日曜コラム洋々亭20:オンラインでハードル下がったイケフェス大阪、お祭り感は“生”で

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 手伝いの身として、「大丈夫かな今年のイケフェス…」と心配を抱えつつ初日を迎えた今年の「イケフェス大阪(生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪)2020」。いやいや、心配無用だった。昨日はほぼ1日中見ていたが、どのコンテンツもよくできていた。パチパチパチ。今日の2日目(最終日)を安心してお薦めできる。

 では、ざっくりと初日の速報を。

 まずは、宮沢が関わっていた「セッケイ・ロード2020 事務所内㊙リポート+『大阪×建築』プレゼン!!」。この企画は在阪の設計事務所9社が、前述の共通テーマに沿って制作した4分間の動画を、ずらっと並べて見られるようにしたもの。実際のページはこちら

 実はこの企画、数日前まで「初日には全社そろわないかも」と言われていた。昨日の朝、ページを開くと、以下の9社が並んでいた。ほっ。

佐藤総合計画
久米設計
昭和設計
安井建築設計事務所
NTTファシリティーズ
東畑建築事務所
日本設計
日建設計
遠藤克彦建築研究所

 これは一体何の順? 最初の方の事務所が有利では? くじ引き? と思った方、鋭い。サイトのどこにも説明は書いていないが、これは動画の提出順だと聞いている。そうか、後の方の事務所はコンペでもぎりぎりまで引っ張るタイプなんだな、などと想像してみるのも楽しい。 

 各社4分なので、全部見ても30分強。これは楽しい。各事務所の雰囲気が分かるとともに、プレゼンのテイストが分かる。一般の人や学生は自分の好きな事務所選びのツールとして、同業者(設計者)はライバルのプレゼン手法の偵察ツールとして役立ちそうだ。

初日の視聴回数トップは?

 ちなみに、24日午後11時時点の視聴回数を調べてみると、上位5社はこんな順だった。

1位:安井建築設計事務所
2位:佐藤総合計画
3位:日建設計
4位:昭和設計
5位:NTTファシリティーズ

 安井建築設計事務所がトップなのは納得で、冒頭から演出が凝っている。ネタバレになってしまうが、途中から登場する佐野吉彦社長の話が長すぎて、早送りされてしまうシーン(下の画像)は何度見ても笑える。佐野社長、愛されキャラだなあ。

 この企画で私が何をしたかというと、企画検討段階に参加したことと、9社の動画のオープンニングカットを描いたことだ。映るのはほんの一瞬だが、かなり気合を入れて描いた。例えば、こんなのだ。

(イラスト:宮沢洋)
(イラスト:宮沢洋)

 「セッケイ・ロード2020 事務所内㊙リポート+『大阪×建築』プレゼン!!」は今日も視聴できる。繰り返しになるが、当該ページはこちら。11月半ばまで視聴できるとのことなので、今日は時間がないという方は、明日以降、じっくり見ていただきたい。

オンラインならではのニッチさ、石本喜久治トーク

 夕方17時からは、相棒の磯達雄がモデレーターを務める「分離派100周年記念企画 大阪の石本喜久治」のライブ配信を見た。

 登壇者は石本喜久治にめちゃめちゃ詳しい菊地潤氏(建築家、建築と美術研究会会員)と石本建築事務所の現役3人、谷口嘉彦氏(石本建築事務所大阪オフィス代表)、松田修平氏(同大阪オフィス設計部門次長)、杉山浩二氏(同東京オフィス業務企画部門次長)。そして来年1月から京都国立近代美術館で開催される「分離派建築会100年展」のピーアールのためにゲスト出演した建築史家の本橋仁氏(下の写真)だ。

 こんなニッチなテーマの企画が実現してしまうのも、イケフェスならでは。そして、オンラインならではだろう。会場でやるリアルトークイベントだったら、テーマはせめて「分離派、石本喜久治」ではないか。それでもかなりニッチだと思うが、昨日のお題は「大阪の石本喜久治」である。それなりに建築を知ってるつもりの自分にとっても、9割以上が知らない話だった。建築の探求には終わりがない…。

オンラインだからこその発見&気楽さ

 ライブ配信企画で「どストライク」だったのが、15時から行われた「村野藤吾の世界」。建築史家の2人、倉方俊輔氏(下の写真)と笠原一人氏の村野藤吾トークだ。村野好きな私は、「その通り!」「なるほどそういう見方も…」「うらやましい!」と心の中で何度もつぶやきながら、1時間楽しく見た。

 例年の「建築ツアー」の代わりとしては、建築リポートの動画が13本用意されている。個人的にはこれも、村野藤吾が設計した4件(輸出繊維会館、浪花組本社、中村健法律事務所、フジカワビル)の動画にどはまり。何度も見に行っているフジカワビルにあんな屋上があったなんて! 中村健法律事務所って何? などなど、動画ならではの発見があった。

 昨年までは事前にガイドブックをつぶさに調べて、1日の予定をきっちり立ててから出掛けていた。今年は、移動時間がないので、事前調査なしでもすごく効率的に見ることができる。そして「ながら見」が可能。休日に雑務をこなしながら見るのにちょうど良い気楽さだ。

 イケフェス未経験の人は、まずは今日のライブ配信企画をいくつか見てみるといいだろう。編集された動画も面白いが、お祭り感はやっぱり“生”だ。面白いと思った人は、1年後(来年はきっとリアルツアーが開催されるはず…)を楽しみに待ってほしい。

 イケフェスのトップページはこちら

 ああ、来年が楽しみ。(宮沢洋)