5月12日から再開!「オリガミ・アーキテクチャー」展@エークワッド勝手にベスト10

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臨時休館となっていた「GALLERY A4」の「オリガミ・アーキテクチャー」展が5月12日から事前予約制で再開する。休館中にアップした記事を改めて公開する。予約などはこちらから。(2021年5月12日追記)

 ようやく時間ができて取材に行ったのだが、記事を公開しようと思ったら、臨時休館になってしまった…。でも、ステイホーム期間に建築旅行気分を味わっていただくのにちょうど良いかもしれないので、再開を待たずに記事を載せることにした。リポートするのは「オリガミ・アーキテクチャー 一枚の紙から世界の近現代建築を折る」展だ。

(写真:宮沢洋)

 竹中工務店東京本店(東京・東陽町)の1階にある「GALLERY A4」(ギャラリー エー クワッド)で4月9日から始まった。緊急事態宣言のため4月26日から臨時休館となり、再開は5月12日の見込み。会期は、今のところ6月3日まで。

 建築家で東京工業大学名誉教授の故・茶谷正洋氏(1934~2008年)が生み出した「折り紙建築」の現在形を展示する。出展者は、下記の通り(五十音順)。
・有座まさよ氏
・五十嵐暁浩氏
・木原隆明氏
・古賀麻衣子氏
・茶谷亜矢氏
・茶谷正洋氏(出品作の製作は木原隆明氏)

 出展者の1人、五十嵐暁浩氏の作品のすごさについては、以前に下記の記事でリポートした。

建築の愛し方01:世界初?「3つ折りタイプ」で折り紙建築に新風─五十嵐暁浩氏
建築の愛し方02:収納性抜群の折り紙建築は“大人の趣味”に最適!─五十嵐暁浩氏(後編)

 本展の総作品数は約100点。この中から、私が強く惹かれた作品を10点選んでみた。えこひいきにならないよう、作家名を見ないようにしながら。

 選んだ10点を竣工年順に並べるので、何の建築なのか、クイズ感覚で想像してほしい。

01 自由学園明日館
1921年、設計:フランク・ロイド・ライト
折り紙建築設計:茶谷正洋
さすが創始者・茶谷先生! これぞ王道の折り紙建築。(宮沢評)

02 小菅刑務所
1929年、設計:蒲原重雄(司法省)
折り紙建築設計:五十嵐暁浩
五十嵐さん、モチーフがしぶ過ぎ! 確かに、折り紙向きの造形。(宮沢評)

03 聖ポール教会
1934年、設計:アントニン・レーモンド
折り紙建築設計:五十嵐暁浩
水平屋根から突き出す三角屋根。頂部の十字架も含めて影がきれい。(宮沢評)

04 ファンズワース邸
1951年、設計:ミース・ファン・デル・ローエ
折り紙建築設計:五十嵐暁浩
柱がない! でもこの透明感は実物以上にファンズワース邸!(宮沢評)

05 軽井沢の山荘
1962年、設計:吉村順三
折り紙建築設計:有座まさよ
静かなたたずまいが実物(見たことあります)とそっくり!(宮沢評)

06 もうびぃ・でぃっく
1966年、設計:宮脇檀
折り紙建築設計:茶谷正洋
山のようになだらかな曲面の表現がお見事!(宮沢評)

07 ソニービル
1966年、設計:芦原義信
折り紙建築設計:茶谷正洋
虫かごのような繊細さが文句なしに美しい。(宮沢評)

08 パレスサイドビル
1966年 設計:林昌二(日建設計)
折り紙建築設計:木原隆明+五十嵐暁浩
これ本当にたためるの? 林さんに見せたかった。(宮沢評)

09 反住器
1972年、設計: 毛綱毅曠
折り紙建築設計:五十嵐暁浩
もはや「建築模型」と言ってもよい完璧な再現性!(宮沢評)

10 東京都武道館
1989年、設計:六角鬼丈
折り紙建築設計:茶谷正洋
大小折り重なる屋根が1枚の紙でできている!(宮沢評)

 10個選んでみたら、茶谷先生が4つ、五十嵐氏が5つ。創始者と現役のエースが互角の勝負だ。折り紙建築は、過去のブームでは決してない。

 それにしてもこの展覧会、「建築史」の展覧会としても勉強になる。そもそもが「DOCOMOMO(ドコモモ) Japan」が中心となった企画なので、建築解説や年表が本気度100%。

 再開したら会場に足を運んでほしい(5月12日再開見込み)。そしてこれは、ぜひとも全国に巡回してほしい展覧会だ。何しろ、作品がすべてたためるので、輸送にお金がかからない。学芸の方、これはお薦めですよ!(宮沢洋)

公式サイト:http://www.a-quad.jp/