青木淳+昭和設計による松本平陸上競技場の基本設計を長野県が発表、開かれたプロセスにも注目

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 長野県は7月16日、AS・昭和設計共同体が設計を進める「松本平新陸上競技場」の基本設計を県のホームページで発表した。「AS」は青木淳建築計画事務所が社名変更したもの。昨年7月24日、公募型プロポーザルで、青木淳建築計画事務所・昭和設計共同体として当選した。国体対応の競技場だが、大会時よりも「日常」の使われ方を重視した提案が話題を呼んだ。

今回、公表された基本設計のイメージパース(資料:長野県、以下も)

 このプロポーザルの最終プレゼンテーションと審査は公開で行われ、筆者も日経クロステックの仕事として取材した。そのときの記事はこちら↓。

勝因は「国体より新しい日常」(日経クロステック、2020.08.27)

このとき、ライブ配信されたYouTubeの映像。最終段階の審査員による議論の様子(画像:長野県)
当選した青木淳・昭和設計チームの面々。右から昭和設計の松田善弘氏、青木淳建築計画事務所(現AS)の青木淳氏と品川雅俊氏、金箱構造設計事務所の金箱温春氏(写真:宮沢 洋)

 それから1年。基本設計の概要を引用しつつ、公開されたイメージパースを見ていこう。

2028年に本県で開催予定の「第82回国民スポーツ大会」、「第27回全国障がい者スポーツ大会」の開閉会式及び陸上競技の会場となる、本競技場の建替えに係る基本設計がまとまりました。

<概要>
松本平広域公園陸上競技場は、昭和53年(1978年)の「やまびこ国体」に併せて整備された県内唯一の第1種公認競技場である一方、40年以上を経て施設の老朽化が進み、バリアフリー対応等も不十分な状況です。このため、令和2年度から基本設計に着手し、陸上競技団体や障がい者団体、アスリート、そして、広く県民の皆様のご意見をお聴きしながら検討を進めてまいりました。

<整備方針>
日本陸上競技連盟が定める現行の第1種公認競技場基本仕様に適合
観客席数:約15,000席(うち屋根付きは7,000席)
夜間照明:平均1,000ルクスを確保(フィニッシュライン1,500ルクス)
長軸方向:南北方向(現在の陸上競技場は東西方向)

 県は、設計者による説明の動画も公開している。これは今後、競技場を設計する人には参考になりそうだ。

基本設計(案)概要説明動画(説明者:AS・昭和設計共同体、約13分) 

 地方自治体が公共施設の基本設計を発表することは珍しくないが、普通は知らぬ間にひっそりとホームページに載っているもの。だが、今回は「発表します」とわざわざリリースを出している。プロセスを開こうとする姿勢が素晴らしい。ただ、欲をいえば、このリリース、設計者名を分かりやすいところに書いてほしい。そうしないと、地方新聞には設計者名が載らない。

 長野県といえば、このサイトで先日取り上げた長野県立美術館も公募型プロポーザルで選定したもので、最終のプレゼンテーションは公開だった(審査は非公開)。

新生・長野県立美術館で「宮崎浩展」開幕、渾身の「つなぎ方」を展示とリアルで実感

長野県立美術館(右)と既存の東山魁夷館(写真:宮沢洋)
長野県立美術館の屋上から城山公園方向を見下ろす(写真:宮沢洋)

 「御嶽山ビジターセンター」の公募型プロポーザルも、公募型プロポーザルで、最終のプレゼンテーションは公開だった。これはyHa architectsが選ばれ、設計が進んでいる。

 長野県のこの前向きさには一体何があったのか。何もなくても変われるのか。いずれ本サイトの「建築の愛し方」で直撃したいと思っている。お楽しみに。(宮沢洋)