速報!初の超高層本格増築「三角広場」お披露目、ビフォー・アフターを写真で比較

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 住友不動産は6月30日午後、「新宿住友ビル」(東京都新宿区西新宿2-6-1)の足元に増築した「三角広場」の完成内覧会を開催した。その様子を、工事前の写真を交えてリポートする。

内覧会の日は雨天だったので、最初の写真は6月上旬に撮ったこのカットを…(写真:宮沢洋、以下の工事後の写真すべて)
これも6月上旬撮影

 新宿住友ビルは日建設計の設計、鹿島・竹中工務店・住友建設の3社JVの施工により、1974年に竣工した。印象的な三角形の外観から「 三角ビル」の愛称で親しまれてきた。既存の設備更新と、にぎわいの薄れたビル足元の刷新を兼ねて、ガラス屋根で覆った約3250㎡の屋内大空間を新設した。7月1日から一般開放される。

断面のビフォー・アフター(資料:住友不動産のニュースリリースより)
工事後の平面。左側が北(資料:住友不動産のニュースリリースより)

 基本構想と総合監修は住友不動産。基本・実施設計は原設計者である日建設計が担当。実施設計・施工は、もとの建物には関わっていない大成建設が手掛けた。施工期間は2017年9月~20年6月。3年弱を要する大プロジェクトだ。
 

(写真:住友不動産)

有効空地を屋内化、ガラス屋根は自立

 ガラス屋根の下は周囲を壁で囲まれた屋内だが、有効空地の扱いだ。法的手続きとしては、周辺街路とのバリアフリー接続や、災害時の一時滞在機能などの公共貢献によって国家戦略特区の認定事業とし、もともとの特定街区を変更して有効空地を屋内化した。実際の延べ面積は16万5898㎡から18万195㎡へと増えているが、法定の床面積は増えていない。法規はタワーも含めて現行法規に合わせている(一部は全体計画認定により今後対応)。

工事前の北側2階車寄せ(写真:住友不動産)

 巨大なイベント広場ができたのは、かつて駐車場や車寄せなどがあった北側。既存駐車場や車路の躯体を残して、全体を掘り下げた。旧住友ホールは広場の下に新設した。ガラス屋根は、柱の下部でタワーとつながっているが、屋根自体は新設した柱で支えている。これはタワーの構造をシンプルにするため。広場内に見えるタワー壁面は、既存の壁ではなく、既存の壁の外側に新たに設置したものだ。

 オフィスワーカーの出入りが多い南側もガラス屋根で覆った。

 既存の大樹を元に位置に残したまま工事を進めた。社(やしろ)は位置をずらして、作り直した。

 タワー部も制振補強によって耐震性を向上した。

 会見では事業主である住友不動産の担当者とともに、日建設計の芦田智之・設計部門グループマネージャーが計画のプロセスを説明した。こういう会見で、組織設計事務所の担当者が表舞台に立つのは珍しい。

 配布されたパンフレットも、トレーシングペーパーでビフォー・アフターを示すなど、なかなか面白い。

損保ジャパンの足元増築にも注目

 ちなみに西新宿には、もう1つ注目の超高層増築がある。損保ジャパン日本興亜本社ビルの敷地内に増築する新美術館(SOMPO美術館)だ。「三角広場」の実施設計と施工を担当した大成建設が設計を担当。施工は大成建設・清水建設・鴻池組JVが担当した。鉄筋コンクリート造、地下1階・地上6階建て、延べ面積約4000㎡。こちらは、タワーとは隙間を空けて立つ形だ。2020年春にオープンの予定だったが、コロナの影響でオープンが延びている。(宮沢洋)