池袋マルイ「最後の日」写真ルポ、老朽化のため建て替えとの報

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 2021年8月29日(日)、池袋マルイが44年の歴史に幕を下ろした。

(写真:宮沢洋)

 建物の正式名称は「池袋西口共同ビル」。竣工年は1977年。鉄骨鉄筋コンクリート造、地下3階・地上8階。延べ面積:3万459m2(竣工時)。建設主は勧業不動産、陽光、日新。設計者は石本建築事務所。施工者は大林・間・大成共同企業体。そうした情報を調べるまでの苦労は下記の記事をご覧いただきたい。

池袋建築巡礼08:今夏で閉館の「池袋マルイ」、毎日見ても飽きない「白メシ建築」の謎を追う

 最終日は18時30分閉店と聞き、閉館間際に行ってみた。Ofiice Bungaの事務所からは歩いて2分だ。

 8月29日18時、閉館の瞬間を見ようという人たちがすでに集まっていた。

 数日前までは「カウントダウン」だったが、「最終日」の表示に。 

 4階には、懐かしの写真コーナーが設けられていた。

 建設前の写真など参考になる展示だったが、設計者や施工者が書かれていないのが残念。BUNGA NETの記事、読んでくれなかったのかなあ……。

 マルイのスタッフが、靴の空き箱でつくったという模型がなかなかのクオリティー。「さよなら大感謝祭」の垂れ幕など、芸が細かい。

 メッセージコーナーに貼りつけられたメッセージの数がすごい。軽く1000はありそう。

 その中でも、宮沢の「共感大賞」はこれ!

蛍の光とともにシャッター

 閉店5分ほど前になると、「間もなく閉店いたします」のアナウンス。いつも通り「またのお越しを心よりお待ち申し上げます」というフレーズが流れるのが切ない。

 18時半、館内に蛍の光が流れ、正面入り口のシャッターが下りる。 

 事務所を構えてから毎日見ていたこの「OIOI」ネオン、明日からもう光ることはないのか……。

 東京新聞の報道によると、「建物の老朽化でビル所有者が建て替えを検討している」とのこと(2021年7月31日付)。毎日見ても飽きない「白メシ建築」を見られる日は長くないようである。最後にこの句を再掲。

 初出はこちら(池袋建築巡礼08:今夏で閉館の「池袋マルイ」、毎日見ても飽きない「白メシ建築」の謎を追う)。

 実は、この句は(出来はさておき)私が生まれて初めて詠んだ句であった。そんな未知の衝動を起こさせるこの建築、私の中ではまぎれもなく名建築である。(宮沢洋)