北陸新幹線延伸・建築の旅(後編):福井駅→敦賀駅では隈研吾氏や内藤廣氏に加え、“江戸のギーガー”も必見

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 「北陸新幹線延伸エリアの注目建築」を紹介する企画の後編は、福井駅から西に向かう。

後編のゴールはここ。2つの建築、両方分かりますか?(写真:宮沢洋)
『鉄道・運輸機構だより』2024冬季号より(イラスト:宮沢洋、以下も)

4)福井駅周辺

 まずは、福井駅から西に徒歩15分ほどの「開花亭 sou-an」へ。老舗料亭の本格懐石をカジュアルに楽しむことができる割烹店で、隈研吾氏の設計。2008年竣工。

 「瓦屋根のある重厚な旧館に対して、軽やかなガラスボックスを対比させた。ガラスボックスはクサマキの木で作られたランダムな格子で覆われ、そのランダムな格子パターンは、室内のデザインにも反復された。このパターンはランダムでありながら、日本の建築や着物に用いられた伝統的パターンをも想起させ、またブレースとして外壁の補強となっている。」(隈事務所のサイトより)

 向かいにある「開花亭 kuri-ya (くりや)」も隈氏の設計で、料亭職人の料理が持ち帰りできる。2016年竣工。

福井県福井市3丁目5−10

 福井駅から車で15分。もしくは福井鉄道福武線・ハーモニーホール駅で下車。「福井県立音楽堂 ハーモニーホールふくい」へ。設計:日建設計。1997年竣工。大小ホールの屋根形状は、雪に強い福井県の民家をイメージしたデザインとのこと。

福井県福井市今市町40-1-1

 福井駅から越美北線で15分一乗谷駅下車。徒歩3分で「一乗谷朝倉氏遺跡博物館」へ。設計は 内藤廣・センボーJV。2022年竣工。

4月21日まで、「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の果てしなき戦い 北陸編」を開催中。3月23日(土)には内藤氏の講演会「北陸三県 建築鬼めぐり」を開催予定。申込み先着100名。詳細はこちら

福井県福井市安波賀中島町8−10

 福井駅からえちぜん鉄道で東に1時間弱。そこから10分ほどバスに乗り、「福井県立恐竜博物館」へ。設計は黒川紀章氏。2000年竣工。2023年に新館を増築した。

新館の屋上から本館を見る

 福井市内で飛ばしてしまったが、福井市下馬には黒川紀章氏が設計した「福井市美術館」(1996年竣工)もある。。

5)越前たけふ駅周辺

 続いて越前たけふ駅。

 車で10分ほど北に行くと「サンドーム福井」。 設計:岡崎甚幸(総括)高嶋猛 松下聡および福井県建築設計監理会。1995年竣工。構造設計はレジェンド、故・川口衞氏。 川口氏が考案したパンタドーム構法で建設した。川口氏は生前、「構造計算は、仕事のごく一部であり、“つくり方をデザイン”する役割だ」と話していた。

福井県越前市瓜生町5-1-1

 現代建築ではないけれど、この辺りまで来たなら絶対に見るべき「岡太神社・大瀧神社」。江戸時代、天保14年(1843)建立。国指定重要文化財。これは、写真が見つからなかったので、イラストで見てほしい。

 造形がSF的。筆者はH・R・ギーガーがデザインしたエイリアンを思い出す。

 地元の人々に紙漉きの技術を伝えたと言い伝えられている女性の紙の神様、川上御前(かわかみごぜん)が祀られている。

福井県越前市大滝町13-1

6)敦賀駅周辺

 ゴールは敦賀駅。

 敦賀駅から車で西に約35分。縄文ロマンパークへ。まずは「年縞(ねんこう)博物館」。設計は内藤廣建築設計事務所。2018年竣工。構造設計は金箱構造設計事務所。

 年縞とは. 「長い年月の間に湖沼などに堆積した層が描く特徴的な縞模様の湖底堆積物」のこと。

 「屋根は福井県産のスギ材による登り梁を並列して配置するシンプルな架構とした。積雪量が1.8mという過酷な荷重条件を考慮し、登り梁を中間で支える構造方式としたが、RC壁が偏心して配置されているため屋根構造は非対称となり短手方向には三角形の部材構成を要し、木造屋根の地震力をRC壁まで伝えるために鉄骨部材を立体的に配置した。」(金箱構造設計事務所のサイトより)

 隣には「若狭三方縄文博物館(三方町縄文博物館)」も。設計:横内敏人建築設計事務所。2000年竣工。こちらも構造設計は金箱構造設計事務所。

 「鉄筋コンクリート造の二階建てで、建物全体が芝生で覆われた丘の形状となっており、そこから円筒形のコンクリートシャフト(排気塔、エレベータ・シャフトなど)が遺構のように上空に突き出ている。」(金箱構造設計事務所のサイトより)

左が年縞博物館、右が若狭三方縄文博物館

福井県三方上中郡若狭町鳥浜122-12-1縄文ロマンパーク内

 といった具合で、延伸区間の周辺には見るべき建築が満載だ。「北陸観光が能登半島地震からの復興支援につながる」とのことなので、ぜひ建築巡りに出かけていただきたい。(宮沢洋)

前編(小松→芦原温泉)はこちら↓。

北陸新幹線延伸・建築の旅(前編):小松駅→芦原温泉駅周辺の注目建築を一気に巡る