ZAHA HADID DESIGNとカリモク家具がコラボ、美しい木製椅子を公開中

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 東京・西麻布の「Karimoku Commons Tokyo」で開催中の「ZAHA HADID DESIGN展」で、ZAHA HADID DESIGN(以下、ZHD)がデザインし、カリモク家具がつくった木製の椅子とテーブルがお披露目されている。カリモク家具がつくったザハ建築の木製模型や、ZHDによる他の作品も数々展示。会期は12月3日(金)まで。

Karimoku Commons Tokyoで開催中のZAHA HADID DESIGN展の様子。シャンデリアもZHDのデザイン(写真:長井美暁、特記以外は以下も)

 ZHDは建築家のザハ・ハディド(1950〜2016年)が2番目に立ち上げたデザインスタジオで、ファッションやジュエリー、照明、インテリア小物などのデザインを、ザハ亡き後も継続して行っている。一方、カリモク家具は愛知県東浦町に拠点を置く日本の木製家具メーカーだ。意外なコラボに驚くだろう。そして会場で今回初披露された木製椅子とテーブルを見ると、その美しさにさらに驚くはずだ。

無垢の削り出しで三次元曲面を実現

 「SEYUN(セイユン)」と名付けられたZHDとカリモク家具のコラボシリーズは、肘無し椅子、肘付き椅子、テーブルの3つ。いずれもまだプロトタイプだが、椅子の背と座は人の身体を柔らかく受けとめる微妙な曲線を描き、これが美しさだけではなく、座り心地の良さにも結び付いている。

 椅子は無垢のオーク材を削り出し、前脚+座面、左右の後ろ脚+背もたれという3つの異なる形状のパーツをつくり、それを背面部分だけで接合している。どれだけつくるのが難しかっただろうと思うが、カリモクはさらに、座面と背もたれの木目をきちんと揃えていて、日本を代表する木製家具メーカーとしての矜持を感じる。

SEYUN Prototype Chair(写真:Masaki Ogawa)

 後ろ姿も美しい。このように優美なフォルムを生み出すなかで、カリモク家具側は家具としての強度も考えなければならない。何度も試作を繰り返し、ロンドンに現物を送ってZHDのチェックを受ける、ということを重ねて今回の展示にこぎ着けた。

 本展でもうひとつ必見なのが、カリモク家具がつくったザハ建築の木製模型だ。黒い展示テーブルに紛れているものもあるが、アンビルドを含めて計8つのプロジェクトの模型を並べている。

会場構成はZHDが手掛けた
手前の茶色の模型はアゼルバイジャンの首都バクーにある「HEYDAR ALIYEV CENTER」。茶色の模型はウォールナット材で製作。黒い模型はZHDがデザインした展示用テーブルと同じくパイン材に塗装している

 他に、ZHDがデザインを手掛けたインテリア小物やジュエリーなども見られる。また、写真家の岩本幸一郎氏がザハのデザインに触発されて制作した作品も展示・販売。想像力をかき立てる写真が会場に花を添える。

 本展の会場である「Karimoku Commons Tokyo」は、カリモク家具が東京の新たな拠点として今年2月にオープンした。西麻布の閑静な住宅街に位置し、1階はイベント・ギャラリースペース、2階と3階は同社の家具のショースペースという構成だ。屋上テラスも屋外使用が可能な家具を開発するための実験空間として活用している。

 空間の改修設計を手掛けたのは、建築家の芦沢啓治氏。芦沢氏は横浜・みなとみらい、東京・渋谷、群馬・前橋の「ブルーボトルコーヒー」のカフェ店舗でカリモク家具とコラボしている(建築の中心は前橋へ? 話題の白井屋ホテルに芦沢啓治氏設計のカフェが開店)。

Karimoku Commons Tokyoの外観(写真:阿野太一)
2階は「Karimoku Case Study」と「石巻工房 by Karimoku」のショースペース。10月13日から始まったZAHA HADID DESIGN展に合わせて、秋冬の装いに模様替えした
3階は「KNS(Karimoku New Standard)」と「MAS」のショースペース(写真:阿野太一)

 ZAHA HADID DESIGN展を見に行くなら、上階の家具も合わせてご覧あれ。(長井美暁)

■ZAHA HADID DESIGN展
会期:2021年10月13日(水)〜12月3日(金)
営業時間:12時〜18時 不定休
会場:Karimoku Commons Tokyo(東京都港区西麻布2-22-5)
公式サイト:https://commons.karimoku.com/