サンシャイン60の東隣、2016年まで造幣局東京支局があった一帯が、あっと言う間にこんなふうに変わった。公園の向こうに立つ高層の建物は、「東京国際大学池袋キャンパス」だ。建物はほとんど出来上がっているが、開校するのは今年(2023年)9月。池袋を拠点にするメディアの特権で、一足早く中を見学させてもらった。
東京国際大学池袋キャンパスは、大成建設の設計・施工で2020年11月に着工した。造幣局跡地の約3分の1の敷地(約1万m2)に、鉄骨造・免震構造・地上22階建て・延べ面積3万5896.45m2の建物を建てるプロジェクトだ。
冒頭、「あっと言う間に」と書いたが、2年前(2021年春)に取材したときには、全く建物の形は見えなかった。そのときの記事はこれ↓。
池袋建築巡礼07〈未来編〉:にぎわいはサンシャインの先へ、造幣局跡地開発の総仕上げ──東京国際大学新キャンパス(2021年3月26日公開)
2年前と同じメンバーで答え合わせ
2年前に現場を案内してくれた大成建設設計本部建築設計第五部のメンバーが、今回も見どころを案内してくれた。
2021年のリポートで各人が語っていた設計意図の答え合わせをするような取材だったので、前回記事との対比でリポートする(太字は前回の記事)。
まず、足元まわりから。
東京国際大学は東武東上線・霞ヶ関駅(埼玉県川越市)の西側に第1キャンパスがある大学で、「国際社会が求めるグローバル人材」の育成に力を入れている。(中略)池袋の新キャンパスには、イングリッシュ・トラック・プログラムをはじめ、同大学のグローバル教育機能を集約する。
サンシャイン60側から見ると、道路に面してシルバーの鉄柱が約100本並ぶ。現代アート?と思ったら、留学生の母国の国旗(約100か国)をすべて掲げるのだという。それは壮観。
「IKE・SUNPARK(イケ・サンパーク)」側に回ろう。イケ・サンパークは豊島区が整備した防災公園で、2020年夏にオープンした。
建築計画上のポイントは「ステージ型」のキャンパス。これは従来の「オフィスビル型キャンパス」(効率は良いが交流が少ない)と「オープン型キャンパス」(交流は多いが大学と街との境界がない)の長所をいいとこ取りしたもの。具体的には、地上2階レベルを多様な人々が交流する「ステージ」と位置付けてアトリウムやカフェなどを配し、その上にオフィスビル型の超高層をつくる。
本邦初の180回転する音響調整ルーバーはこうなった
公園に面した低層棟の多目的ホールは、木調パネルの回転ルーバーを採用する。180度回転するルーバーは、表裏それぞれの面に吸音と反射の機能を持たせている。これは担当者の1人、滝村菜香氏が力を入れている本邦初の仕組みで、公園側から見たときに開け閉めの変化がどう見えるのかが楽しみだ。
その多目的ホールはこんなふうに出来上がった↓。
実際に回転ルーバーを回転してもらったが、見事にぴっちりと閉まる! これは講演の最後に開けたくなるなあ。
学生だけが利用するエリアも見学させてもらった。
東京国際大学は、駅伝の強い大学としても有名だ。
おお、ガーデンウイング(低層棟)の屋上にランニングコースが!
ガーデンウイング(低層棟)のフィットネススタジオやジムもこんなに充実。これらの部屋はV字の柱で支持されており、大半が片持ち構造で地上から浮いている。
現場段階で設計チームに聞いた話に嘘はなくて安心した。ただ、設計テーマである「ステージ型」のプランニングが実際に生かされるかどうかの答え合わせは、やはり開校する今年9月以降ということになりそうだ。(宮沢洋)