宮沢洋)

 「52間の縁側」については、施設が利用を開始して間もない2022年12月にリポートしている。

 実は最終候補の5者に選ばれた時点で「絶対に取るだろうな」と思い、この日午後の予定をぎりぎりで済ませて発表式に参加した。そして予想通りの大賞。「ああ、自分が感じたことは特殊な感じ方ではなかったんだ」と分かり、安堵するとともに、なんだか自分ごとのようにうれしい。オールフォアワンの石井英寿代表もうれしそう。

中央がオールフォアワンの石井英寿代表

 2023年度の審査委員長はクリエイティブディレクターの齋藤精一氏、副審査委員長はプロダクトデザイナーの倉本仁氏と建築家の永山祐子氏。「アウトカムがあるデザイン」をテーマに掲げ、募集が行われた。5447件の審査対象の中から1548件の受賞が決定。その中から最終候補5件が選ばれ、一般投票および最終プレゼンテーション審査により大賞に「52間の縁側」が選出された。

5者の得票数
左から倉本仁氏、齋藤精一氏、石井氏、永山祐子氏

 グッドデザイン賞の大賞を、広い意味での「建築」が受賞するのは2009年の「岩見沢複合駅」以来14年ぶりとなる。1980年から始まったグッドデザイン賞大賞の歴史の中では6件目だ。

1996年:工業化住宅 GENIUS 蔵のある家(ミサワホーム)
1997年:金沢市民芸術村
2001年:せんだいメディアテーク
2002年:モエレ沼公園
2009年:岩見沢複合駅
2023年:52間の縁側

 授賞式では齋藤精一氏、倉本仁氏、永山祐子氏がぞれぞれ感想を述べた。詳しく書くと速報ではなくなってしまうので、いずれ公式発表されるものを読んでほしいのだが、3人の話を総合すると、私が以前の記事に書いた「形の遊びではない。かといって単なる事づくりでもない」というところに心を打たれたようだ。副委員長の永山氏は、石井氏のプレゼンを聞いて泣いた、と話していた。

 あらためて、山崎さん、石井さん、おめでとうございます!(宮沢洋)