【追加情報あり】3日で達成!第二目標へ>>見返りもGood!“カリスマ学芸員”の遺稿をクラウドファンディングで書籍に

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※下記記事のクラウドファンディングは、開始からわずか50時間で目標の130万円を達成しました。目標金額を改めて250万円に設定し直し、当初から計画していた3冊目の本「酒井一光論考集(仮)」の出版資金とするとのこと。下記記事は、4月8日夕方に公開したものです。(2020年4月10日追記)

 「クラウドファンディング」は建築分野でも珍しくなくなってきたが、この時期、こういう前向きな話題で知らない者同士がつながるのは胸にしみるなと思い、情報を共有したい。2018年に49歳の若さで亡くなった大阪歴史博物館学芸員の酒井一光氏。同氏の原稿をまとめた書籍「発掘 the OSAKA」の刊行を目指すクラウドファンディングが2020年4月7日から始まった。「リターン」の魅力もあってか、募集開始から2日間で、既に目標額の50%を上回った(4月8日夕方時点)。

73回に渡る『大阪人』の連載を1冊に

 酒井氏は建築史の専門家として大阪歴史博物館に長く勤務し、大阪に限らず建築界で広く知られた“カリスマ学芸員”だった。だが、2018年末に逝去。その後、生前から酒井氏と親交のあった研究者仲間らが遺稿集を刊行しようと酒井一光遺稿集刊行委員会を設立し、2冊の書籍を発刊することになった。

(資料提供:酒井一光遺稿集刊行委員会メンバー。以下同)

 今回はそのうち、73回に渡って雑誌『大阪人』に連載された原稿をまとめた「発掘 the OSAKA」の出版費用の一部をクラウドファンディングで募る。

 目標額は130万円で、受付期間は5月15日(金)23時まで。申し込みは下記のサイト。
https://readyfor.jp/projects/sakaikazumitsu

 出資に対する「リターン」がひとひねり効いている。例えば、一番シンプルなのは、「プロジェクト応援コース/5000円/サンクスメール、書籍1冊、書籍巻末にお名前記載(希望者のみ)」。そして、出資3万円のコースの1つは、「建築史家・山形政昭と一緒に巡る建築ツアー」。W.M.ヴォーリズの研究者として知られる山形政昭・大阪芸術大学名誉教授との建築ツアーは、記憶に残る1日になること間違いなし! ほかの「リターン」は上記の申し込みサイトをのぞいて見ていただきたい。

 なお、委員会のメンバー(下記)は酒井氏の3回忌である2020年6月20日を目標に編集作業を進めている。

■酒井一光遺稿集刊行委員会メンバー
山形政昭(大阪芸術大学名誉教授)
笠原一人(京都工芸繊維大学助教)
倉方俊輔(大阪市立大学准教授)
橋寺知子(関西大学准教授)
高岡伸一(近畿大学准教授)
栄原永遠男(大阪歴史博物館名誉館長)
澤井浩一(大阪歴史博物館)

■酒井一光(さかい・かずみつ):1968年東京生まれ。東京理科大学工学部建築学科卒業、東京大学大学院建築学専攻博士課程中退。1996年に大阪市立博物館(当時)に就き、2013年に大阪歴史博物館主任学芸員となる。日本では数少ない建築を専門とする学芸員として、特に大阪の近現代建築などの調査・研究に精力的に取り組み、煉瓦やタイルなど、図面や模型だけではない、建築部材を用いた建築展示のあり方を探求した。単著に『窓から読みとく近代建築』(学芸出版社,2006)。大阪歴史博物館で担当した主な展覧会に、特別展「煉瓦のまち タイルのまち」(2006)、「民都大阪の建築力」(2011)、「村野藤吾 やわらかな建築とインテリア」(2014)などがある。大大阪時代の建築を中心に、大阪における近年の近現代建築に対する再評価や利活用の推進に大きく貢献した。2018年没。