建築名所百景03:釧路──明日から「毛綱毅曠」展!“もづなパワー”にどっぷり浸る

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 明日、7月18日(土)から北海道釧路市の「北海道立釧路芸術館」で「没後20年 毛綱毅曠(もづなきこう)の建築脳」展が始まる。前回の建築名所百景の記事末では、「次回は滋賀県大津市」と予告したのだが、この展覧会のことを知って急きょ釧路市に変更した。釧路といえば毛綱毅曠。その釧路で毛綱展となれば、これは釧路毛綱建築巡りをやらないわけにいかないではないか。

(イラスト:宮沢洋、以下も)

 同展の公式サイトでは、毛綱毅曠についてこう説明している。

 毛綱毅曠(1941~2001)は釧路生まれの建築家。「記憶」をキーワードに、時に奇想とも思える個性的な建築を残し、ポスト・モダンの旗手としてめざましい活躍を見せました。没後20年を前に、スケールの大きなそのイメージ世界と活動の軌跡を振り返ります。

 文字数制限があったのかもしれないけれど、サラッとし過ぎでしょう! 毛綱建築の圧倒的な濃度とパワーを(妄想まじりの)イラスト5点で味わっていただきたい。

第1ポイントは釧路川周辺

 まずは、釧路駅から南へ1kmほど歩き、「釧路フィッシャーマンズワーフMOO」へ。釧路川の河岸に立つ複合商業施設だ。川なのでここまで波は立たないのだが、なんとなく嵐を呼びそうなデザインなので、こんな絵になった。

◆釧路フィッシャーマンズワーフMOO
設計:日建設計(北海道日建設計)・毛綱毅曠建築事務所共同企業体/施工:フジタ工業・鹿島・戸田・村井・亀山共同企業体/1989年
釧路市錦町2-4
参考:http://www.jia.or.jp/member/award/25years/2019/moo.htm

 釧路フィッシャーマンズワーフMOOを見たら、少し北に戻って、「北海道立釧路芸術館」で「没後20年 毛綱毅曠の建築脳」展をじっくり堪能したい。会期は7月18日(土)から10月11日(日)まで。会場の釧路芸術館は、象設計集団が設計したものだ。

◆北海道立釧路芸術館
設計:象設計集団/1997年
釧路市幸町4丁目1番5号
参考:http://zoz.co.jp/works/public/culture/Kushiro%20Art%20Museum/

デビュー作にして代表作「反住器」

 釧路川に架かる幣舞橋(ぬさまいばし)を渡って、出世作の「反住器」へ。冬に見たことはないのだが、イメージは雪。幾何学が白に映える。

 これは毛綱が31歳のときに、母親のために設計した住宅だ。この連載は、原則、非住宅を紹介することにしているのだが、この住宅は北海道のウェブサイト「北海道アートマップ」にも場所が載っているので、外観は見てもよいと理解してイラストを載せることにした。場所は当該サイトで見てほしい。

◆反住器
設計:毛綱モン太/1972年
※一般住宅のため外観のみ
参考(北海道アートマップ):http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/bns/artmap/oth/oth031.htm

 釧路市中心部には以下の毛綱建築もある。

◆NTTドコモ釧路ビル
設計:毛綱毅曠建築事務所/1998年
釧路市北大通10-1

◆ふくしま医院 コンサートホールUrari
設計:毛綱毅曠建築事務所/2000年
釧路市浦見4-2-2

 釧路で一泊するなら、毛綱が設計した釧路キャッスルホテルに泊まろう。幣舞橋(ぬさまいばし)のたもとだ。

◆釧路キャッスルホテル
設計:毛綱毅曠建築事務所/1986年
釧路市大川町2-5

 市内にはもちろん、毛綱以外の建築もある。

◆釧路市こども遊学館
設計:アトリエブンク+総合設備計画/2005年
釧路市幸町10丁目2
参考:http://www.atelier-bnk.co.jp/projects/200501/450

◆釧路市生涯学習センター(まなぼっと幣舞)
釧路市幣舞(ぬさまい)町4番28号
設計:久米設計/1992年

上から見てみたくなる釧路市立博物館

 ここから先は少し距離があるので車で移動したい。まず南西の春採湖(はるとりこ)に向かう。目指すは毛綱の代表作で、日本建築学会賞作品賞受を受賞した「釧路市立博物館」。空から見ることはできないけれど空から見たくなる造形。あるゆる角度から建築を眺めることができる鳥への憧れを込めて、こんな角度で描いてみた。

◆釧路市立博物館
設計:毛綱毅曠建築事務所/1983年
釧路市春湖台1-7
参考:https://www.city.kushiro.lg.jp/museum/oshirase/hakubutukan/0010.html

 釧路市立博物館のすぐ近くには「釧路市立幣舞中学校」がある。

◆釧路市立幣舞中学校(旧釧路市立東中学校)
設計:毛綱毅曠建築事務所/1997年
釧路市春湖台1-3

 やや離れるが「北海道釧路湖陵高等学校同窓会館」も。

◆北海道釧路湖陵高等学校同窓会館
設計:毛綱毅曠建築事務所/1997年
釧路市緑ヶ丘3-1-31

 釧路といえば、毛綱毅曠と釧路湿原。その湿原を見渡す展望施設が毛綱の設計だ。これは行かねば。釧路湿原に生息するクジャクチョウと一緒に描いてみた。

◆釧路市湿原展望資料館
設計:毛綱毅曠建築事務所/1984年

 湿原に向かう途中には「釧路公立大学」も。

◆釧路公立大学
設計:毛綱毅曠建築事務所/1987年
釧路市芦野4-1-1

 釧路市から出てしまうが、毛綱建築を極めるなら「屈斜路コタンアイヌ民俗資料館」にも寄りたい。屈斜路湖のほとりに立つ。入るのがちょっと怖いけれど、あやしい宗教施設ではないのでご安心を。でも、その怪しさが魅力なので、あやしく描いてみた。今はこんな公共建築つくれないだろうなあ。

◆屈斜路コタンアイヌ民俗資料館
設計:毛綱毅曠建築事務所/1982年
北海道川上郡弟子屈町字屈斜路古丹

 壮大な全国建築MAPづくりは、こんな感じ(↓)。西と北にピンが立ったので、じわじわと間を埋めていきます!

 そして、次回こそ滋賀県大津市を巡ります。前回の記事はこちら。

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